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2006年07月07日(金)| 言語>言語規範 
幼児の頭の中は星雲のようなものか(修正版)

前稿に書いたように「言語なしの思考」(2006.07.06)に対して秀さんから「ソシュール的な発想」ということで何を言いたかったのか(2006年07月06日)というトラックバックをいただいている。

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2006年07月09日(日)| 言語>言語規範 
ソシュールの「言語」(1)

 ソシュールの「言語」(1)~(4)をまとめて読む。

昨日トラックバックいただいた「ソシュールの言葉に対する解釈」(2006年07月08日)において秀さんは『一般言語学講義』から引用したソシュールの言葉に対する解釈が秀さんと私とでは異なるということを述べ、秀さんご自身が誤読しているかも知れないと書いている。私はソシュールが「言語」というとき、それは常に langue つまり三浦の規定した言語規範を指していると考えて私なりの読み方をしたのであるが、直後に引用されている内田氏の言葉と照らし合わせて読むと誤読しているのは秀さんではなくてむしろ私の方かも知れない。そう思って手持ちの『一般言語学講義』を調べてみた。以下は第II編第4章「言語価値」§1「音的資料へと組織された思想としての言語」冒頭からの引用である。追記 この部分は「第三回講義」の後に「第二回講義」をつぎはぎしたものであることが分かった〕

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2006年07月10日(月)| 言語>言語規範 
ソシュールの「言語」(2)

 ソシュールの「言語」(1)~(4)をまとめて読む。

〔注記〕 ソシュールの用語については ソシュール用語の再規定(1)~(4) を、ソシュール言語学の概要については ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8) をご覧下さい。

秀さんと私との間で理解が分かれた「言語が現われないうち」あるいは「言語の出現以前」という『一般言語学講義』にあるソシュールの表現について、その表現のある文とその前後の文章とをあらためて読んでみると私の理解もずれていたようだ。ソシュールのいう「言語」が langue を表しており、意識における langue「言語」の出現以前を意味していることはたしかだが、人類の歴史上において langue「言語」が生れる以前のことをいっているわけではないようだ。

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2006年07月13日(木)| 言語>言語規範 
誤読でした

『一般言語学講義』第II編第4章「言語価値」§1「音的資料へと組織された思想としての言語」についての私の解釈は基本的に誤読であったことを表明しておきます。詳しいことはいずれ書きます。

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2006年07月16日(日)| 言語>言語規範 
ソシュールの「言語」(3)

 ソシュールの「言語」(1)~(4)をまとめて読む。

小林英夫訳の『一般言語学講義』には冒頭の「訳者のはしがき」に続いて小林による「解説」が載っている。その中で小林は「ソシュール理論に不案内な初心者には、要点を説明しておくほうが有益であろう」として6つの要点を示している。それは次のように始まる。

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2006年07月25日(火)| 言語>言語規範 
誤読「言語の法典を利用するさいの結合」

ソシュールの「言語」(3) 」(2006/07/16)は小林英夫訳『一般言語学講義』の中の「言語」はすべて「記号の体系」である、と私が思い込んでいたことから始まる誤読の話であった。つまり「言語」と表記されているものの中には「思考言語」と解釈すべきものがあるのであって、すべてを「言語」「記号の体系」としてしまうとソシュールの真意を読み誤る、ということであった。

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2006年09月06日(水)| 意識>概念・表象 
概念は「言語」に先立つ(4)

 概念は「言語」に先立つ(1)~(5)をまとめて読む。

概念という語の語義(語概念)について、私と認識を異にする方が多いのに驚いている。それだけソシュールの影響が大きいということだろう。しかし、ソシュールが規定する以前から概念という言葉は存在しており、語と結びついているかどうかは概念の必要条件ではなかった。語と結びついていない概念が自分の意識の中に存在しているかどうかは、注意深く自省してみれば自ずから明らかになる。

参考のために手持ちの辞書から「概念」の項を引用する。

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2006年09月09日(土)| 言語>意味 
ソシュール言語学には個別概念が存在している?

