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2007年02月19日(月)| パソコン>フォント・スキン |  
WindowsXP のシステム・フォントを変更する(4)――番外

WindowsXP のシステム・フォントを変更する(3)の実験についての追記が長くなってしまいましたので、新しい記事(番外編)として続けます。追記というのは、つぎのような現象に関するものです。

フォント関係のレジストリ値を変更・追加してシステムフォントを MSゴシックから MeiryoKe に変更した状態で Fontsフォルダの MSGothic.ttc のファイル名を他のもの(MSGothic_org.ttc など)に変えて起動すると奇妙な現象――システムフォントを変更しているにもかかわらず依然として MSゴシック系で表示されていた部分が MeiryoKe系で表示されるようになる現象――が起こります。この現象を観察してみようというわけです。

この現象は、起動時にシステムが MSゴシック系のフォントを認識できないために起こっていると考えられますが、Fontsフォルダのウィンドウを開いたり、エクスプローラで Fontsフォルダを覗いたりすると MSゴシック系のフォントが認識され、この現象は終ってしまいます。MSゴシックで表示されていたサイトなどが MeiryoKe で表示されるなど、この現象の恩恵は有り難いのですが、ちょっとフォントフォルダを覗いたくらいで終ってしまうのは残念です。もっとも過激なやり方は Fontsフォルダから MSGothic.ttc をなくしてしまうことですが、これはあまりやりたくない(そのうちやるかもしれませんが…)。で、 MSゴシック系のフォントを認識しているかどうかを Fontsフォルダを覗かずに確かめるにはレジストリを調べてみればよい、ということに今さらながら気づきました。

[HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion\Fonts] の内容を見ればいいのですね。チェックしてみるとやはり MS Gothic, MS PGothic, MS UIGothic は認識されていませんでした。

また、ファイル名を変えているという仮装がシステムにばれてしまっても、元の MSゴシックではなく、ビットマップを除去した MSゴシックに戻るのなら我慢できるかもしれません。というわけで「WindowsXP のシステム・フォントを変更する(3)」でご紹介した「MSゴシックとMS明朝で、ClearTypeを有効にする」というページを参考にして、ビットマップデータを除去した MSGothic.ttc を作りました。これをコピーして MSGothic_new1.ttc, MSGothic_new1.ttc というファイル名の二つのフォントファイルを作り、これらをとっかえひっかえ Fontsフォルダに入れて観察を続けることにしました。

ビットマップを取り去った MSゴシックですが、マイクロソフトがビットマップで置き換えるだけのことはありますね。ClearType にしても日本語部分はやはりでこぼこが目立ちます(英数字はそれほどでもありません)。12pt あたりの大きさではあまり使いたくないフォントです。しかし、8pt とか 9pt あたりならなんとか見られます。ビットマップよりも可読性がいいことはたしかです。Styler の表示でも悪くはありません。ブラウザでサイトの文を読むのはちょっと(それでも老眼の私にはビットマップよりは読みやすい)といった感じでしょうか。

〔2007.02.19 追記

ビットマップを取り去った MSゴシックではやはり満足できません。それで、MSGothic.ttc からビットマップデータを除去した勢いを借りて、meiryoKeGothic.ttc に入っている MeryoKe_Gothic, MeryoKe_PGothic, MeryoKe_UIGothic のフォント名をそれぞれ MS Gothic, MS PGothic, MS UI Gothic に変えたフォントファイルを生成することに挑戦してみました。その結果、多少のつまづきはあったものの、「MSゴシックとMS明朝で、ClearTypeを有効にする」や「ttfname3」を参考にしてなんとか成功しました。

* meiryoKeGothic.ttc の内部フォント名を MSGothic.ttc のものと同じに変更し、さらにこの変更した meiryoKeGothic.ttc のファイル名を MSGothic.ttc にしたものをオリジナルの MSGothic.ttc と入れ換えてしまえば、てっとりばやくシステムフォントを meiryoKe にしてしまうことができます。この方法について「WindowsXP のシステム・フォントを変更する(5)――最終」に詳しく書きました。

