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2004年03月04日(木)| 意識>神経系 |  
認識についての覚書(2)――脳の機能

〔2004.03.04記/2008.01.24転載〕

〔注記〕 「ことば・認識についての覚書」からの転載です。転載にあたって多少の体裁変更を行ないました。知見としては古いものもありますが大筋は変わっていないと思います。

3. 脳の機能

脳は形態や機能などによっていくつかに分かれているが、脳についてはまだ分かっていないことが多い。主なものを以下にまとめる。

大脳皮質

部位的に前頭葉,頭頂葉,後頭葉,側頭葉などに区別され、機能的には古皮質・元皮質・中間皮質・新皮質に分けられるが大脳皮質の大半が新皮質である。新皮質以外は大脳辺縁系に属し、本能行動や情動に関係するといわれる。新皮質は運動性・感覚性・連合性の各部位(運動野感覚野連合野)に分かれている。

骨格筋の運動ニューロンを直接支配するのが一次運動野(前頭葉中心後回)である。視床から体性感覚情報を受け取るのが一次感覚野(後頭葉中心前回)で中心溝をはさんで運動野と接している。そのまわりに二次的な投射を受ける感覚周辺野があり、それぞれの感覚種ごとに一次と二次の視覚野(後頭葉最後部)・聴覚野(側頭葉上縁)・嗅覚野(前頭葉下面?)・味覚野(前頭葉島?)などがある。二次感覚野では一次感覚野で分析を受けた感覚情報をさらに分析・統合した後具体的な感覚が形成される。また、二次感覚野は分析した感覚情報を連合野に投射する。ただし痛覚のような原始的な感覚は大脳皮質に感覚野がなく、視床などの皮質下の部位で分析され感覚・知覚される。

運動野と感覚野の間に広がる広い連合野は感覚と運動の連絡や統合を担っている。また、連合野は視床や視床下部とも双方向の連絡をもっている。このように連合野はさまざまな領域からの投射を受けて知覚(知覚表象)を形成する。

連合野は知覚を含め、高等な精神作用の統合をもつといわれ、部位的には前頭連合野は思考・意志・創造・人格などの、前側頭連合野は記憶の、頭頂-側頭-後頭前連合野は知覚・認知・判断の座・中枢と考えられている。これまでのところ、連合野の中には運動性言語中枢であるブローカー野(左前頭葉下方)や聴覚性言語中枢であるウェルニッケ野(左側頭葉聴覚野後上方)、言語中枢読書・書字の中枢および記憶中枢などがあることがわかっている。

大脳辺縁系

海馬の近くにある海馬旁回や脳梁周辺の帯状回などの古い皮質と、それに密接に関係する扁桃核などを合わせたもの。辺縁系は情動(本能的欲求が満たされたか否かによって起こる快不快の感情)の表出や情動をもとに運動系や自律系を統合した本能行動を支配している。また、海馬記憶の保持や想起を調節する部位と考えられている。

大脳基底核

大脳深部に位置する核群で、尾状核、淡蒼球、被殻、前障、扁桃体からなる。尾状核と被殻は合わせて線条体とよばれる。間脳の視床下核や中脳の黒質や赤核との関連が深いのでこれらと含めて考えることが多い。扁桃体は古皮質との関連が深く、大脳辺縁系に含められる。基底核は大脳皮質からの入力を受けて出力を視床に送り大脳皮質に影響を与える。

脳幹

中脳、橋、延髄をまとめて脳幹という(間脳を加えることもある)。生命維持のために重要な自律機能を調節する部位があり、呼吸、循環、嘔吐、嚥下、排尿などの中枢がある。これらの中枢は白質と灰白質が入り混じった脳幹の網様体の中に広がっている(覚醒・睡眠の中枢も網様体の中にあるといわれる)。網様体は種々の感覚刺激を受けこれを視床下部を経て大脳皮質に出力することによって大脳皮質の興奮性を高め意識レベルを維持する。脳幹にはこのほかに頭部に分布する各種の筋を支配する脳神経の運動神経核があり、これらの筋の運動の調節や反射なども脳幹で行われている。

視床

間脳の大部分を構成する核群で、大脳皮質に多数の神経繊維を投射している。視床の第一の役割は嗅覚以外の感覚性神経繊維を中継し対応する感覚野に投射することであり、ほかには小脳(運動・平衡に関与)や大脳基底核からの入力を受けて大脳皮質の運動野に投射して姿勢や運動の制御にも関与している。