前稿「個別概念が介在する<表現⇒受容>過程」(2006/09/08)を書きながら私は『一般言語学講義』のあの有名な箇所(第II編第4章§1)を思い浮かべていた。ソシュールの後継者たちは、その部分を引用して「人間は『言語』によって世界を切り取って、世界を認識している」という。それゆえ、「言語」を異にするそれぞれの社会では、世界に対する認識すなわち解釈は異なるという風に論理を展開する。

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2006年10月05日(木)| 言語>意味 
意味・意義・価値(3)――ソシュールの「価値」

 意味・意義・価値(1)~(3)をまとめて読む。

ソシュールのいう「価値 valeur」のことを考えていた。というより『一般言語学講義』第II編「共時言語学」第3章「同一性、実在、価値」と第4章「言語価値」を読み返しているのであるが…。もともと私の頭は抽象的な思考向きにはできていないので、ある概念のことを理解するためにはその概念を抽出してきた現実の個別的な存在や現象(私の意識内における存在・現象も現実であり、したがって私が想像のうちに作り出した心像もまた意識内における現実である――とはいえそれらも何らかの形で私の意識外の存在・現象あるいはそれらとの関係を反映している)を自分なりに把握することが必要なのである。つまり、何らかの形で現実とのつながりをもたないものを私は表象することができないし、概念を形成することができない。そして概念を私自ら私の意識内に形成することなしにその概念を理解することは私にはできない。したがって、私にとって何ごとかを分かること・理解することはそれを自ら概念化し把握することである。

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2006年10月15日(日)| 言語>雑文 
ソシュール『一般言語学第三回講義』を読み始めた

ようやく『一般言語学第三回講義』が届いた。まだ第一部を読んでいるところ。ソシュールの講義を聴講した学生コンスタンタンのノートをかなり忠実に再現したもののようなので、構成が整っているとはいいがたいし、記述が断片的なのは仕方がない。それでも、『一般言語学講義』の断言調のものいいとは違ってソシュールの思考過程が自然に読み取れるのがいい。

しかし、ソシュールの恣意的な用語使いにはやはり悩まされそうな気がするし、訳文は直訳調であまりこなれていない。ただ、原語が併記あるいはルビの形で示されているので、理解しにくい文は仏和辞典に当たって自分で確認できるのは有り難い。

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2006年10月17日(火)| 言語>雑文 
『一般言語学第三回講義』を読んでいる

第一部は、ソシュール以前の言語学についての冒頭部の粗描を除けば、 あとは主として諸社会における言語――言語音・語音という側面から見た――の時間的・空間的(地理的)な変化についての考察である。ここでは比較言語学を修め、諸言語にわたる深い造詣を有していたソシュールの本領が遺憾なく発揮されている。この第一部については首を傾げるところもあるが、多くの部分では異論はない。エクリチュール(書き言葉あるいは書かれた文献)についてのソシュールの敵愾心は比較言語学者としての素朴な本音ではあろうが、書き言葉も言語であり、話し言葉との間で相互に影響しあう関係を保ちながら、そこには密接に関連し補いあう側面と表現形態の相違から来る対立関係とがある、という観点に立てば、三浦が成し遂げたように両者に共通する側面を検討することによって言語そのものの姿が見えてきたであろうと思われる。ソシュールはパロールこそが言葉であるといっていたが、ついにそのパロールについての具体的な研究を成し遂げることなく病没してしまった。残念である。

私が読みたかったのは「第二部 言語」である。 はやる心を押えて第一部を読み終えて――といいつつ本を読むのが遅い私にしては、早くということであるが――、ようやく第二部に入った。初めの方の内容は『一般言語学講義』の「序説 第3章」に対応している。しかし、ソシュールの語りは慎重である。用語の定義にもこころ配りが見られる。まだ最初の十数ページしか読んでいないが、これまでに抱いていた私のソシュール像が崩れていくのを感じている。

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2006年10月18日(水)| 言語>言語本質論 
ラングの特殊性とパロールの普遍性――個別概念

ラング(言語規範)が社会的であるのと同様にパロール(話し言葉)は社会的である。そして、パロールが個人的であるのと同じ地平においてラングも個人的である。エクリチュール(書き言葉)もまた同様に、社会的であると同時に個人的なものである。それは個人の意識の内部における語の音声表象やそれに結びついた概念が社会的な一般的・普遍的側面をもっていると同時に個人的・特殊的な側面をもっているからであり、同じようにパロールの語音やそれと結びついた概念もまた社会的な一般的・普遍的側面をもっていると同時に個人的・特殊的な側面をもっているからである。エクリチュールにおける語の形象やそれに結びついた概念についても同様である。