そんなわけで、現在私のパソコンの Fontsフォルダには MSGothic.ttc の代わりに MSGothic_MKe.ttc(これが生成したフォント) が入っています。再起動してさらにシステムに認識させたのでレジストリの [Fonts] にも "MS Gothic & MS PGothic & MS UI Gothic (TrueType)"="MSgothic_MKe.ttc" として登録されています。ここまでやってしまうと「WindowsXP のシステム・フォントを変更する(1)」で施したレジストリ値の変更・追加の多くは不要になるのですが、meiryoKeGothic.ttc で MSGothic.ttc を置き換えたことによる弊害が何か現われるかもしれないので、当面このままで使い続けてみようと思います。

下は Styler の表示です。

Styler_MKe1.png

Styler_MKe2.png

〔2007.02.26追記

何日かの間、MSGothic.ttcに化けた MeiryoKe_Gothic.ttc(内部フォント名を MS Gothic, MS PGothic, MS UI Gothic に変更) を Fostsフォルダに置いて、オリジナルの msgothic.ttcを待避させた状態で WindowsXP を使用していますが、今のところ特に不具合はありません。また、MeiryoKe を MS Gothic としてシステムに認識させているので、レジストリの [Associated DefaultFonts] も "AssocSystemFont"="MSGothic.ttc", "FontPackage"="MS Gothic" に戻しました。

というわけで、このまま続けます。何かあったら、報告致します。

(関連記事)

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コメント
 
[96] 
2007/02/21(水)12:47:41 | URL | takayuki[編集
美しいですね~。明朝までクリアタイプでかっ!
挑戦して見たくなりました。
もし可能ならmeiryoKeからのビットマップ除去手順をご教授願いたいですね~。
 
[97] 
2007/02/21(水)23:45:17 | URL | シカゴ・ブルース[編集
>明朝までクリアタイプでかっ!
ビットマップ・データを除去したのは(オリジナルの)MS ゴシックです。MS 明朝には何も手を加えてはいないのです。でも、MS 明朝に化けた EPSON太明朝というのも読みやすいかもしれませんね。

>もし可能ならmeiryoKeからのビットマップ除去手順をご教授願いたいですね~。
上記のようにビットマップを除去したのはMS ゴシックです。meiryoKe_Gothic.ttc の方はもともとビットマップ・データを含んでいませんから。

やったことは、meiryoKe_Gothic.ttc 内部のフォント名 MeryoKe_Gothic, MeryoKe_PGothic, MeryoKe_UIGothic をそれぞれ MS Gothic, MS PGothic, MS UI Gothic に変えて、さらにそのファイル名をMSGothic_MKe.ttc に変え、MSGothic.ttc の代わりに Fontsフォルダに入れたということです(今はもっと過激に MSGothic.ttc に変えています。完全に MSGothic.ttc になりすましています)。

で、meiryoKe_Gothic.ttc を MSGothic.ttc に変身させるのは本文の追記にある二つのサイトを参考にすれば、それほど大変な作業ではありません。

(1) meiryoKe_Gothic.ttc から三つの .ttf を取り出す。←BREAKTTC.EXE を使用。
(2) (1)で取り出した三つの .ttf それぞれの内部に書きこまれているフォント名をそれぞれMS Gothic, MS PGothic, MS UI Gothic に変える。←ttfname3.exe とメモ帳を使用。
(3) (2)で内部フォント名を変えた三つの .ttf
をまとめて一つの .ttc にする。このファイル名は好きな名前にできる。←MAKETTC.EXE を使用。

注意点は BREAKTTC.EXE, ttfname3.exe, MAKETTC.EXE はコマンドプロンプトで実行する必要があることと、生成過程で用いるファイル名を8バイト以下にすること(私は WinFD という DOS(DOS Shell)コマンド を直接実行できるファイラーを使ってすべてを処理しました)。
 
[98] 
2007/02/22(木)00:08:49 | URL | takayuki[編集
ありがとうございました。感謝!!
 
