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2010年07月10日(土)| 社会>政治・経済 |  
『週刊ポスト』官房機密費告発(3)――メディアへの機密費バラ撒きの実態

『週刊ポスト』2010年6月11日号 p.34 

 怒りの告発キャンペーン 第3弾

 大新聞は1行も報道せず(東京新聞を除く)
   テレビは特集番組をあわてて中止!

 それでも本誌はあくまで追及する!

 官房機密費マスコミ汚染問題 歴代官邸秘書を連続直撃!

 なんとも異様な事態が起きている。新聞は、東京新聞(5月18日付で特集)を除き、どこも大々的に取り扱うことはしない。いつもなら雑誌のスクープに便乗するテレビもまったく後追いしない。なのに、編集部の電話は鳴り止まず、インターネットにも書き込みが溢れている。

 上杉隆氏によるメディアと官房機密費に関する追及キャンペーンである。早く打ち止めになって欲しいと願う記者クラブメディアには残念だが、元官邸秘書官らが次々に口を開き始めた流れは、もう止まらない。

「記者を一人ずつ個室に呼んで30万円を手渡した」

「総理外遊の同行記者に機内で“土産代”を」

 次々に驚き呆れる証言が、出るわ出るわ!

上杉隆(ジャーナリスト)と本誌取材班 

 テレビの特集がキャンセル

 先週、あるテレビ局の幹部との会合後、彼は親切にも私に、社内の動きを教えてくれた。政治部の幹部連中が、本誌キャンペーンに怒り心頭だという。

「上杉のスキャンダルを探せ。全力で探せ。経歴詐称でも、女絡(がら)みでも、誤報問題でも何でもいい。とにかく潰(つぶ)せ。

 こうした号令が部内にかけられているというのだ。呆れるほかないが、各方面から私に対する圧力が増してきているのは確かだ。

 テレビ朝日系『ビートたけしのTVタックル』が6月1日に官房機密費の特集を収録するとのことで、私もゲストとして呼ばれていた。ところが、直前になって企画自体が中止になったのである。同じく出演予定だった評論家の宮崎哲也氏が語る。

「官房機密費のテーマをぜひやりたいと番組側から打診を受け、上杉氏が出るというのでそれなら出たいと思っていたところ、後日番組側から、官房機密費については扱わなくなったと聞きました。野中広務氏がでないからだという。企画内容が変わって上杉氏も出ないというので、私も出演しないことにしました」

 TVタックルのプロデューサーも、「野中氏のスタジオ出演がスケジュール的に難しく、VTRにも出たくないとのことで、企画が空洞化してしまったことが理由」と説明する。しかし、私はこれまでも何度か出演したが、当事者がいないと企画が成立しないなどということは初めてのケースだ。何か企画を中止しなければならないような「力」が働いたのだろうか。またそれ以上に不思議なのは野中氏のこの間の行動だ。5月20日には毎日新聞の取材に応じている。「政治評論家へのあいさつなども前任の官房長官からノートで引き継いだ。1人だけ返してきたのが田原総一朗さん」(毎日5月21日付朝刊)など、これまで同様、小出しの発言を繰り返している。記者クラブメディアになら答えるが、私と話すのは嫌だということなのだろうか。

 一方で、この問題の重大性に気づく言論人も増えてきた。宮崎氏は、「メディアにおける政治報道の根本的な機能は、国民の政治的意思の形成に資する適正な情報を提供することだが、それが権力によって不当に歪められている、または歪められている疑いがあることは、民主主義の根幹に関わる問題」だとして、今後問題を追及する決意を表明する。また、ITジャーナリストの佐々木俊尚氏は、「この問題を報じられるかどうか、マスメディアの生死がかかっているかも知れない」、ジャーナリストの岩上安身氏は「上杉隆氏、義によって助太刀いたす」とそれぞれツイッターでつぶやいている。

 記者クラブメディアにも変化が起きている。幹部たちからの陰湿な嫌がらせとは対照的に、現場の記者からは、「やっちまえ」との声をよく聞く。実は前号で報じた記者クラブから官邸への「メモ上納」については、以前から記者クラブ内で問題視されていたのだ。

「森(喜朗)政権のときに、記者が夜回りして取ってきたオフ懇(オフレコ懇談会)メモが官邸に出回っていることが明らかになった。当時は手書きかワープロだから、メモを集約する部長やデスクから流れていることは明らか。どうせ部長クラスは機密費をもらってるんだろうという話も加わって、上を突き上げたことがあったんです。だから今回のことは、やっぱりかと」(国会担当記者)

