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2007年02月17日(土)| パソコン>フォント・スキン |  
WindowsXP のシステム・フォントを変更する(3)

WindowsXP のシステム・フォントを変更する(1)のようにレジストリ値を変更・追加してシステムフォントを MeiryoKe にしても、一部のプログラムではビットマップフォント(MS UIGothic)で表示される部分が残ります。どうやらレジストリの置換情報を参照せずに直接 MSGothic.ttc の中身のフォントを使っているようです。そうすると MS UIGothic 等にはビットマップデータ(Embedded Bitmap Data:EBDT)が含まれているため、あるサイズ以下の文字の場合は TrueType ではなくその EBDT を使って表示されるわけです。

このようなビットマップ表示の部分まで TrueType で表示させるには Fontsフォルダにある MS Gothic.ttc の中身(MS Gothic, MS PGothic, MS UIGothic)からビットマップデータ(EBDT)の部分を除去してしまえばいいのですが、あいにく私にはそれをするだけの技術と根気がありません(「MSゴシックとMS明朝で、ClearTypeを有効にする」にはその方法が詳しく書かれています)。

次善の策としては、MSGothic.ttc と同じように等幅・プロポーショナル・UI の三つのタイプのフォントを含み、かつビットマップを持たない TrueType のフォントがあり、かつ内部のフォント名が MS Gothic, MS PGothic, MS UIGothic になっているようなフォントが存在するなら、それを MS Gothic.ttc と入れ換えてしまうという方法があります(さらにそのフォントの実体が MeiryKe であれば一番ですが…。まあ、ないものねだりをしても仕方がありません)。

ところが MSGothic.ttc と入れ換えができるそのようなフォントが実はあるのですね。「WindowsXP のシステム・フォントを変更する(1)」のコメント欄(02/15)で takayukiさんに教えていただいた「MS *ゴシック Ex+ 配布ページ」にある MS *ゴシック Ex+ Ver.2.14 というのがそれです。これは SHARP のパソコンなどにインストールされている SH G30.ttc というフォントからビットマップ部分を除去し、その半角文字の部分をこれまたビットマップ部分を除去した MS Gothic のものに置き換えてつくられた合成フォントです(SH G30 から EBDT を取り除くためのパッチというのがかつて存在していて、私はそれを使って作った EBDT なしの SH G30 をしばらく愛用していました。VAIO には TBゴシック というきれいなフォントが最初から入っているのを知らなかったんですね)。

さて、上記ページにリンクされたダウンロード・ページからDLした MS-GothicExPlus.7z* という圧縮ファイルを解凍すると MS-GothicExPlus というフォルダがつくられます。そしてその中にある Install.bat を実行すると Windows¥Fontsフォルダにあったオリジナルの MSGothic.ttc が Windows¥FontsBackup¥Original にコピーされ、外面は MSGothic でありながらデータは MS *ゴシック Ex+ である MSGothic.ttc が Windows¥Fontsフォルダにコピーされてフォントが入れ換わります(再起動しないと有効にはなりません)。なお、オリジナルの MSGothic.ttc に戻したいときは Uninstall.bat を実行します。その他の詳しいことはダウンロードページに書いてありますのでそちらを読んでください。

* 7z(7-Zip)ファイルを解凍するソフトは "7z" で検索するといくつか見つかります。私はLhaz.exeというツールを使いました。

なお、私はバッチファイルを利用せずに手動で MSGothic.ttc の入れ換えをしましたが、オリジナルの MSGothic.ttc はきちんとバックアップをとってあります(この記事を書くために何度か入れ換え/戻しを繰り返しました)。

