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2010年08月25日(水)| 社会>政治・経済 |  
『週刊ポスト』新覆面官僚座談会 後編――外務官僚はなぜ小沢一郎を怖れるのか

『週刊ポスト』2010年8月20/27日号 p.40 

「普天間密約」「外交機密費」ほか爆弾発言続出!

 大反響 新 覆面官僚座談会 後編

 小沢一郎はどうしてここまで外務省が嫌いなのか

「空きカン内閣」を操(あやつ)って消費税増税、事務次官会議復活など、失地回復に邁進(まいしん)していた霞が関のシナリオが、小沢一郎・前民主党幹事長の復権によってどう変わるのか。それは8月末に再び噴き上がる普天間基地移設問題で明らかになるかもしれない。前回、民主党政権への介入を語った覆面官僚たちは、話題が「小沢」「アメリカ」に移ると、途端に深刻な表情を見せるのだった。

司会&リポート武富 薫(ジャーナリスト) 

 湾岸戦争で外務省と衝突

「最大の変動要因は小沢一郎さんだ」――。

 消費税増税、事務次官会議復活、そしてみんなの党潰しなど「官僚支配国家への回帰」で財務、経産、外務、総務の各省課長が気勢を上げた覆面官僚座談会は、財務省A課長が発したこの言葉を機に、不穏な空気が漂い出した。

*

――そんなに小沢氏が恐い?

財務A わが省は、“小沢政権”をそれほど恐れているわけではない。小沢さんは国の統治システムとしての政治主導を掲(かか)げてきた。そんなのは当たり前のことであり、民主党の若手に多い感情的な官僚バッシングよりずっとマトモだ。

 各省に小沢派官僚もいて、その情報源は小沢さんにもメリットがあり、霞が関にとっても重要なパイプだ。

経産B 優等生答弁だなァ。財務省は7月人事で、小沢さんが竹下内閣の官房副長官時代に秘書官を務めた54年入省組の香川俊介氏を官房長に昇格させ、次の次の次官に確定させた。その次の55年組のエースには小沢氏に近い斎藤次郎・日本郵政社長の娘婿である稲垣光隆・主計局次長が控えている。代表選がどっちに転んでもいいように、どこよりも早く“小沢シフト”を敷いてるじゃないの。

総務D 財務省は斎藤さん以来、大物OBの中にも小沢派が少なくない。官僚嫌いといわれる小沢さんも、実は官僚の中にシンパを作るのがうまいから、省によって、あるいは個人によって「小沢アレルギー」は濃淡があるわけです。

 ただし、省をあげて小沢アレルギーに罹(かか)っているところが一つある。(と、横にいた外務C課長を見る)

外務C それは昔の話。小沢さんが自民党幹事長だった90年当時、湾岸危機で外務省と対立したという歴史を蒸(む)し返したいのだろうけど、いまや当時の幹部はみんな隠居の身。そんな遺恨(いこん)はあり得ません。

総務D 上層部も同じかね? 外務省という役所は60代、70代になっても大使やら国際機関の名誉職で「現役」を続けるから、省としてまだまだ小沢さんが怖いんじゃないの。それにね、小沢さんのほうは外務省のやったことを忘れるような人じゃない。

――当時の経緯として知られるのは、小沢氏が主張した自衛隊の海外派遣を外務省が反対して潰したこと。小沢氏は外務省のやり方に激怒したし、あの人は官僚の都合で国家の舵取りまで決めることを一番嫌う。(目が合った)Bさん、Cさんの話をどう思いますか。

経産B こっちに振らないでほしいなァ(苦笑)。私は大先輩たちから聞いた話しか知らないから、小沢さんと外務省の関係について語る資格はありません。

――その話をしてください。

経産B (しぶしぶ)つまり、こういう伝説でしょ。湾岸戦争の頃は外務省のチャイナ・スクールの力が強く、自衛隊の海外派遣には反対論が多かった。だから省の最高首脳が総出で、飛ぶ鳥を落とす勢いだった若き小沢幹事長をねじ伏せて派遣を潰した。逆に、小泉政権の時は総理のいいなりでアメリカ・シフトだったから、ブッシュ政権の求めるままに海外派遣を進めた。この時も小沢さんが外務省の変節を徹底批判し、両者の関係は決定的に壊れた。

 と、話はそういうことなんだけど、官僚が外交まで仕切るそうした構造、しかも内閣法制局(※)が湾岸戦争は「派遣不可」、イラク戦争は「派遣可」と憲法解釈を変えたことが、小沢さんには我慢ならなかったという。だから小沢さんの霞が関改革の「一丁目一番地」は、内閣法制局廃止と外務省改革になるといわれているわけです。