 いよいよ、機密費を受け取った上の世代と、それを追及する下の世代とのマスコミ世代闘争の様相を呈してきた。新聞・テレビは毎週のように「世論調査」をする余裕があるのならば、何よりも先に社内がどれだけ機密費に汚染されているのか、「内部調査」をすべきだ。

 番記者たちのリストもある

 私はこの1週間ほどの間に、さらに数十人の元官邸関係者を連続直撃した。すると、メディアへの機密費バラ撒(ま)きの生々しい実態がわかってきた。

 本誌5月17日発売号(5月28日号――転載者註)で紹介した機密費リストについて、「この紙は断片に過ぎない」と教えてくれたのは、80年代に自民党政権下の官邸に務めた人物だ。彼は私が持参したメモを手に、解説してくれた。

「これは1枚紙のメモではなく、1冊のノートの断片にずらりと書き込まれたリストの見開きページをコピーしたもの。ここにあるのは政治評論家などの名前だが、そのほかのページには番記者たちの名前や社名なども記されていた。そのリストに沿って、盆暮れに現金や商品を配っていたんだ」

 政治評論家リスト、そしていま私のもとに次々と集ってきている政治部記者らの名前が記されたリストは、それらがひとまとめにされた「機密費ノート」の断片だったのだ。

 別の官邸秘書官経験者も口を揃える。

「盆暮れに記者を一人ずつ呼び出して、平均30万円ぐらいずつ配る。必ず個室で、証拠が残らない形で渡す。部数の多い大新聞や、影響力の高い一部のテレビ局の記者は10万円ぐらい上積みしていた。反対に、部数の少ないブロック紙や通信社は10万円ぐらい低かった」

 記者によって幅があるが、目安としてはA新聞と系列のAテレビ、そしてBテレビが最高ランクの40万円程度。C新聞や前記以外のテレビなどが30万円前後。低いのがD通信社で20万円といった具合だったという。

 また、前々号で紹介したリストには政治評論家の名前に続いて自民党議員や秘書の名前と、下は「50」から上は「1000」にいたる万単位の金額と思しき数字が記されているが、それにも理由があった。

「これもすべてマスコミ対策費だね。官邸が直接渡すのと別に、有力議員や秘書を通じて評論家や記者に機密費を配っていたんだ」

 リストには、議員や秘書の名前に加え、「自民党同志会50 自民党職員350 自民党幹事長室100 自民党選対100 自民党国対100」と記されていた。これもマスコミへの経由地なのだという。こうして自民党の複数のルートを通じて、マスコミへ機密費が広く配布されていたのだ。

 このリストは引き継ぎの際、後任の官房長官秘書官が新しいノートに書き写すと、前任者はノートやメモをシュレッダーにかけるなどして、処分していたという。そして、総理退陣の際、官邸に残された最後の儀式、機密費の「山分け」が行なわれる。

「基本は総理と官房長官で山分け。余った分はそれぞれの秘書官たちがお世話になった議員や官僚、評論家や記者らメディア関係者にも配って使い切る。引き継ぎのときは金庫を空にするのが礼儀だった(笑い)(官邸秘書経験者)

 政権交代にともなう麻生内閣・河村建夫前官房長官の「消えた機密費2億5000万円」の行方を探る上で、実に興味深い示唆ではないか。

 ちなみに、元参院議員の平野貞夫氏も、「細川護煕氏が首相を辞める際に、『私は機密費を自分で使ったことがない。お世話になった方に何かしたいのだが、どうすればよいか』と相談しにきた。『官房長官に相談すれば?』といったら、数日後に銀座から2万円の靴券が届いた。100人ぐらいに配ったそうだ」と証言している。

 90年代の内閣官房の元高官が明かしたのは、よりグローバルな話題だった。

「ワシントン支局などに転勤が決まった政治部記者に、100万円単位でつけ届けるんです。それで2年間ほど向こうからの情報を送ってくれると考えれば、安いものです」」

 こうなると記者はちょっとした諜報員である。元官邸関係者らは、ほかにも生々しい実態を教えてくれた。

「昔は総理外遊などの際は政府チャーター機の中で機密費を政治部記者にお土産代として配っていたが、経済部などよそ者がいる場合は後で個別に配っていた」といった受け渡しの詳細や、「記者を吉原や川崎のトルコ(風呂)に連れて行った」という風俗接待の有り様、「夜中に酔っぱらうとしょっちゅう機密費を無心してきた」「50万円から100万円にといった金額のランクアップを要求してきた」政治評論家の所業まで暴露。渡した側はみな次々と証言をしてくれる。

 官邸は機密費の目的を知らない?

