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2006年07月05日(水)| 言語>言語規範 
「言語」なしの思考(1)

 「言語」なしの思考(1)(2)をまとめて読む。

言語なしの思考は出来るか」(2006年06月30日)で秀さんは「物質的存在が我々に反映という認識をもたらし、存在の属性として世界を理解すると言うよりも、言語によって世界を切り取って、世界の一部を考察の対象にして理解が進むという方が、何か現実の人間の活動を正しく語っているような気がしてしまう。ソシュール的な発想の方が正しいような気がしてしまう。」という感想を述べている。ここで秀さんがいっている「言語」とは個人の意識内においてすでに認識され明確に規定されている観念のことだろうと思われる。そうであるなら、このような観念を運用して「世界を切り取って、世界の一部を考察の対象にして理解が進む」というのは人間の認識過程を記述したものとしては当たり前のような気もする。

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2006年07月06日(木)| 言語>言語規範 
「言語」なしの思考(2)

 「言語」なしの思考(1)(2)をまとめて読む。

前稿 「言語」なしの思考(1) に対して秀さんからトラックバックをいただいた。その記事 「ソシュール的な発想」ということで何を言いたかったのか (2006/07/06)についての感想はいずれまたということにして、昨日来秀さんの 言語なしの思考は出来るか についてあれこれ考えたことを先に済ませておきたい。

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2006年07月07日(金)| 言語>言語規範 
幼児の頭の中は星雲のようなものか(修正版)

前稿に書いたように「言語なしの思考」(2006.07.06)に対して秀さんから「ソシュール的な発想」ということで何を言いたかったのか(2006年07月06日)というトラックバックをいただいている。

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2006年07月26日(水)| 意識・認識>概念・表象 
「言語」の介在しない概念

言語規範が介在しない概念について考えてみたい。ソシュールはそのような概念は存在しないと考えていたらしい。そうでなければ「思想は,それだけ取ってみると,星雲のようなものであって,そのなかでは必然的に区切られているものは一つもない.予定観念などというものはなく,言語が現われないうちは,なに一つ分明なものはない.(『一般言語学講義』)などという言葉が出てくるはずがないからである。

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2006年07月27日(木)| 意識・認識>概念・表象 
概念(1)――人間の認識は徹頭徹尾概念的である

 概念(1)~(5)をまとめて読む。

人間は対象を抽象的・一般的な形態で認識する。

人間の認知・認識は感覚→知覚→表象→(純粋)概念の順に抽象化・一般化の程度が上がっていく。しかし、感覚でさえすでに現実の対象から選択的に情報をとらえている。そこではある程度の情報が捨象され人間にとって必要とされる情報だけが抽象されている。

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2006年07月28日(金)| 意識・認識>概念・表象 
概念(2)――概念の獲得

 概念(1)~(5)をまとめて読む。

概念はまずある個物の知覚として私の意識の中に生じる。それは他の多くの個物との間にさまざまな関係を持った具体的な個物の知覚である。個物を取り巻くそれらさまざまな関係を反省するとき、私の意識はそれらの関係をその個物固有の性質・属性として抽出し表象する。そして知るのである。個物固有のそれらの性質・属性の中のあるものが、他の個物固有の性質・属性の中のあるものと共通していることを。数多くの個物と出会ううちに私の意識は、このような表象を通して個物の集合を類別し、分類する。こうして私の意識はものごとをいくつもの系列に序することになる。具体的な個物との接触を通して類別と分類によって諸個物が系列化されるこの過程がすなわち私が諸概念を獲得する過程であり、ものごとの諸関係を把握し理解する過程である。

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2006年08月18日(金)| 意識・認識>概念・表象 
概念は「言語」に先立つ(1)

 概念は「言語」に先立つ(1)~(5)をまとめて読む。

「言語」の介在しない概念(2006/07/26)に関して建築屋さんから下のようなコメント(挨拶部分を省略)を戴きました。それについて『濫觴(らんしょう』掲示板で回答をさし上げた(2006/08/03)のですが、このブログの稿の内容に関することなので転載しておきます。

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2006年08月24日(木)| 意識・認識>概念・表象 
概念は「言語」に先立つ(2)