視床下部

間脳の一部で各種自律神経の中枢がある。大脳辺縁系とともに本能行動を起こしたり内部環境の調節を行なったりしている。視床下部には空腹中枢と満腹中枢、飲水中枢、性中枢がありそれぞれ摂食行動、飲水行動、性行動を調節している。また体温を調節する中枢もある。ほかに各種のホルモンを産生して下垂体等に分泌して尿の調節をしたり、下垂体のホルモンの分泌の調節を行なったりもしている。

●参考 脳の形態と機能―精神医学に関連して

◇◇◇ 2004.03.04/2004.03.06訂正/2004.03.08訂正・追記/2004.05.20訂正 ◇◇◇

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言語関連の用語について

 表現された言語(本来の意味の言語)を単に言葉あるいは言語、ことば…のように表記しています。ソシュール的な意味の言語(言語規範ないし思考言語)はカッコつきで「言語」あるいは「言語langue」・「ラング」・「ことば」等と表記しています。(背景色つきで「言語」のように表記している場合もあります)

 一般的な意味の概念を単に概念と表記し、ソシュール的な意味の概念(語の意義としての概念、いわゆるシニフィエ・語概念)はカッコつきで「概念」と表記します。(2006年9月9日以降)

 また、ある時期からは存在形態の違いに応じて現実形態表象形態概念形態のように用語の背景色を変えて区別しています(この文章では〈知覚形態〉も〈表象形態〉に含めています)。

 ソシュールの規定した用語を再規定し、次のような日本語に置き換えて表記します。詳細は「ソシュール用語の再規定(1)」を参照。

【規範レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語韻     (ある語音から抽出された音韻)

・シニフィエ   → 語概念(語義) (ある語によって表わされるべき概念)

・シーニュ・記号 → 語規範(語観念)(ある語についての規範認識)

・記号の体系   → 語彙規範   (語すべてについての規範認識)

・言語      → 言語規範   (言語表現に関するすべての規範認識)

語概念・語韻は 語概念⇔語韻語韻⇔語概念)という連合した形で語規範として認識されています。語規範はこのように2つの概念的認識が連合した規範認識です。ソシュールは「言語langue」を「諸記号」相互の規定関係と考えてこれを「記号の体系」あるいは「連合関係」と呼びますが、「記号の体系・連合関係」の実体は語彙規範であり、言語規範を構成している一つの規範認識です。規範認識は概念化された認識つまり〈概念形態〉の認識なのです。

なお、構造言語学・構造主義では「連合関係」は「範列関係(範例関係)」(「パラディグム」)といいかえられその意義も拡張されています。

 語・内語・言語・内言(内言語・思考言語) について、語規範および言語規範に媒介される連合を、三浦つとむの主張する関係意味論の立場からつぎのように規定・定義しています。詳細は『「内語」「内言・思考言語」の再規定』を参照。(2006年10月23日以降)

  : 語規範に媒介された 語音個別概念 という連合を背後にもった表現。

内語 : 語規範に媒介された 語音像⇔個別概念 という連合を背後にもった認識。

言語 : 言語規範に媒介された 言語音(語音の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった表現。

内言 : 言語規範に媒介された 言語音像(語音像の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった認識・思考過程。

内語内言は〈表象形態〉の認識です。

なお、上のように規定した 内言(内言語・内的言語・思考言語)、 内語とソシュール派のいうそれらとを区別するために、ソシュール派のそれらは「内言」(「内言語」・「内的言語」・「思考言語」)、「内語」のようにカッコつきで表記します。

また、ソシュールは「内言」つまり表現を前提としない思考過程における内言および内言が行われる領域をも「言語langue」と呼んでいるので、これも必要に応じてカッコつきで「内言」・「内言語」・「内的言語」・「思考言語」のように表記します(これらはすべて内言と規定されます)。さらに、ソシュールは「内語の連鎖」(「分節」された「内言」)を「言連鎖」あるいは「連辞」と呼んでいますが、まぎらわしいので「連辞」に統一します(「連辞」も内言です)。この観点から見た「言語langue」は「連辞関係」と呼ばれます。ソシュールは「内語」あるいは「言語単位」の意味はこの「連辞関係」によって生まれると考え、その意味を「価値」と呼びます。構造言語学では「言(話し言葉)」や「書(書き言葉)」における語の連鎖をも「連辞」と呼び、「連辞関係」を「シンタグム」と呼んでいます。詳細は「ソシュールの「言語」(1)~(4)」「ソシュール用語の再規定(1)~(4)」「ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8)」を参照。