上記のページには外面も中身も MS *ゴシック Ex+ である普通のフォントファイル MS *ゴシック Ex+(ON) Ver.2.14 もあります。実際に入れ換えをする前にどんな字体のフォントなのかを確かめておくといいかもしれません。下の画像は入れ換えをする前の MS ゴシック系の表示と MS *ゴシック Ex+(ON) との比較です。ついでに入れ換える前の FixedSys の表示も示します。なお、「WindowsXP のシステム・フォントを変更する(1)」のレジストリ変更部分のうち FixedSys に関係する
[HKEY_LOCAL_MACHINE¥SYSTEM¥CurrentControlSet¥Control¥FontAssoc¥Associated DefaultFonts]
の部分は MeiryoKe_Console から元の MSGothic に戻してあります。

入れ換え前

下は入れ換え後の MS Gothic と MS *ゴシック Ex+(ON) との比較です。まったく同じになっていることが分かります。FixedSys がクリアタイプの効いていない MS *ゴシック Ex+ に変わっていることも分かります。日本語部分の丈が縮んで半角部分よりも低くなるので不格好です。

入れ換え後

さて、これで FixedSys の問題を除くとほとんどの部分が TrueType で表示され ClearType の効いた読みやすいものになりました。ぜいたくをいえば EBDT が取り除かれた MS Gothic、さらにぜいたくが許されるなら MS Gothic に化けた MeiryKe が欲しいところです。

〔2007.02.18 追記(1)〕

[HKEY_LOCAL_MACHINE¥SYSTEM¥CurrentControlSet¥Control¥FontAssoc¥Associated DefaultFonts]
の部分はやはり MeiryoKe_Console の方がいいみたいです。Gothic に戻すと、以前 MeiryoKE で表示されていたのに MS Gothic の仮面をかぶった MS *ゴシック Ex+ で表示されるようになった部分があります。というわけで、再び MeiryoKe_Console に戻しました。

しかし、大部分が MeiryoKe で表示されている中に MS *ゴシック Ex+ が混じっているというのはやや違和感があります。MS Gothic なら見慣れているのでたとえビットマップであってもそれほど違和感はないのですが…。たぶん慣れの問題なのでしょう。

ところで、いろいろと試しているうちに奇妙な現象に出会いました。私はつぎのような手順で MSGothic.ttc の入れ換えをしています。

(1) Fontsフォルダにある MSGothic.ttc をデスクトップに移動する。
(2) 入れ換える MSGothic.ttc(これは MSGothic_org.ttc, あるいは MSGothic_ex.ttc という名前で保存用のフォルダに入れてあります)を Fontsフォルダに移動し、そこでファイル名を MSGothic.ttc に変える。
(3) 再起動後、デスクトップ上の MSGothic.ttc のファイル名を MSGothic_ex.ttc あるいは MSGothic_org.ttc に変え、保存用のフォルダに移動する。

何度か繰り返しているうち、Fontsフォルダに移動した MSGothic_org.ttc の名前を変えるのを忘れて MSGothic_org.ttc のまま再起動してしまいました。すぐに気がついたのですが、レジストリの書き換えをして MSGothic.ttc はシステムフォントではなくなっているし、中身はオリジナルの MS Gothic, MS PGothic, MS UIGothic ですから起動時にちゃんと読み込まれるだろうと思いました。ただ、ファイル名が MSGothic.ttc ではないので何らかの変化が起こるのではないかとも思っていました。

で、その結果ですが、Styler の表示がつぎの画像のようになっていました。

Styler_MsKe.png

ふつうなら MS UIGothic のビットマップで表示されるはずの部分が MeiryoKe_UIGothic になっています。ただし、下の部分が欠けていますが(ディセンダ部分の大きさの違いですね)。

それだけでなく、MS Gothic 系を指定した部分がブラウザ上で MeiryoKe 系で表示されます(下の画像)。また、私は Firefox のオプションで「Web ページが指定したフォントを優先する」にチェックを入れているので、MS Gothic で表示されるサイトがかなりあるのですが、それらのページも MeiryoKe で表示されるようになりました。思わぬ副産物ですが、副作用がないとも限りません。しばらくこの状態で様子を見てみたいと思います。