 概念は「言語」に先立つ(1)~(5)をまとめて読む。

鏡像における左右反転という現象について」(2006/08/23)へのコメントで、その稿の内容の中に「概念が言語に先立つ」という私の主張に対する反証があるのではないかという指摘を tpkn(敬称略)が寄せてくれた。

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2006年08月28日(月)| 意識・認識>概念・表象 
概念は「言語」に先立つ(3)

 概念は「言語」に先立つ(1)~(5)をまとめて読む。

ちょっとばかり理屈っぽくなるが今日は数学「的」な説明をしてみたい。

「言語langue」(言語規範の一部)は個人の認識として存在している。そこで、ある個人の意識のうちに存在する「言語」を構成している「シーニュ」の集合を A とし、A の個々の要素を a1, a2, …のように表わす。同様に、「シーニュ」を形成する「シニフィアン」および「シニフィエ」の集合をそれぞれ B, C とし、B, C の個々の要素をそれぞれ b1, b2, …、および c1, c2, …のように表わす。

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2006年08月28日(月)| 意識・認識>概念・表象 
概念(3)――個別概念(普遍概念・特殊概念)

 概念(1)~(5)をまとめて読む。

前稿「概念は「言語」に先立つ(3)」では個別概念という言葉と普遍概念という言葉とを何の説明もなしに用いた。これらと特殊概念という言葉とは構造的なつながりがある。特殊概念と普遍概念についてはかつて「認識についての覚書(5)――カテゴリー・概念の階層」の「特殊概念と普遍概念」で書いたことがある。しかしこの部分はかなり簡単なものであって個別概念については何も触れていない。私たちの認識において個々の事物は通常は普遍概念と特殊概念とが統一された概念としてすなわち個別概念として現われる。つまり、個々の事物をとらえた個別概念は、どの程度のレベルでその個別概念の側面をとらえているかにしたがって分類の階層が異なるのであって、ある側面は他のある側面を含むという意味で普遍的であり、またその側面は他のある側面から見ればそれに含まれるという意味で特殊的でもある。したがって個別概念はきわめて多面的な構造を持ったものなのである。

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2006年08月29日(火)| 言語>言語規範 
ソシュール用語の再規定(1)

 ソシュール用語の再規定(1)~(4)をまとめて読む。

ソシュールにおいては「言語langue」や「記号signe」(=「シーニュ」)、あるいは「シニフィアンsignifiant」・「シニフィエsignifie」という言葉はいずれも人間の意識の中に存在するものの名称である。しかし原語(フランス語)をそのまま日本語で表記すると、それらはいずれも現実に表現された現実的な「言語」・「記号」・「意味するもの」(能記=記号の音声)・「意味されるもの」(所記=記号の意味)となってしまう。ことに「言語」・「記号」という表記には別の問題がある。「言語」は言語規範の一つである語彙の規範であって、言語そのものとは異なる。これは不適切な表記といわざるをえない。また語(表現された言葉)は記号の一種ではあるが、語と記号とは違う。したがって「認識された語」を「記号」とするのはこれも不適切な表記である。要するにソシュールによって規定されたこれらの用語はいずれも名が体を表わしていないどころか「名が他の体を表わしている」のである。その上、「シニフィアン」・「シニフィエ」などはフランス語をそのまま用いることが広く行われていて、普通の日本人にはきわめて分かりにくい。

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2006年09月06日(水)| 意識・認識>概念・表象 
概念は「言語」に先立つ(4)

 概念は「言語」に先立つ(1)~(5)をまとめて読む。

概念という語の語義(語概念)について、私と認識を異にする方が多いのに驚いている。それだけソシュールの影響が大きいということだろう。しかし、ソシュールが規定する以前から概念という言葉は存在しており、語と結びついているかどうかは概念の必要条件ではなかった。語と結びついていない概念が自分の意識の中に存在しているかどうかは、注意深く自省してみれば自ずから明らかになる。

参考のために手持ちの辞書から「概念」の項を引用する。

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2006年09月07日(木)| 意識・認識>概念・表象 
概念(4)――概念というものの性格

 概念(1)~(5)をまとめて読む。

概念について、これまでに自分のWebページ(ホームページ)やこのブログに書いてきたことをまとめておく。おおよそつぎのようなものである(新たに詳述した部分もある)。概念という語の意義(語義・語概念)については前稿「概念は『言語』に先立つ(4)」を参照していただきたい。