[99] 
2007/02/22(木)00:30:59 | URL | シカゴ・ブルース[編集
補足です。

>(2) (1)で取り出した三つの .ttf それぞれの内部に書きこまれているフォント名をそれぞれMS Gothic, MS PGothic, MS UI Gothic に変える。←ttfname3.exe とメモ帳を使用。

最後の名前を書き込むところ

「# XMLが出来たら、元のフォントファイルと XMLファイルの2つを一緒に、ttfname3.exeにドラッグドロップします。
同じフォルダに hoge_mod.ttc のようにフォントが生成されます。」

では、エクスプローラを使います。コントロールキーを押しながら元のフォントファイルと XMLファイルの2つを選択し、ttfname3.exeにドラッグドロップします。

この方法がわからずに苦労しました。
 
[100] 
2007/02/22(木)00:42:38 | URL | シカゴ・ブルース[編集
修正・補足です。

>注意点は BREAKTTC.EXE, ttfname3.exe, MAKETTC.EXE はコマンドプロンプトで実行する必要があること

ttfname3.exe はドラッグ&ドロップで実行できます。ですから、(2)はコマンドプロンプトに降りずにエクスプローラ上ですべての処理ができます。
 
[103] 
2007/02/22(木)22:46:52 | URL | takayuki[編集
小生も成功です!
欲を云えばstylerの「スタイル」「フォント」の下にある「常にこの設定にする」などがクリアタイプで表示出来れば、、、
やはり、この部分はビットマップフォントである赤文字のMS Sans Serifのためですかね?
 
[104] 
2007/02/23(金)02:27:26 | URL | シカゴ・ブルース[編集
9px とか 10px あたりのサイズではメイリオ系はみんなあんな感じになります。特に日本語部分は。しんにょうなどは位置が上がってしまって不格好ですね。

Styler の「常にこの設定を使用する」の部分は 9px で、「変更を適用」は 10px だと思います。
 
[105] 
2007/03/04(日)13:11:11 | URL | takayuki[編集
その後試行錯誤の結果、
styler「常にこの設定を使用する」などの箇所もmeiryoKeになりました。
photoshopなどのプルダウンメニューも合わせて美しくなりました。

FontSubstitutesに下記追加
"Microsoft Sans Serif,0"="MeiryoKe_UIGothic,128"

参考になれば幸いです...
 
[107] 
2007/03/05(月)02:31:47 | URL | シカゴ・ブルース[編集
>参考になれば幸いです...
やってみました。ありがとうございます。おかげできれいな表示になりました。

とすると、不格好な感じになるのは文字サイズとは関係ないのですね。むしろフォントリンクした英文フォントに日本語部分の高さを無理して揃えているために日本語部分のバランスが崩れてしまうのかもしれません。そういえば、Tahoma が指定されているときも不格好になります。

[FontSubstitutes] で "Microsoft Sans Serif" を "MeiryoKe_UIGothic" に代替してしまうわけですから、フォントリンク[SystemLink] の "Microsoft Sans Serif"="meiryoKeGothic.ttc,MeiryoKe_UIGothic" は必要ありませんね。削除しなくても大丈夫でしょうがむしろ邪魔かもしれませんので、試しに削除してしばらく様子を見てみます。
 
[108] 
2007/03/06(火)01:46:25 | URL | シカゴ・ブルース[編集
>試しに削除してしばらく様子を見てみます。

削除ではなくて「元に戻す」ですね。元に戻さなくても支障はないみたいなのでそのままにしておきます。
 
[109] 
2007/03/06(火)12:48:23 | URL | takayuki[編集
小生も、
WindowsXP のシステム・フォントを変更する(5)――最終にある通りで、2週間以上経過してますが、何ら不都合はありません!

