〔2004.03.05記〕
▼ 認識についての覚書(1)〜(7)をまとめて読む。
〔注記〕 「ことば・認識についての覚書」からの転載です。転載にあたって多少の体裁変更を行ないました。知見としては古いものもありますが大筋は変わっていないと思います。
4. 知覚と知覚表象
頭部および身体各部にある感覚の受容器(感覚器)が身体内部および外部の対象(事物・現象)と接触したり対象に働きかけたりして生じたさまざまな物理的・化学的な刺激は、脳神経あるいは脊髄神経を経て脳内のそれぞれの感覚中枢にインパルスの形で送られ分析される。反射神経のように中枢からただちに運動神経へと情報(インパルス)が送り返されるものを除き、中枢で分析された刺激情報はさらにそれぞれの感覚野に送られ詳細な分析がなされた後、それぞれの感覚種に対応する感覚が形成され、一次連合野に送られる。さらに数次の連合野にわたり感覚群に対する分析・統合がなされ、最終的に知覚(知覚表象)を生じる。このようにして感覚群は意識的なものとなり知覚あるいは認知が成立する。
知覚表象
知覚表象は感覚表象とも呼ばれ、目に映る映像・鼻に感じる匂い・耳に聴こえる音・舌に感じる味・皮膚に感じるあらゆる感覚・筋肉・内臓の動きや痛みの感じ・身体の動きや平衡感等々の具体的な表象であり、日常言語では「感覚」と呼ばれることが多い。むしろ日常言語では「知覚表象」という語が使われることはほとんどない。知覚表象は感覚が連合野において分析的に統合されたものであり、複雑な感覚情報処理の結果生まれるものであるから対象の単なる模像(写像)ではない。つまり知覚表象の形成にあたっては記憶その他の経験的認識あるいは生理的・情動的状態など個体環境からのさまざまなフィードバックを受けているというのが今日の生理学・生物学の一致した知見である。
これらのフィードバックのため、同じ対象であっても形成される知覚表象は個体(個人)により多少の差(個人差)がある。しかし感覚器官から送られてくる刺激はその時々の状態で異なるにもかかわらず同じ種類の刺激はいつもだいたい同じものとして知覚される。これは経験がもとになった生体の適応行動の一つで、恒常現象と呼ばれるものである。したがって通常は知覚表象の個体差(個人差)はほとんど問題にならない。
上記のように、知覚表象は心理学的には実際に目に映るものや音・匂い・温かさなどの像であり、対象のかなり忠実な模像(写像)である。また、知覚表象は空間認知や、反復刺激による時間表象(時間覚)をもたらす。いわゆる五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚・圧覚・振動覚・温覚・冷覚・痛覚)による知覚表象は外界および自己の外的肉体の認知を媒介し、五感および内感覚(筋肉覚や平衡覚、位置覚・運動覚など)による知覚表象は肉体的自己意識を媒介する。
●参考 感覚
◇◇◇ 2004.03.05/2004.03.06訂正/2004.03.08追記 ◇◇◇
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