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2006年09月08日(金)| 言語>意味 
個別概念が介在する<表現⇒受容>過程

ネットで検索していて偶然「言語論的世界観と近代科学」というページを見つけた。「シニフィエ」についての説明はおかしいが、ソシュール言語学がどんなものかについての説明が簡潔にまとめられている。

しかし、上記ページを読んでみても私には納得できない。ソシュールはなぜ「言語langue」によって思想を分節するなどといったのであろうか。

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2006年09月19日(火)| 意識・認識>概念・表象 
概念(5)――人間の思考・認識は個別概念を介して行われる

 概念(1)~(5)をまとめて読む。

概念は『言語』に先立つ(4)」(2006/09/06)において、私は「概念とは、ある対象を〈一定の種類に属するもの〉として把握した認識である。いいかえると、個々の対象から〈ある一定範囲の対象に共通するある一定範囲の属性〉を抽出して形成した心像が概念である。すなわち概念は基本的に対象の知覚表象や想起された表象から抽象されて形成されるものである」と書いた。そして「人間の認識は徹頭徹尾概念的である」(同題の稿 2006/07/27)とも書いた。このことは、人間の思考・認識は概念を介して――それも三浦つとむのいうように個別概念(個別的概念)を介して――行われるということを意味している。しかしこれは一九世紀中葉にすでにディーツゲンが述べていることの再認識にすぎない。

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2006年09月24日(日)| 言語>言語規範 
個別概念を運用する手がかりとしての語音像

人間の思考・認識の対象には現実的なものもあれば想像的なものもあり、意識とは別個の存在であったり意識そのものであったりもする。それら個々の対象は多様であり多様な現われ方をするものであるが、何を対象とするにせよ人間の思考・認識は対象から抽象・形成された個別概念を介して行われるというのが前稿「人間の思考・認識は個別概念を介して行われる」の内容であった。

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2006年10月18日(水)| 言語>言語本質論 
ラングの特殊性とパロールの普遍性――個別概念

ラング(言語規範)が社会的であるのと同様にパロール(話し言葉)は社会的である。そして、パロールが個人的であるのと同じ地平においてラングも個人的である。エクリチュール(書き言葉)もまた同様に、社会的であると同時に個人的なものである。それは個人の意識の内部における語の音声表象やそれに結びついた概念が社会的な一般的・普遍的側面をもっていると同時に個人的・特殊的な側面をもっているからであり、同じようにパロールの語音やそれと結びついた概念もまた社会的な一般的・普遍的側面をもっていると同時に個人的・特殊的な側面をもっているからである。エクリチュールにおける語の形象やそれに結びついた概念についても同様である。

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2007年01月28日(日)| 意識・認識>概念・表象 
シニフィエについて

ソシュール用語の再規定(1)(2006/08/29) に対して takekiさんからいくつかコメントをいただいています。takekiさんはその中でシニフィエについて書いておられます。それにお応えするためにいろいろ考えたのですが、結局はシーニュをどのようなレベルでとらえているのかをはっきりさせないままではシニフィエについてきちんとしたお話はできないだろうと思っています。つまりシーニュというのはなのか内語なのか、それとも語規範なのかということであり、シニフィアン語音語音像語韻のうちのどのレベルで考えているかということです。なお、これらの用語については、このページ下部の「記事内の用語について」や「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」、「言語音・言語音像・音韻についての覚書」などを参照して下さい。

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2007年03月22日(木)| 言語>意味 
三浦つとむ「意味とは何か、どこに存在するか」(1)

『ことば・その周辺』というブログタイトルに関連する記事としては、最近(といっても2ヵ月も前の記事であるが)書いたのが「シニフィエについて」であり、その前が「言語と内言――言語の意味 」であった。この時期の私の関心はソシュール「言語学」に関わる形で「言語の意味とは何か」ということに向いており、今もなおその志向は変っていない。さらにいえば、私が子どもの頃から言葉というものにずっと興味を抱きつづけてきたのは言葉のもつ「意味」の不思議さに惹かれていたからだといっても言い過ぎではない。その不思議さを腑に落ちる形で説明してくれた唯一のものが三浦つとむの言語過程説であったということが、私をしてかくも長く三浦つとむにこだわりつづけさせる第一の要因なのだと今にして思う。