内閣法制局/法令審査や法制に関する調査を行なう内閣の機関。90年、湾岸危機に際して小沢氏がまとめた国連平和協力法案に法制局は慎重な姿勢を取り、法案は廃案となった。その後、小沢氏は自由党時代に2度、内閣法制局廃止法案を提出。民主党政権でも、内閣法制局長官の国会答弁を禁じる国会改革法案を提出し、鳩山・菅両内閣では法制局長官を国会に出席できる「政府特別補佐人」から外している。

財務A 普天間基地の問題も、確かに対米自立という小沢さん、鳩山さんの理想もあったのだろうが、省内では、辺野古案は小泉政権と外務省がアメリカと談合して決めたから、小沢さんが政治的理由で潰そうとしているという見方もある。それくらい小沢さんの外務省嫌いは徹底している。

「小沢さんは今でも親米派」

外務C いくらなんでも普天間は関係ないでしょ。普天間の移転先探しを担当した防衛省の井上源三・地方協力局長は総務省出身。D君も事情をよくわかっているはずだ。

 沖縄米軍基地の県外移設は総論賛成、各論反対で実際に受け入れる自治体はなかった。わが省や防衛省だけではなく、総務省や財務省も深くかかわってきたうえでの結論だ。

経産B 要するに米軍基地移転には表沙汰にできない話があるから、外務省も小沢さんが何をいうか戦々恐々というわけだ。

――聞き捨てならない。この席で隠し事はなしでいきましょう。その密約について持ってる札を全部テーブルに出してください。

経産B 密約とはいってない(笑い)。グァムに追加するのは当面650億円だっけ、A君。

財務A 心当たりがない。

――海兵隊のグァム移転協定では、防衛省は昨年度346億円、今年度468億円の移転予算を組んでいるが、650億円とは何のカネなのか?

経産B 協定では日本は基地の施設や米軍用住宅建設の資金だけを負担することになっている。しかし、移転事業が本格化するとグァムには軍人以外に、建設工事の労働者が集まってくる。米国側は予算がないことを理由に、民生用のインフラ整備も求めてきた。

 ワシントン筋の情報では、米軍の統合グァム計画事務所は7月22日にグァム政府に対して行なった事前説明会で、「日本が650億円出すことになっている」と説明している。

外務C おおかた在米の経産省アタッシェ(在外公館への出向者)からの情報だろうが、決定ではないよ。

経産B 菅内閣は払う気だろう。そのために国際協力銀行の前田匡史・国際経営企画部長を内閣参与に起用した。前田氏は元財務官僚で、自民党政権時代から普天間移設にかかわってきた人物。

 僕が知っているのは、これがすべて。

総務D 日本政府はグァム移転の費用を協定通りに負担しているから非は向こうにある。小沢氏が怒っているのはそのこと?

財務A (苛立ちの表情を浮かべて)わが省は米軍のグァム移転に協力すべきと思っている。ただしそれは省利省益のためじゃない。強い財政と金融を担保するのは強力な軍事力です。日米同盟が揺らげば、円も国債もどうなるかわからない。

 そもそも小沢さんは湾岸戦争支援に1兆円拠出を決めた当人で、今でも親米派だ。日米安保が軍事的な意味だけではないことはわかっている。だから普天間に対する姿勢には外務省への反感があるんじゃないかといいたかっただけだ。

外務C 小沢さんが親米派だという点は同感だが、民主党政権は必要以上に中国重視の姿勢が目立つ。そこに危うさがある。

財務A 中国外交を目先の商売で考えると道を誤る。13億の国民を抱えながら選挙も行なわれない“先進国”は、どう考えてもアメリカの代わりに同盟相手にはならない。米国の国民の8割以上は日米同盟を支持しているが、「小沢は反米だ」という宣伝によって、「日本を守る必要なんてない。同盟を解消し、米国と中国で太平洋を東西に分割すべき」という米国内の中国ロビーを勢いづかせることはわが国の国益に反する。

「鳩山腹案」復活を覚悟

――小沢氏は代表選の焦点は消費税と普天間になると民主党議員に語っている。「辺野古現行案」を小沢氏が引っ繰り返したら、霞が関は鳩山内閣の時のように足を引っ張るつもりか。

経産B 小泉内閣は普天間基地の代替(代替)飛行場として辺野古に滑走路建設を決めた。その後、日米が海兵隊のグァム移転で合意し、大きな代替基地建設は必要なくなったが、小泉政権は方針を変えなかった。沖縄の業者に公共事業の手形を切っていたから今さらつくりませんとはいえなかったという事情もある。

