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認識についての覚書(5)――カテゴリー・概念の階層 [PC版ページへ]
2004/03/15 13:08

〔2004.03.15,16記/2008.01.24転載〕

 認識についての覚書(1)――中枢神経と末梢神経/感覚と知覚

 認識についての覚書(2)――脳の機能

 認識についての覚書(3)――知覚と知覚表象

 認識についての覚書(4)――意識と認識/知覚表象と表象/表象と概念

 認識についての覚書(5)――カテゴリー・概念の階層

 認識についての覚書(6)――概念のまとめ

 認識についての覚書(7)――観念的自己分裂

 認識についての覚書(1)〜(7)をまとめて読む。

〔注記〕 「ことば・認識についての覚書」からの転載です。転載にあたって多少の体裁変更を行ないました。知見としては古いものもありますが大筋は変わっていないと思います。

6. カテゴリーの階層

カテゴリーの階層化

言語(規範)を獲得する前の幼児は経験によってさまざまなものや現象、および複数のもののあいだの関係などから共通する性質や構造を抽出して類別しそれらをカテゴリーとしてとらえている。たとえば、自分の世話をしてくれるものと同じような姿かたちをしていて自分に話しかけてくるもの〔人間〕や4本の足でしなやかに移動するもの〔動物〕、地面に生えている緑色のもの〔草〕、…などのように「〜のなかま」として概括してとらえているのである。このような把握は同じカテゴリーに属するものにも差異があって、ある程度の広がり(外延)を持っているという認識と、にもかかわらず同じカテゴリーに属するものはみな一定の共通性(内包)を持っているという認識を媒介にしてなされる。


さらに経験を経た幼児の認識は同じカテゴリーに属するものの中にある差異にもさらに狭い範囲の共通性があるという新しい認識の段階に進む。こうしてあるカテゴリーの中にもう一つ下のレベルのカテゴリーが成立する。カテゴリーの階層化は下に進むばかりでなく上にも進む。それまでは異なったカテゴリーであるととらえていた複数のカテゴリーが、カテゴリー間の共通性の認識からから実はもっと上位の同じカテゴリーに属するものであるという認識に至る。言語獲得以前の幼児の認識能力はこのようにものや現象などを類別するだけでなく階層化して分類するという段階にまで進む。

類別は差異と共通性をとらえる認識能力であるが、分類は差異や共通性それぞれの中にもまた差異や共通性があるということをとらえる認識能力である。


7. 概念の階層

カテゴリーの階層は概念の階層と直接に関係している。「〜のなかま」という概括は「〜」に属するすべてのものに共通する性質あるいは構造の認識によって可能になる。そしてこの認識は「〜」の概念そのものである。したがってカテゴリーの階層構造は概念の階層構造と相似である。なぜならカテゴリーの認識がなければ概念の認識は成立しないからである。もっといえばカテゴリーの認識⇔概念の認識なのである。発達心理学の知見によれば言語獲得に踏み出そうとしている段階の幼児はすでにカテゴリーを階層的な構造として認識しているという。したがってこの段階の幼児は概念の階層構造的な性格をすでに認識できていると考えられる。

概念の内包と外延

カテゴリーの認識には内包と外延があった。概念の内包・外延もこれらと相似のものである。たとえばリンゴの概念における内包とはリンゴ一般に共通する属性の認識であり、それはリンゴのカテゴリーを規定するリンゴの一般概念そのものである(リンゴってどんなもの?というときの「どんな」に相当する認識)。これに対してリンゴの概念の外延とはリンゴとしての共通属性をもつすべてのものの認識であり、それはリンゴのカテゴリーに属するすべての個別概念(すべてのリンゴ)のことである。これを数学的にいえば、カテゴリーとは集合であって、集合における内包とはその集合の定義であり、外延とはその集合に属するすべての要素である、ということになる(集合の表現形式には定義形式と列記形式の二つがある。この二つは集合を内包と外延のそれぞれで表現したものである)。したがってリンゴの概念における内包とはいわばリンゴの定義であり、外延とはリンゴのカテゴリーの最大限の拡がりの認識であるともいえる。そして、「りんごはくだものである」と表現されたとき、「りんご」「くだもの」ということばによって我々が想起するものはリンゴ・クダモノの一般概念(内包)であり、かつなんらかのリンゴ・クダモノの個別概念(外延から取り出したもの)なのである。

特殊概念と普遍概念

カテゴリーの階層化(概念の階層化)は必然的に分類の体系化に向かう。分類の体系においては最上位のカテゴリー以外のカテゴリーは必ず上位のカテゴリーに含まれ、最下位のカテゴリー以外のカテゴリーは必ず下位のカテゴリーを含むという包含関係にある([上位カテゴリー]⊃[下位カテゴリー])。したがって、中位のカテゴリーは自分より下位のカテゴリー全体を包括しているが、それ自身はまたその上位にあるカテゴリーからみれば単なる一員(一要素)にすぎない。カテゴリーはこのような二面性をもっているから、カテゴリーを規定する概念もまたこのような二面性をもっている。(中位の)概念は自分より下位にあるすべての概念に共通する部分を抽出したもの、つまりより抽出度の高いものであるが、自分よりも上位にあるすべての概念からみればより抽出度の低い概念にすぎない。概念はこのように上位の概念からみればその特殊なものであり、下位の概念からみれば普遍的である。したがって一般に概念は上位概念からみれば特殊概念であり、下位概念からみれば普遍概念であるという二面性をもっている(筆記用具という概念は、上位の文房具という概念からみれば特殊概念であるが、下位のペンという概念からみれば普遍概念なのである)。

◇◇◇ 2004.03.16/2004.03.17訂正・追記/2004.06.08書換 ◇◇◇

(関連記事)

ことばについての覚書(1)〜(3)



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