 私は5月25日におこなわれた岡田克也外相の記者会見で、機密費がマスコミに渡っていた疑惑に関する見解を問うた。これに対し大臣は「マスコミ対策に使われたかどうかは承知していない。それは内閣官房に聞いてもらいたい」と答えた。これに関しては平野博文官房長官の問題であると明言したのだ。

 さて、その平野氏はというと、同26日、衆院議員の鈴木宗男氏の質問主意書に対して何とも奇妙な答弁書を示した。官房機密費がいつどんな目的で設けられたかについて、「初めて計上したのは昭和22年度だが、『何のために作られたものであるか』は確認できなかった」というのだ。河村前官房長官からの引き継ぎに関しても、具体的な使途についての説明や、引き継ぎの帳簿は存在しなかったとしている。

 平野官房長官は5月14日に、政権発足後の6か月で国庫から支給された官房機密費3億6000万円のうち、未使用分の約1620万円について国庫に返納したと発表している。裏を返せば、いまでも毎月約6000万円ずつ機密費を使っていることを明らかにしたわけだが、「何のために作られたものであるか」もわからず、「具体的な使途」も知らされないままにこれだけの税金を使っているとすれば、それこそ問題だ。

 平野氏は事の重大さを理解しているのだろうか。政治とジャーナリズムの癒着をめぐる全面戦争の火ぶたは、とっくに切って落とされているのだ。

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言語関連の用語について

 表現された言語(本来の意味の言語)を単に言葉あるいは言語、ことば…のように表記しています。ソシュール的な意味の言語(言語規範ないし思考言語)はカッコつきで「言語」あるいは「言語langue」・「ラング」・「ことば」等と表記しています。(背景色つきで「言語」のように表記している場合もあります)

 一般的な意味の概念を単に概念と表記し、ソシュール的な意味の概念(語の意義としての概念、いわゆるシニフィエ・語概念)はカッコつきで「概念」と表記します。(2006年9月9日以降)

 また、ある時期からは存在形態の違いに応じて現実形態表象形態概念形態のように用語の背景色を変えて区別しています(この文章では〈知覚形態〉も〈表象形態〉に含めています)。

 ソシュールの規定した用語を再規定し、次のような日本語に置き換えて表記します。詳細は「ソシュール用語の再規定(1)」を参照。

【規範レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語韻     (ある語音から抽出された音韻)

・シニフィエ   → 語概念(語義) (ある語によって表わされるべき概念)

・シーニュ・記号 → 語規範(語観念)(ある語についての規範認識)

・記号の体系   → 語彙規範   (語すべてについての規範認識)

・言語      → 言語規範   (言語表現に関するすべての規範認識)

語概念・語韻は 語概念⇔語韻語韻⇔語概念)という連合した形で語規範として認識されています。語規範はこのように2つの概念的認識が連合した規範認識です。ソシュールは「言語langue」を「諸記号」相互の規定関係と考えてこれを「記号の体系」あるいは「連合関係」と呼びますが、「記号の体系・連合関係」の実体は語彙規範であり、言語規範を構成している一つの規範認識です。規範認識は概念化された認識つまり〈概念形態〉の認識なのです。

なお、構造言語学・構造主義では「連合関係」は「範列関係(範例関係)」(「パラディグム」)といいかえられその意義も拡張されています。

 語・内語・言語・内言(内言語・思考言語) について、語規範および言語規範に媒介される連合を、三浦つとむの主張する関係意味論の立場からつぎのように規定・定義しています。詳細は『「内語」「内言・思考言語」の再規定』を参照。(2006年10月23日以降)

  : 語規範に媒介された 語音個別概念 という連合を背後にもった表現。

内語 : 語規範に媒介された 語音像⇔個別概念 という連合を背後にもった認識。

言語 : 言語規範に媒介された 言語音(語音の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった表現。

内言 : 言語規範に媒介された 言語音像(語音像の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった認識・思考過程。

内語内言は〈表象形態〉の認識です。

なお、上のように規定した 内言(内言語・内的言語・思考言語)、 内語とソシュール派のいうそれらとを区別するために、ソシュール派のそれらは「内言」(「内言語」・「内的言語」・「思考言語」)、「内語」のようにカッコつきで表記します。