これでWindowsでも満足のいくクリアタイプを体感中です。
有難うございましたっ。
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言語関連の用語について

 表現された言語(本来の意味の言語)を単に言葉あるいは言語、ことば…のように表記しています。ソシュール的な意味の言語(言語規範ないし思考言語)はカッコつきで「言語」あるいは「言語langue」・「ラング」・「ことば」等と表記しています。(背景色つきで「言語」のように表記している場合もあります)

 一般的な意味の概念を単に概念と表記し、ソシュール的な意味の概念(語の意義としての概念、いわゆるシニフィエ・語概念)はカッコつきで「概念」と表記します。(2006年9月9日以降)

 また、ある時期からは存在形態の違いに応じて現実形態表象形態概念形態のように用語の背景色を変えて区別しています(この文章では〈知覚形態〉も〈表象形態〉に含めています)。

 ソシュールの規定した用語を再規定し、次のような日本語に置き換えて表記します。詳細は「ソシュール用語の再規定(1)」を参照。

【規範レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語韻     (ある語音から抽出された音韻)

・シニフィエ   → 語概念(語義) (ある語によって表わされるべき概念)

・シーニュ・記号 → 語規範(語観念)(ある語についての規範認識)

・記号の体系   → 語彙規範   (語すべてについての規範認識)

・言語      → 言語規範   (言語表現に関するすべての規範認識)

語概念・語韻は 語概念⇔語韻語韻⇔語概念)という連合した形で語規範として認識されています。語規範はこのように2つの概念的認識が連合した規範認識です。ソシュールは「言語langue」を「諸記号」相互の規定関係と考えてこれを「記号の体系」あるいは「連合関係」と呼びますが、「記号の体系・連合関係」の実体は語彙規範であり、言語規範を構成している一つの規範認識です。規範認識は概念化された認識つまり〈概念形態〉の認識なのです。

なお、構造言語学・構造主義では「連合関係」は「範列関係(範例関係)」(「パラディグム」)といいかえられその意義も拡張されています。

 語・内語・言語・内言(内言語・思考言語) について、語規範および言語規範に媒介される連合を、三浦つとむの主張する関係意味論の立場からつぎのように規定・定義しています。詳細は『「内語」「内言・思考言語」の再規定』を参照。(2006年10月23日以降)

  : 語規範に媒介された 語音個別概念 という連合を背後にもった表現。

内語 : 語規範に媒介された 語音像⇔個別概念 という連合を背後にもった認識。

言語 : 言語規範に媒介された 言語音(語音の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった表現。

内言 : 言語規範に媒介された 言語音像(語音像の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった認識・思考過程。

内語内言は〈表象形態〉の認識です。

なお、上のように規定した 内言(内言語・内的言語・思考言語)、 内語とソシュール派のいうそれらとを区別するために、ソシュール派のそれらは「内言」(「内言語」・「内的言語」・「思考言語」)、「内語」のようにカッコつきで表記します。

また、ソシュールは「内言」つまり表現を前提としない思考過程における内言および内言が行われる領域をも「言語langue」と呼んでいるので、これも必要に応じてカッコつきで「内言」・「内言語」・「内的言語」・「思考言語」のように表記します(これらはすべて内言と規定されます)。さらに、ソシュールは「内語の連鎖」(「分節」された「内言」)を「言連鎖」あるいは「連辞」と呼んでいますが、まぎらわしいので「連辞」に統一します(「連辞」も内言です)。この観点から見た「言語langue」は「連辞関係」と呼ばれます。ソシュールは「内語」あるいは「言語単位」の意味はこの「連辞関係」によって生まれると考え、その意味を「価値」と呼びます。構造言語学では「言(話し言葉)」や「書(書き言葉)」における語の連鎖をも「連辞」と呼び、「連辞関係」を「シンタグム」と呼んでいます。詳細は「ソシュールの「言語」(1)~(4)」「ソシュール用語の再規定(1)~(4)」「ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8)」を参照。