A君もいっていたが、鳩山前首相が政権交代後すぐに移設見直しを言い出し、小沢さんが後押ししたのは、そうした経緯を検証し、自民党政権が米国の要請を口実にいかに無駄な巨大基地をつくろうとしているかを明らかにする意図があったと思う。 

総務D そうした矛盾を誤魔化してきたのが、小泉さんに重用(ちょうよう)されて防衛省の天皇と呼ばれた守屋武昌・元防衛次官だった。例えば守屋氏は、日本にいる海兵隊1万8000人のうち8000人がグァムに移ると説明してきたが、もともと日本にいる海兵隊は役1万2000人。防衛省の幹部は「民主党政権になってからいくら探しても、1万8000人の根拠は出てこなかった」と驚いていた。

財務A いくら大物次官でも、海兵隊員の人数を水増しするなど、時の官邸や自民党防衛族の同意がなければやれることではない。

経産B 辺野古案に固執(こしゅう)してきたのは外務省も同じ。そもそも普天間のヘリ部隊は、いずれグァムに移るから辺野古埋め立ては不要になることは、ずっと前からわかっていた。

――そんな説明はこれまでされていない。

経産B だから外務省だって。国防総省は在沖海兵隊のグァム移転を決めていたのに、外務省はその情報を隠していた。

外務C (小声で)どんな根拠があるんだよ。

経産B いってもいいの?

――ぜひ(外務Cは無言)

経産B 昨年12月、岡田克也・外相は民主党議員の要請で藤崎一郎・駐米大使に米海兵隊のどのヘリ部隊がグァムに移転するか国防総省に確認するように公電で指示した。その回答が戻ってきたのは今年2月下旬だが、「岩国基地のヘリ部隊」という説明だった。ところが、岩国に海兵隊の大型ヘリ部隊はいない。おおかた外務省が米軍に嘘をつくよう要請したんでしょう。

財務A 小沢さんが権力を握れば、対米関係の見直しというより外務省改革と外交機密費問題に手をつけると思う。鈴木宗男さんを衆院外務委員長に据えたのもその布石だ。宗男さんや田中真紀子さんが何があろうと小沢さんを支持しているのは、外務省改革が必要という認識で一致しているからだ。

総務D そりゃ、外務省は心穏やかじゃないね。

外務C 民主党政権は外交の継続性という点を軽視している。普天間もそうだし、思いつきで民間人を大使に任命したりするのも、大使のキャラクター次第の外交になりかねない。国家としての信頼が失われるから危ないといっておく。

――小沢氏が外務省を憎むのは、それこそ外交姿勢がご都合主義で変節したからでしょう。ちょっと論理がすり替わっていませんか。

外務C むしろ小沢さんが普天間の日米合意を破棄するなら重大な変節になる。

財務A それはちょっと誤解だな。司会者の肩を持つわけじゃないけど、小沢さんは外交について「国を代表する政治家同士の話し合いで決める」という原則を守りたいだけ。7月22日に小沢さん、鳩山さん、参院議員会長の輿石さんが「久しぶりの懇談」をしたと報じられたけれど、我々の情報では、この時に対米外交の基本方針が話し合われたようだ。

外務C 聞いていない。

財務A だから政治主導なんでしょ。いずれにせよ、小沢体制になれば普天間は白紙からのやり直し。『週刊ポスト』がスッパ抜いた鳩山さんの「腹案」の復活を意味している。わが省はその場合には米国との交渉はかなりタフなものになると覚悟している。C君のところも、その覚悟をすべきだろうね。

*

 座談会はそのまま沈鬱なムードでお開きになった。最後に悪役にされた外務省C課長は「どの省でも現役幹部で小沢さんと親しい者はほとんどいない。9月以降、官僚の見る景色がどう変わるのか、楽しみでもあるし、みんな不安なんですよ」とつぶやいた。

 次回の座談会はさらに盛り上がりそうである。

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言語関連の用語について

 表現された言語(本来の意味の言語)を単に言葉あるいは言語、ことば…のように表記しています。ソシュール的な意味の言語(言語規範ないし思考言語)はカッコつきで「言語」あるいは「言語langue」・「ラング」・「ことば」等と表記しています。(背景色つきで「言語」のように表記している場合もあります)

 一般的な意味の概念を単に概念と表記し、ソシュール的な意味の概念(語の意義としての概念、いわゆるシニフィエ・語概念)はカッコつきで「概念」と表記します。(2006年9月9日以降)

 また、ある時期からは存在形態の違いに応じて現実形態表象形態概念形態のように用語の背景色を変えて区別しています(この文章では〈知覚形態〉も〈表象形態〉に含めています)。