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2006年10月31日(火)| 言語>言語本質論 
ことばとは何か(2)――言語と「言語langue」

ことばとはなんであろうか。『一般言語学第三回講義』を読み終わった後、ここ何日間かあることが気にかかっていた。『一般言語学講義』とは違う語り口で率直に記されたその内容は確かにソシュールを再評価するきっかけにはなったが、しかし私にとってやはりソシュールはソシュールであった。私は彼の記述に肯(がえ)んずることはできない。「言語langue」は断じて言語ではない。このことである。

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2006年11月04日(土)| 言語>雑文 
前田英樹訳『ソシュール講義録注解』

相原奈津江・秋津伶訳の『一般言語学第三回講義』を読んで、ソシュールのいう「価値」がどういうものであるかはなんとなく理解できた。ソシュールの「言語langue」が言語規範と内言とを包括する意識内における言語活動全般を指しているらしいこと、そしてソシュールが「価値」をその範囲内でしか考えていないことが分かれば当然そうなるであろうというものである。

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2006年11月06日(月)| 言語>言語本質論 
ことばとは何か(3)――時枝誠記の言語観

素朴な直観は存外に真理を言い当てているものである。古来、ごく普通の人々が現に話されている言語音声を〈ことば〉あるいは〈言語〉であると考えていたことは、多くの言語において〈ことば〉や〈言語〉を表わす語が「口」や「舌」を表わす語と関連する語であることからもわかる。

しかし、言語は表現され理解されるその背後に認識や規範の媒介といった複雑な過程、つまり人間の精神的・肉体的な主体的活動をともなっているから、いざ〈ことば〉とは何かと問われたときに、一言では言い表せない難問をつきつけられた思いがするのも確かなことである。

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2006年11月10日(金)| 言語>言語本質論 
ソシュール「言語学」とは何か(1)

『ソシュール講義録』はまだ四分の一ほどしか読み進めていない。できる限りソシュールの立場に立って読もうと思っているのだが苦痛の方が先立って読む気が失せるのである。それでも何とか読もうと努力をするのはソシュールの「言語学linguistiqueがいかなるものかを知るためである。また、それによって私の抱いている言語観に刺戟が与えられて多少なりともその内容が変化するのではないかという期待があるからでもある。

まだ四分の一ではあるが、ソシュール「言語学」の概要はつかめたように思う。

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2006年11月20日(月)| 言語>言語本質論 
ソシュール「言語学」とは何か(2)

正直言って『ソシュール講義録』を読む気はほとんど失せてしまっている。ソシュール「言語学」とは何か(1)(2006/11/10) にも書いたことだがソシュールにとって「言語langueとは外部から遮断され閉じてしまった円環である。ソシュールは「単位の決定」が「言語学」の「全任務」であるといい(引用文)、「言語それじたい」の内部でそれを作り上げている単位を探し求める。つまり言語単位を定めるための手がかり(=価値・質の区切り)を与えてくれる分節の論理をソシュールは探し求めるのである。しかしこの探索は終りのない旅である。なぜなら、単位はソシュールが閉じたはずの円環の外部からやってくるものだからだ。つまり「言語それじたい」の内部に単位を求めるのは木によって魚を求める類いの不毛の営為なのである。しかもソシュールはそれを自覚していると思われる。

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2006年11月21日(火)| 言語>言語本質論 
ソシュール「言語学」とは何か(3)

前稿「ソシュール「言語学」とは何か(2)」で書いたようにソシュールの「言語langueは矛盾した存在である。「言語langueは時間的・地理的に限定された一定の地域における一つの制度として規定される。それは静的(statique)なものであり、外部から遮断された存在である。その意味で「言語langueは仮構されたものであるといっていい。しかし、前稿の引用部に『言語学の領域で、かなり広い意味で共通領域と呼べるところは、分節あるいは「分肢」の領域である。それは、思考がそのなかで音をとおして意識を得るにいたるような肢体の諸部分をいう』とあるように、ソシュールは意識における思考の場つまりいわゆる思考言語(ただし、それは仮構された「言語langueに媒介される限りでの思考言語である――ソシュールは表向きでは外部からもたらされる新しいものを排除している)をも「言語langueの領域に引き入れている。