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2007年03月27日(火)| 言語>意味 
三浦つとむ「意味とは何か、どこに存在するか」(2)

さて、言語学の分野では表現された言語(自然言語)の意味とは何かということについての定説が存在しない。つまり、意味論が確立されていない。その中では最近よく耳にするようになった認知意味論は三浦の関係意味論に比較的近いといえるかもしれない。三浦の関係意味論はある意味でマルクスがその著作の端々で触れている言語についての断片を系統的にまとめたものとみることができる。つまりマルクスはすでに言語の意味について商品の使用価値や交換価値、意識の外化・対象化(疎外概念を含む)といった概念のもとで語っているのであり、関係意味論に欠くことのできない観念的自己分裂つまり、人間の対象意識の運動についても語っているのである。また、ふつうの人々も表現された言語の意味を直観的につかんでいるのであり、そうでなければ人類がかくも長く言語を用いた意思疎通を行ってきたことを説明できないし、人々がさまざまに工夫して自分の意志や意図を他者に伝え、他者の意識やその伝えたい内容を的確につかみ取ってきたことも説明できない。にもかかわらず、三浦のいうようにいざ言語の意味とは何かを問われると言葉につまってしまうのである。

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言語関連の用語について

 表現された言語(本来の意味の言語)を単に言葉あるいは言語、ことば…のように表記しています。ソシュール的な意味の言語(言語規範ないし思考言語)はカッコつきで「言語」あるいは「言語langue」・「ラング」・「ことば」等と表記しています。(背景色つきで「言語」のように表記している場合もあります)

 一般的な意味の概念を単に概念と表記し、ソシュール的な意味の概念(語の意義としての概念、いわゆるシニフィエ・語概念)はカッコつきで「概念」と表記します。(2006年9月9日以降)

 また、ある時期からは存在形態の違いに応じて現実形態表象形態概念形態のように用語の背景色を変えて区別しています(この文章では〈知覚形態〉も〈表象形態〉に含めています)。

 ソシュールの規定した用語を再規定し、次のような日本語に置き換えて表記します。詳細は「ソシュール用語の再規定(1)」を参照。

【規範レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語韻     (ある語音から抽出された音韻)

・シニフィエ   → 語概念(語義) (ある語によって表わされるべき概念)

・シーニュ・記号 → 語規範(語観念)(ある語についての規範認識)

・記号の体系   → 語彙規範   (語すべてについての規範認識)

・言語      → 言語規範   (言語表現に関するすべての規範認識)

語概念・語韻は 語概念⇔語韻語韻⇔語概念)という連合した形で語規範として認識されています。語規範はこのように2つの概念的認識が連合した規範認識です。ソシュールは「言語langue」を「諸記号」相互の規定関係と考えてこれを「記号の体系」あるいは「連合関係」と呼びますが、「記号の体系・連合関係」の実体は語彙規範であり、言語規範を構成している一つの規範認識です。規範認識は概念化された認識つまり〈概念形態〉の認識なのです。

なお、構造言語学・構造主義では「連合関係」は「範列関係(範例関係)」(「パラディグム」)といいかえられその意義も拡張されています。

 語・内語・言語・内言(内言語・思考言語) について、語規範および言語規範に媒介される連合を、三浦つとむの主張する関係意味論の立場からつぎのように規定・定義しています。詳細は『「内語」「内言・思考言語」の再規定』を参照。(2006年10月23日以降)

  : 語規範に媒介された 語音個別概念 という連合を背後にもった表現。

内語 : 語規範に媒介された 語音像⇔個別概念 という連合を背後にもった認識。

言語 : 言語規範に媒介された 言語音(語音の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった表現。

内言 : 言語規範に媒介された 言語音像(語音像の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった認識・思考過程。

内語内言は〈表象形態〉の認識です。

なお、上のように規定した 内言(内言語・内的言語・思考言語)、 内語とソシュール派のいうそれらとを区別するために、ソシュール派のそれらは「内言」(「内言語」・「内的言語」・「思考言語」)、「内語」のようにカッコつきで表記します。