Styler_MsKe.png

というわけで、今のところ MS *ゴシック Ex+ は出番がありません。と、ふと気になって Fontsフォルダを開いてみたところ、「MS ゴシック & MS Pゴシック & MS UI Gothic」「MS Gthic & MS PGothic & MS UI Gothic」 は登録されていはいますが、ともにファイル名が MSGTHIC.TTC になっていてサイズが 0 KBです。つまり、存在していないと認識されているのですね。そのために MeiryoKe が完全にMSGothic に取って代わってしまったと思われます。ということは Fontsフォルダに MSGothic.ttc が存在していない場合にも同じ現象が起こりそうです。いずれにしても危険な香りのする実験ですので、決してお勧めできることではありません。レジストリの変更によって MeiryoKe がシステムフォントになっているからこその現象ですから、レジストリ変更をしていない場合には起動しないでしょう。無謀な冒険は避けておくのがよいと思います。

〔2007.02.18 追記(2)〕

Fontsフォルダを開くと、MS Gothic, MS PGothic, MS UIGothic が認識されるようです。閉じてからもう一度開いてみるとちゃんと認識されており、Styler の表示等も元通りになります。ブラウザでの表示も同様です。お騒がせいたしました。Fontsフォルダを開かずにいたらどうなるか、さらに実験を続けます(認識されてしまったら MSGothic_ex.ttc と MSGothic_org.ttc を交互に入れ換えて再起動。ファイル名の変更はしない)。

〔2007.02.18 追記(3)〕

エクスプローラで Fontsフォルダを開いた場合は大丈夫なようです。追記(2)は、直接 Fontsフォルダのウインドウを開いた場合です。しかし、エクスプローラや他のファイラーで MS Gothic, MS PGothic, MS UIGothic が収納されているファイルをダブルクリックして直接開こうとした場合にもおそらく認識されるだろうと思います。つまり、MS Gothic, MS PGothic, MS UIGothic を含むファイルに直接アクセスするようなアクションをすると認識されるということでしょう。私はエクスプローラをほとんど使わずに WinFD というファイラーを使っていますが、WinFDで Fontsフォルダを開いた場合もそれだけで認識されることはありません。

追記(2)を書いた後 Fontsフォルダのウインドウを開いていませんが、MS Gothic系が MeiryoKe系で表示されるという状態は維持されています。

〔2007.02.19 追記(4)〕

追記(3)を書いている段階では大丈夫だったのですが、現在は認識された状態になっています。エクスプローラで Fontsフォルダを開いた場合にも認識されるということでしょう。

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Windows Font Final(まいう~さん)

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コメント
 
[288] 
2008/03/19(水)14:35:50 | URL | マリンライナー13号[編集
先日はありがとうございました。

さて、今回自ら人柱となり(笑)、MS ゴシック・MS Pゴシック・MS UI GothicをFontsフォルダから別のところに移動(msgothic.ttcだけでなくMSgothic.ttf・MSPgothic.ttf・MSUIgothic.ttfも)してみたところ、今までMS UI Gothicで表示されていた「個人設定を読み込んでいます・・・」や、「Windowsをシャットダウンしています・・・」などがMeiryoKeで表示されるようになりました。また、IE6で英数字の部分がMS UI Gothicで表示されていたんですが、それもMeiryoKeになりました。
今のところ(まだ数時間ですが)問題は起きていません。

それから、言語バーは相変わらずガクガクフォントのままですが、よ~く見てみるとClearTypeの効いていないMeiryoKeのようです(これはフォント移動前から)。

シカゴ様の仰るとおり危険な行為ですが、一応うまくいった(?)のでご報告します。
 
[289] 
2008/03/19(水)14:38:47 | URL | マリンライナー13号[編集
書き忘れましたが、meiryo.regでMeiryoKeをシステムフォントにした後でこの作業をしました。
レジストリ変えずにフォント移動したらシカゴ様の仰るとおり多分起動しません。
 