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2006年11月22日(水)| 言語>言語本質論 
ソシュール「言語学」とは何か(4)

前稿では「読む気はほとんど失せてしまっている」と書いた『ソシュール講義録』だが、気を取り直して前の方を読み返しつつ少しずつ読み進めている。

前稿に書いたように、ソシュールは「言語」(langue)を実践しつつ「言語」の性格を観察し分析している。ソシュールの目的は「言語」の内部に成立する単位の発見である。

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2006年11月23日(木)| 言語>言語本質論 
ソシュール「言語学」とは何か(5)

さて、「そこにあるのは、思考-音が言語学の究極的単位としての諸区分を含んでいるという、どこか神秘的なこの事実である(『ソシュール講義録注解』(p.59))として「言語」における単位の発生を説明してしまえば、ソシュールにとっては単位の発生はもう解決済みの問題となる。しかも、ソシュールにとってその現象はあくまでも「言語」内部における現象である。こうして「言語」は絶えず言語単位を生成し、しかもそれは体系内部で単位相互の関係を更新しつつ質・価値はそのときその場限りで消滅していく。とすれば、言語単位は何か定まったものではない。言語規範の媒介といった上から規定してくるようなものもソシュールの「言語」には存在していない。

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言語関連の用語について

 表現された言語(本来の意味の言語)を単に言葉あるいは言語、ことば…のように表記しています。ソシュール的な意味の言語(言語規範ないし思考言語)はカッコつきで「言語」あるいは「言語langue」・「ラング」・「ことば」等と表記しています。(背景色つきで「言語」のように表記している場合もあります)

 一般的な意味の概念を単に概念と表記し、ソシュール的な意味の概念(語の意義としての概念、いわゆるシニフィエ・語概念)はカッコつきで「概念」と表記します。(2006年9月9日以降)

 また、ある時期からは存在形態の違いに応じて現実形態表象形態概念形態のように用語の背景色を変えて区別しています(この文章では〈知覚形態〉も〈表象形態〉に含めています)。

 ソシュールの規定した用語を再規定し、次のような日本語に置き換えて表記します。詳細は「ソシュール用語の再規定(1)」を参照。

【規範レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語韻     (ある語音から抽出された音韻)

・シニフィエ   → 語概念(語義) (ある語によって表わされるべき概念)

・シーニュ・記号 → 語規範(語観念)(ある語についての規範認識)

・記号の体系   → 語彙規範   (語すべてについての規範認識)

・言語      → 言語規範   (言語表現に関するすべての規範認識)

語概念・語韻は 語概念⇔語韻語韻⇔語概念)という連合した形で語規範として認識されています。語規範はこのように2つの概念的認識が連合した規範認識です。ソシュールは「言語langue」を「諸記号」相互の規定関係と考えてこれを「記号の体系」あるいは「連合関係」と呼びますが、「記号の体系・連合関係」の実体は語彙規範であり、言語規範を構成している一つの規範認識です。規範認識は概念化された認識つまり〈概念形態〉の認識なのです。

なお、構造言語学・構造主義では「連合関係」は「範列関係(範例関係)」(「パラディグム」)といいかえられその意義も拡張されています。

 語・内語・言語・内言(内言語・思考言語) について、語規範および言語規範に媒介される連合を、三浦つとむの主張する関係意味論の立場からつぎのように規定・定義しています。詳細は『「内語」「内言・思考言語」の再規定』を参照。(2006年10月23日以降)

  : 語規範に媒介された 語音個別概念 という連合を背後にもった表現。

内語 : 語規範に媒介された 語音像⇔個別概念 という連合を背後にもった認識。

言語 : 言語規範に媒介された 言語音(語音の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった表現。

内言 : 言語規範に媒介された 言語音像(語音像の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった認識・思考過程。

内語内言は〈表象形態〉の認識です。

なお、上のように規定した 内言(内言語・内的言語・思考言語)、 内語とソシュール派のいうそれらとを区別するために、ソシュール派のそれらは「内言」(「内言語」・「内的言語」・「思考言語」)、「内語」のようにカッコつきで表記します。