 さらに、ソシュールは内言における 語音像⇔個別概念 という形態の連合も「シーニュ・記号」と呼んでいるので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【内言レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音像(個別概念と語規範に媒介されて形成される語音の表象)

・シニフィエ   → 個別概念(知覚や再現表象から形成され、語規範の媒介によって語音像と連合した個別概念)

・シーニュ・記号 → 内語

・言語      → 内言

ソシュールがともに「シーニュ・記号」と呼んでいる2種類の連合 語韻⇔語概念語規範)と 語音像⇔個別概念内語)とは形態が異なっていますのできちんと区別して扱う必要があります。

 また、実際に表現された言語レベルにおいても、語音個別概念 という形態の連合が「シーニュ・記号」と呼ばれることもありますので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【言語(形象)レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音個別概念語規範に媒介されて実際に表現された語の音声。文字言語では文字の形象

・シニフィエ   → 表現された語の意味。個別概念を介して間接的にと結びついている(この個別概念語規範の媒介によってと連合している)

・シーニュ・記号 → (表現されたもの)

・言語      → 言語(表現されたもの)

 語音言語音語音像言語音像語韻についての詳細は「言語音・言語音像・音韻についての覚書」を、内言内語については「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」を参照して下さい。また、書き言葉や点字・手話についても言語規範が存在し、それらについても各レベルにおける考察が必要ですが、ここでは触れることができません。

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プロフィール

シカゴ・ブルース

シカゴ・ブルース (ID:okrchicagob)

1948年10月生れ(74歳♂)。国語と理科が好き。ことばの持つ意味と自然界で起きるできごとの不思議さについて子供のころからずっと関心を抱いていました。20代半ばに三浦つとむの書に出会って以来言語過程説の立場からことばについて考え続けています。長い間続けた自営(学習塾)の仕事を辞めた後は興味のあることに関して何でも好き勝手にあれこれ考える日々を過ごしています。千葉県西部在住。

2021年の2月下旬から海外通販(日系法人)を通じてイベルメクチンのジェネリック(イベルメクトール:インド Sun Pharma 社製)を購入し、定期的に服用しています。コロナワクチンは接種していません。

ツイッターは okrchicagob(メインアカウント)、または Chicagob Okr(サブアカウント)。

コメント等では略称の シカゴ を使うこともあります。

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われわれは人間が『意識』をももっていることをみいだす。しかし『精神』は物質に『つかれて』いるという呪いをもともとおわされており、このばあいに物質は言語の形であらわれる。言語は意識とおなじようにふるい――言語は実践的な意識、他の人間にとっても存在し、したがってまた私自身にとってもはじめて存在する現実的な意識である。そして言語は意識とおなじように他の人間との交通の欲望、その必要からはじめて発生する。したがって意識ははじめからすでにひとつの社会的な産物であり、そして一般に人間が存在するかぎりそうであるほかはない。(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』古在由重訳・岩波文庫)


ことばは、人間が心で思っていることをほかの人間に伝えるために使われています。ですから人間の心のありかたについて理解するならばことばのこともわかってきますし、またことばのありかたを理解するときにその場合の人間の心のこまかい動きもわかってきます。
このように、人間の心についての研究とことばについての研究とは密接な関係を持っていて、二つの研究はたがいに助け合いながらすすんでいくことになります。一方なしに他方だけが発展できるわけではありません。
…こうして考えていくと、これまでは神秘的にさえ思われたことばのありかたもまったく合理的だということがおわかりになるでしょう。(三浦つとむ『こころとことば』季節社他)


参考 『認識と言語の理論 第一部』 1章(1) 認識論と言語学との関係

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ふしぎだと思うこと
  これが科学の芽です
よく観察してたしかめ
そして考えること
  これが科学の茎です
そうして最後になぞがとける
  これが科学の花です
        朝永振一郎

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