[290] 
2008/03/22(土)17:35:41 | URL | シカゴ[編集
マリンライナー13号さん、こんにちは。

人柱ですか。
私などはこのノートPCが起動できなくなったらネットにつなぐことさえできなくなりますから、ちょっと恐くてできません。

まあ、MeiryoKe を MSGothic に偽装している段階で冒険をしているわけですが……。とりあえず、今は満足しています。Windows Media Player のスキンモードでのプレイリストと GomPlayer のプレイリストで ClearType が効いていないのが不満といえば不満です。
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言語関連の用語について

 表現された言語(本来の意味の言語)を単に言葉あるいは言語、ことば…のように表記しています。ソシュール的な意味の言語(言語規範ないし思考言語)はカッコつきで「言語」あるいは「言語langue」・「ラング」・「ことば」等と表記しています。(背景色つきで「言語」のように表記している場合もあります)

 一般的な意味の概念を単に概念と表記し、ソシュール的な意味の概念(語の意義としての概念、いわゆるシニフィエ・語概念)はカッコつきで「概念」と表記します。(2006年9月9日以降)

 また、ある時期からは存在形態の違いに応じて現実形態表象形態概念形態のように用語の背景色を変えて区別しています(この文章では〈知覚形態〉も〈表象形態〉に含めています)。

 ソシュールの規定した用語を再規定し、次のような日本語に置き換えて表記します。詳細は「ソシュール用語の再規定(1)」を参照。

【規範レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語韻     (ある語音から抽出された音韻)

・シニフィエ   → 語概念(語義) (ある語によって表わされるべき概念)

・シーニュ・記号 → 語規範(語観念)(ある語についての規範認識)

・記号の体系   → 語彙規範   (語すべてについての規範認識)

・言語      → 言語規範   (言語表現に関するすべての規範認識)

語概念・語韻は 語概念⇔語韻語韻⇔語概念)という連合した形で語規範として認識されています。語規範はこのように2つの概念的認識が連合した規範認識です。ソシュールは「言語langue」を「諸記号」相互の規定関係と考えてこれを「記号の体系」あるいは「連合関係」と呼びますが、「記号の体系・連合関係」の実体は語彙規範であり、言語規範を構成している一つの規範認識です。規範認識は概念化された認識つまり〈概念形態〉の認識なのです。

なお、構造言語学・構造主義では「連合関係」は「範列関係(範例関係)」(「パラディグム」)といいかえられその意義も拡張されています。

 語・内語・言語・内言(内言語・思考言語) について、語規範および言語規範に媒介される連合を、三浦つとむの主張する関係意味論の立場からつぎのように規定・定義しています。詳細は『「内語」「内言・思考言語」の再規定』を参照。(2006年10月23日以降)

  : 語規範に媒介された 語音個別概念 という連合を背後にもった表現。

内語 : 語規範に媒介された 語音像⇔個別概念 という連合を背後にもった認識。

言語 : 言語規範に媒介された 言語音(語音の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった表現。

内言 : 言語規範に媒介された 言語音像(語音像の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった認識・思考過程。

内語内言は〈表象形態〉の認識です。

なお、上のように規定した 内言(内言語・内的言語・思考言語)、 内語とソシュール派のいうそれらとを区別するために、ソシュール派のそれらは「内言」(「内言語」・「内的言語」・「思考言語」)、「内語」のようにカッコつきで表記します。

また、ソシュールは「内言」つまり表現を前提としない思考過程における内言および内言が行われる領域をも「言語langue」と呼んでいるので、これも必要に応じてカッコつきで「内言」・「内言語」・「内的言語」・「思考言語」のように表記します(これらはすべて内言と規定されます)。さらに、ソシュールは「内語の連鎖」(「分節」された「内言」)を「言連鎖」あるいは「連辞」と呼んでいますが、まぎらわしいので「連辞」に統一します(「連辞」も内言です)。この観点から見た「言語langue」は「連辞関係」と呼ばれます。ソシュールは「内語」あるいは「言語単位」の意味はこの「連辞関係」によって生まれると考え、その意味を「価値」と呼びます。構造言語学では「言(話し言葉)」や「書(書き言葉)」における語の連鎖をも「連辞」と呼び、「連辞関係」を「シンタグム」と呼んでいます。詳細は「ソシュールの「言語」(1)~(4)」「ソシュール用語の再規定(1)~(4)」「ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8)」を参照。