また、ソシュールは「内言」つまり表現を前提としない思考過程における内言および内言が行われる領域をも「言語langue」と呼んでいるので、これも必要に応じてカッコつきで「内言」・「内言語」・「内的言語」・「思考言語」のように表記します(これらはすべて内言と規定されます)。さらに、ソシュールは「内語の連鎖」(「分節」された「内言」)を「言連鎖」あるいは「連辞」と呼んでいますが、まぎらわしいので「連辞」に統一します(「連辞」も内言です)。この観点から見た「言語langue」は「連辞関係」と呼ばれます。ソシュールは「内語」あるいは「言語単位」の意味はこの「連辞関係」によって生まれると考え、その意味を「価値」と呼びます。構造言語学では「言(話し言葉)」や「書(書き言葉)」における語の連鎖をも「連辞」と呼び、「連辞関係」を「シンタグム」と呼んでいます。詳細は「ソシュールの「言語」(1)~(4)」「ソシュール用語の再規定(1)~(4)」「ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8)」を参照。

 さらに、ソシュールは内言における 語音像⇔個別概念 という形態の連合も「シーニュ・記号」と呼んでいるので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【内言レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音像(個別概念と語規範に媒介されて形成される語音の表象)

・シニフィエ   → 個別概念(知覚や再現表象から形成され、語規範の媒介によって語音像と連合した個別概念)

・シーニュ・記号 → 内語

・言語      → 内言

ソシュールがともに「シーニュ・記号」と呼んでいる2種類の連合 語韻⇔語概念語規範)と 語音像⇔個別概念内語)とは形態が異なっていますのできちんと区別して扱う必要があります。

 また、実際に表現された言語レベルにおいても、語音個別概念 という形態の連合が「シーニュ・記号」と呼ばれることもありますので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【言語(形象)レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音個別概念語規範に媒介されて実際に表現された語の音声。文字言語では文字の形象

・シニフィエ   → 表現された語の意味。個別概念を介して間接的にと結びついている(この個別概念語規範の媒介によってと連合している)

・シーニュ・記号 → (表現されたもの)

・言語      → 言語(表現されたもの)

 語音言語音語音像言語音像語韻についての詳細は「言語音・言語音像・音韻についての覚書」を、内言内語については「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」を参照して下さい。また、書き言葉や点字・手話についても言語規範が存在し、それらについても各レベルにおける考察が必要ですが、ここでは触れることができません。

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プロフィール

シカゴ・ブルース

シカゴ・ブルース (ID:okrchicagob)

1948年生れ(68歳♂)。国語と理科が好き。ことばについては子供のころからずっと関心を抱いていました。20代半ばに三浦つとむの書に出会って以来言語過程説の立場からことばについて考え続けています。現在は39年間続けた自営(学習塾)の仕事を辞め個人的に依頼されたことだけをこなす日々です。

コメント等では略称の シカゴ を使うこともあります。

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意識と言語(こころとことば)

われわれは人間が『意識』をももっていることをみいだす。しかし『精神』は物質に『つかれて』いるという呪いをもともとおわされており、このばあいに物質は言語の形であらわれる。言語は意識とおなじようにふるい――言語は実践的な意識、他の人間にとっても存在し、したがってまた私自身にとってもはじめて存在する現実的な意識である。そして言語は意識とおなじように他の人間との交通の欲望、その必要からはじめて発生する。したがって意識ははじめからすでにひとつの社会的な産物であり、そして一般に人間が存在するかぎりそうであるほかはない。(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』古在由重訳・岩波文庫)


ことばは、人間が心で思っていることをほかの人間に伝えるために使われています。ですから人間の心のありかたについて理解するならばことばのこともわかってきますし、またことばのありかたを理解するときにその場合の人間の心のこまかい動きもわかってきます。
このように、人間の心についての研究とことばについての研究とは密接な関係を持っていて、二つの研究はたがいに助け合いながらすすんでいくことになります。一方なしに他方だけが発展できるわけではありません。
…こうして考えていくと、これまでは神秘的にさえ思われたことばのありかたもまったく合理的だということがおわかりになるでしょう。(三浦つとむ『こころとことば』季節社他)


参考 『認識と言語の理論 I』を読む 1(1)――認識論と言語学三浦つとむ『認識と言語の理論 I』

子どもたちに向けた言葉

ふしぎだと思うこと
  これが科学の芽です
よく観察してたしかめ
そして考えること
  これが科学の茎です
そうして最後になぞがとける
  これが科学の花です
        朝永振一郎

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