また、ソシュールは「内言」つまり表現を前提としない思考過程における内言および内言が行われる領域をも「言語langue」と呼んでいるので、これも必要に応じてカッコつきで「内言」・「内言語」・「内的言語」・「思考言語」のように表記します(これらはすべて内言と規定されます)。さらに、ソシュールは「内語の連鎖」(「分節」された「内言」)を「言連鎖」あるいは「連辞」と呼んでいますが、まぎらわしいので「連辞」に統一します(「連辞」も内言です)。この観点から見た「言語langue」は「連辞関係」と呼ばれます。ソシュールは「内語」あるいは「言語単位」の意味はこの「連辞関係」によって生まれると考え、その意味を「価値」と呼びます。構造言語学では「言(話し言葉)」や「書(書き言葉)」における語の連鎖をも「連辞」と呼び、「連辞関係」を「シンタグム」と呼んでいます。詳細は「ソシュールの「言語」(1)~(4)」「ソシュール用語の再規定(1)~(4)」「ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8)」を参照。

 さらに、ソシュールは内言における 語音像⇔個別概念 という形態の連合も「シーニュ・記号」と呼んでいるので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【内言レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音像(個別概念と語規範に媒介されて形成される語音の表象)

・シニフィエ   → 個別概念(知覚や再現表象から形成され、語規範の媒介によって語音像と連合した個別概念)

・シーニュ・記号 → 内語

・言語      → 内言

ソシュールがともに「シーニュ・記号」と呼んでいる2種類の連合 語韻⇔語概念語規範)と 語音像⇔個別概念内語)とは形態が異なっていますのできちんと区別して扱う必要があります。

 また、実際に表現された言語レベルにおいても、語音個別概念 という形態の連合が「シーニュ・記号」と呼ばれることもありますので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【言語(形象)レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音個別概念語規範に媒介されて実際に表現された語の音声。文字言語では文字の形象

・シニフィエ   → 表現された語の意味。個別概念を介して間接的にと結びついている(この個別概念語規範の媒介によってと連合している)

・シーニュ・記号 → (表現されたもの)

・言語      → 言語(表現されたもの)

 語音言語音語音像言語音像語韻についての詳細は「言語音・言語音像・音韻についての覚書」を、内言内語については「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」を参照して下さい。また、書き言葉や点字・手話についても言語規範が存在し、それらについても各レベルにおける考察が必要ですが、ここでは触れることができません。

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シカゴ・ブルース

シカゴ・ブルース (ID:okrchicagob)

1948年生れ(69歳♂)。国語と理科が好き。ことばについては子供のころからずっと関心を抱いていました。20代半ばに三浦つとむの書に出会って以来言語過程説の立場からことばについて考え続けています。現在は39年間続けた自営(学習塾)の仕事を辞め個人的に依頼されたことだけをこなす日々です。

コメント等では略称の シカゴ を使うこともあります。

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意識と言語(こころとことば)

われわれは人間が『意識』をももっていることをみいだす。しかし『精神』は物質に『つかれて』いるという呪いをもともとおわされており、このばあいに物質は言語の形であらわれる。言語は意識とおなじようにふるい――言語は実践的な意識、他の人間にとっても存在し、したがってまた私自身にとってもはじめて存在する現実的な意識である。そして言語は意識とおなじように他の人間との交通の欲望、その必要からはじめて発生する。したがって意識ははじめからすでにひとつの社会的な産物であり、そして一般に人間が存在するかぎりそうであるほかはない。(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』古在由重訳・岩波文庫)


ことばは、人間が心で思っていることをほかの人間に伝えるために使われています。ですから人間の心のありかたについて理解するならばことばのこともわかってきますし、またことばのありかたを理解するときにその場合の人間の心のこまかい動きもわかってきます。
このように、人間の心についての研究とことばについての研究とは密接な関係を持っていて、二つの研究はたがいに助け合いながらすすんでいくことになります。一方なしに他方だけが発展できるわけではありません。
…こうして考えていくと、これまでは神秘的にさえ思われたことばのありかたもまったく合理的だということがおわかりになるでしょう。(三浦つとむ『こころとことば』季節社他)


参考 『認識と言語の理論 I』を読む 1(1)――認識論と言語学三浦つとむ『認識と言語の理論 I』

子どもたちに向けた言葉

ふしぎだと思うこと
  これが科学の芽です
よく観察してたしかめ
そして考えること
  これが科学の茎です
そうして最後になぞがとける
  これが科学の花です
        朝永振一郎

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