また、ソシュールは「内言」つまり表現を前提としない思考過程における内言および内言が行われる領域をも「言語langue」と呼んでいるので、これも必要に応じてカッコつきで「内言」・「内言語」・「内的言語」・「思考言語」のように表記します(これらはすべて内言と規定されます)。さらに、ソシュールは「内語の連鎖」(「分節」された「内言」)を「言連鎖」あるいは「連辞」と呼んでいますが、まぎらわしいので「連辞」に統一します(「連辞」も内言です)。この観点から見た「言語langue」は「連辞関係」と呼ばれます。ソシュールは「内語」あるいは「言語単位」の意味はこの「連辞関係」によって生まれると考え、その意味を「価値」と呼びます。構造言語学では「言(話し言葉)」や「書(書き言葉)」における語の連鎖をも「連辞」と呼び、「連辞関係」を「シンタグム」と呼んでいます。詳細は「ソシュールの「言語」(1)~(4)」「ソシュール用語の再規定(1)~(4)」「ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8)」を参照。

 さらに、ソシュールは内言における 語音像⇔個別概念 という形態の連合も「シーニュ・記号」と呼んでいるので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【内言レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音像(個別概念と語規範に媒介されて形成される語音の表象)

・シニフィエ   → 個別概念(知覚や再現表象から形成され、語規範の媒介によって語音像と連合した個別概念)

・シーニュ・記号 → 内語

・言語      → 内言

ソシュールがともに「シーニュ・記号」と呼んでいる2種類の連合 語韻⇔語概念語規範)と 語音像⇔個別概念内語)とは形態が異なっていますのできちんと区別して扱う必要があります。

 また、実際に表現された言語レベルにおいても、語音個別概念 という形態の連合が「シーニュ・記号」と呼ばれることもありますので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【言語(形象)レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音個別概念語規範に媒介されて実際に表現された語の音声。文字言語では文字の形象

・シニフィエ   → 表現された語の意味。個別概念を介して間接的にと結びついている(この個別概念語規範の媒介によってと連合している)

・シーニュ・記号 → (表現されたもの)

・言語      → 言語(表現されたもの)

 語音言語音語音像言語音像語韻についての詳細は「言語音・言語音像・音韻についての覚書」を、内言内語については「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」を参照して下さい。また、書き言葉や点字・手話についても言語規範が存在し、それらについても各レベルにおける考察が必要ですが、ここでは触れることができません。

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シカゴ・ブルース

シカゴ・ブルース (ID:okrchicagob)

1948年生れ(68歳♂)。国語と理科が好き。ことばについては子供のころからずっと関心を抱いていました。20代半ばに三浦つとむの書に出会って以来言語過程説の立場からことばについて考え続けています。現在は39年間続けた自営(学習塾)の仕事を辞め個人的に依頼されたことだけをこなす日々です。

コメント等では略称の シカゴ を使うこともあります。

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意識と言語(こころとことば)

われわれは人間が『意識』をももっていることをみいだす。しかし『精神』は物質に『つかれて』いるという呪いをもともとおわされており、このばあいに物質は言語の形であらわれる。言語は意識とおなじようにふるい――言語は実践的な意識、他の人間にとっても存在し、したがってまた私自身にとってもはじめて存在する現実的な意識である。そして言語は意識とおなじように他の人間との交通の欲望、その必要からはじめて発生する。したがって意識ははじめからすでにひとつの社会的な産物であり、そして一般に人間が存在するかぎりそうであるほかはない。(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』古在由重訳・岩波文庫)


ことばは、人間が心で思っていることをほかの人間に伝えるために使われています。ですから人間の心のありかたについて理解するならばことばのこともわかってきますし、またことばのありかたを理解するときにその場合の人間の心のこまかい動きもわかってきます。
このように、人間の心についての研究とことばについての研究とは密接な関係を持っていて、二つの研究はたがいに助け合いながらすすんでいくことになります。一方なしに他方だけが発展できるわけではありません。
…こうして考えていくと、これまでは神秘的にさえ思われたことばのありかたもまったく合理的だということがおわかりになるでしょう。(三浦つとむ『こころとことば』季節社他)


参考 『認識と言語の理論 I』を読む 1(1)――認識論と言語学三浦つとむ『認識と言語の理論 I』

子どもたちに向けた言葉

ふしぎだと思うこと
  これが科学の芽です
よく観察してたしかめ
そして考えること
  これが科学の茎です
そうして最後になぞがとける
  これが科学の花です
        朝永振一郎

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