 さらに、ソシュールは内言における 語音像⇔個別概念 という形態の連合も「シーニュ・記号」と呼んでいるので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【内言レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音像(個別概念と語規範に媒介されて形成される語音の表象)

・シニフィエ   → 個別概念(知覚や再現表象から形成され、語規範の媒介によって語音像と連合した個別概念)

・シーニュ・記号 → 内語

・言語      → 内言

ソシュールがともに「シーニュ・記号」と呼んでいる2種類の連合 語韻⇔語概念語規範)と 語音像⇔個別概念内語)とは形態が異なっていますのできちんと区別して扱う必要があります。

 また、実際に表現された言語レベルにおいても、語音個別概念 という形態の連合が「シーニュ・記号」と呼ばれることもありますので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【言語(形象)レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音個別概念語規範に媒介されて実際に表現された語の音声。文字言語では文字の形象

・シニフィエ   → 表現された語の意味。個別概念を介して間接的にと結びついている(この個別概念語規範の媒介によってと連合している)

・シーニュ・記号 → (表現されたもの)

・言語      → 言語(表現されたもの)

 語音言語音語音像言語音像語韻についての詳細は「言語音・言語音像・音韻についての覚書」を、内言内語については「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」を参照して下さい。また、書き言葉や点字・手話についても言語規範が存在し、それらについても各レベルにおける考察が必要ですが、ここでは触れることができません。

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プロフィール

シカゴ・ブルース

シカゴ・ブルース (ID:okrchicagob)

1948年10月生れ(74歳♂)。国語と理科が好き。ことばの持つ意味と自然界で起きるできごとの不思議さについて子供のころからずっと関心を抱いていました。20代半ばに三浦つとむの書に出会って以来言語過程説の立場からことばについて考え続けています。長い間続けた自営(学習塾)の仕事を辞めた後は興味のあることに関して何でも好き勝手にあれこれ考える日々を過ごしています。千葉県西部在住。

2021年の2月下旬から海外通販(日系法人)を通じてイベルメクチンのジェネリック(イベルメクトール:インド Sun Pharma 社製)を購入し、定期的に服用しています。コロナワクチンは接種していません。

ツイッターは okrchicagob(メインアカウント)、または Chicagob Okr(サブアカウント)。

コメント等では略称の シカゴ を使うこともあります。

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われわれは人間が『意識』をももっていることをみいだす。しかし『精神』は物質に『つかれて』いるという呪いをもともとおわされており、このばあいに物質は言語の形であらわれる。言語は意識とおなじようにふるい――言語は実践的な意識、他の人間にとっても存在し、したがってまた私自身にとってもはじめて存在する現実的な意識である。そして言語は意識とおなじように他の人間との交通の欲望、その必要からはじめて発生する。したがって意識ははじめからすでにひとつの社会的な産物であり、そして一般に人間が存在するかぎりそうであるほかはない。(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』古在由重訳・岩波文庫)


ことばは、人間が心で思っていることをほかの人間に伝えるために使われています。ですから人間の心のありかたについて理解するならばことばのこともわかってきますし、またことばのありかたを理解するときにその場合の人間の心のこまかい動きもわかってきます。
このように、人間の心についての研究とことばについての研究とは密接な関係を持っていて、二つの研究はたがいに助け合いながらすすんでいくことになります。一方なしに他方だけが発展できるわけではありません。
…こうして考えていくと、これまでは神秘的にさえ思われたことばのありかたもまったく合理的だということがおわかりになるでしょう。(三浦つとむ『こころとことば』季節社他)


参考 『認識と言語の理論 第一部』 1章(1) 認識論と言語学との関係

子どもたちに向けた言葉

ふしぎだと思うこと
  これが科学の芽です
よく観察してたしかめ
そして考えること
  これが科学の茎です
そうして最後になぞがとける
  これが科学の花です
        朝永振一郎

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