 さらに、ソシュールは内言における 語音像⇔個別概念 という形態の連合も「シーニュ・記号」と呼んでいるので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【内言レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音像(個別概念と語規範に媒介されて形成される語音の表象)

・シニフィエ   → 個別概念(知覚や再現表象から形成され、語規範の媒介によって語音像と連合した個別概念)

・シーニュ・記号 → 内語

・言語      → 内言

ソシュールがともに「シーニュ・記号」と呼んでいる2種類の連合 語韻⇔語概念語規範)と 語音像⇔個別概念内語)とは形態が異なっていますのできちんと区別して扱う必要があります。

 また、実際に表現された言語レベルにおいても、語音個別概念 という形態の連合が「シーニュ・記号」と呼ばれることもありますので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【言語(形象)レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音個別概念語規範に媒介されて実際に表現された語の音声。文字言語では文字の形象

・シニフィエ   → 表現された語の意味。個別概念を介して間接的にと結びついている(この個別概念語規範の媒介によってと連合している)

・シーニュ・記号 → (表現されたもの)

・言語      → 言語(表現されたもの)

 語音言語音語音像言語音像語韻についての詳細は「言語音・言語音像・音韻についての覚書」を、内言内語については「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」を参照して下さい。また、書き言葉や点字・手話についても言語規範が存在し、それらについても各レベルにおける考察が必要ですが、ここでは触れることができません。

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プロフィール

シカゴ・ブルース

シカゴ・ブルース (ID:okrchicagob)

1948年10月生れ(74歳♂)。国語と理科が好き。ことばの持つ意味と自然界で起きるできごとの不思議さについて子供のころからずっと関心を抱いていました。20代半ばに三浦つとむの書に出会って以来言語過程説の立場からことばについて考え続けています。長い間続けた自営(学習塾)の仕事を辞めた後は興味のあることに関して何でも好き勝手にあれこれ考える日々を過ごしています。千葉県西部在住。

2021年の2月下旬から海外通販(日系法人)を通じてイベルメクチンのジェネリック(イベルメクトール他)を購入し、定期的に服用しています。コロナワクチンは接種していません。

ツイッターは okrchicagob(メインアカウント)、または Chicagob Okr(サブアカウント)。

コメント等では略称の シカゴ を使うこともあります。

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意識と言語(こころとことば)

われわれは人間が『意識』をももっていることをみいだす。しかし『精神』は物質に『つかれて』いるという呪いをもともとおわされており、このばあいに物質は言語の形であらわれる。言語は意識とおなじようにふるい――言語は実践的な意識、他の人間にとっても存在し、したがってまた私自身にとってもはじめて存在する現実的な意識である。そして言語は意識とおなじように他の人間との交通の欲望、その必要からはじめて発生する。したがって意識ははじめからすでにひとつの社会的な産物であり、そして一般に人間が存在するかぎりそうであるほかはない。(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』古在由重訳・岩波文庫)


ことばは、人間が心で思っていることをほかの人間に伝えるために使われています。ですから人間の心のありかたについて理解するならばことばのこともわかってきますし、またことばのありかたを理解するときにその場合の人間の心のこまかい動きもわかってきます。
このように、人間の心についての研究とことばについての研究とは密接な関係を持っていて、二つの研究はたがいに助け合いながらすすんでいくことになります。一方なしに他方だけが発展できるわけではありません。
…こうして考えていくと、これまでは神秘的にさえ思われたことばのありかたもまったく合理的だということがおわかりになるでしょう。(三浦つとむ『こころとことば』季節社他)


参考 『認識と言語の理論 第一部』 1章(1) 認識論と言語学との関係

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ふしぎだと思うこと
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よく観察してたしかめ
そして考えること
  これが科学の茎です
そうして最後になぞがとける
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