 ソシュールの規定した用語を再規定し、次のような日本語に置き換えて表記します。詳細は「ソシュール用語の再規定(1)」を参照。

【規範レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語韻     (ある語音から抽出された音韻)

・シニフィエ   → 語概念(語義) (ある語によって表わされるべき概念)

・シーニュ・記号 → 語規範(語観念)(ある語についての規範認識)

・記号の体系   → 語彙規範   (語すべてについての規範認識)

・言語      → 言語規範   (言語表現に関するすべての規範認識)

語概念・語韻は 語概念⇔語韻語韻⇔語概念)という連合した形で語規範として認識されています。語規範はこのように2つの概念的認識が連合した規範認識です。ソシュールは「言語langue」を「諸記号」相互の規定関係と考えてこれを「記号の体系」あるいは「連合関係」と呼びますが、「記号の体系・連合関係」の実体は語彙規範であり、言語規範を構成している一つの規範認識です。規範認識は概念化された認識つまり〈概念形態〉の認識なのです。

なお、構造言語学・構造主義では「連合関係」は「範列関係(範例関係)」(「パラディグム」)といいかえられその意義も拡張されています。

 語・内語・言語・内言(内言語・思考言語) について、語規範および言語規範に媒介される連合を、三浦つとむの主張する関係意味論の立場からつぎのように規定・定義しています。詳細は『「内語」「内言・思考言語」の再規定』を参照。(2006年10月23日以降)

  : 語規範に媒介された 語音個別概念 という連合を背後にもった表現。

内語 : 語規範に媒介された 語音像⇔個別概念 という連合を背後にもった認識。

言語 : 言語規範に媒介された 言語音(語音の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった表現。

内言 : 言語規範に媒介された 言語音像(語音像の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった認識・思考過程。

内語内言は〈表象形態〉の認識です。

なお、上のように規定した 内言(内言語・内的言語・思考言語)、 内語とソシュール派のいうそれらとを区別するために、ソシュール派のそれらは「内言」(「内言語」・「内的言語」・「思考言語」)、「内語」のようにカッコつきで表記します。

また、ソシュールは「内言」つまり表現を前提としない思考過程における内言および内言が行われる領域をも「言語langue」と呼んでいるので、これも必要に応じてカッコつきで「内言」・「内言語」・「内的言語」・「思考言語」のように表記します(これらはすべて内言と規定されます)。さらに、ソシュールは「内語の連鎖」(「分節」された「内言」)を「言連鎖」あるいは「連辞」と呼んでいますが、まぎらわしいので「連辞」に統一します(「連辞」も内言です)。この観点から見た「言語langue」は「連辞関係」と呼ばれます。ソシュールは「内語」あるいは「言語単位」の意味はこの「連辞関係」によって生まれると考え、その意味を「価値」と呼びます。構造言語学では「言(話し言葉)」や「書(書き言葉)」における語の連鎖をも「連辞」と呼び、「連辞関係」を「シンタグム」と呼んでいます。詳細は「ソシュールの「言語」(1)~(4)」「ソシュール用語の再規定(1)~(4)」「ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8)」を参照。

 さらに、ソシュールは内言における 語音像⇔個別概念 という形態の連合も「シーニュ・記号」と呼んでいるので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【内言レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音像(個別概念と語規範に媒介されて形成される語音の表象)

・シニフィエ   → 個別概念(知覚や再現表象から形成され、語規範の媒介によって語音像と連合した個別概念)

・シーニュ・記号 → 内語

・言語      → 内言

ソシュールがともに「シーニュ・記号」と呼んでいる2種類の連合 語韻⇔語概念語規範)と 語音像⇔個別概念内語)とは形態が異なっていますのできちんと区別して扱う必要があります。

 また、実際に表現された言語レベルにおいても、語音個別概念 という形態の連合が「シーニュ・記号」と呼ばれることもありますので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【言語(形象)レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音個別概念語規範に媒介されて実際に表現された語の音声。文字言語では文字の形象

・シニフィエ   → 表現された語の意味。個別概念を介して間接的にと結びついている(この個別概念語規範の媒介によってと連合している)

・シーニュ・記号 → (表現されたもの)

・言語      → 言語(表現されたもの)

 語音言語音語音像言語音像語韻についての詳細は「言語音・言語音像・音韻についての覚書」を、内言内語については「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」を参照して下さい。また、書き言葉や点字・手話についても言語規範が存在し、それらについても各レベルにおける考察が必要ですが、ここでは触れることができません。

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プロフィール

シカゴ・ブルース

シカゴ・ブルース (ID:okrchicagob)

1948年生れ(68歳♂)。国語と理科が好き。ことばについては子供のころからずっと関心を抱いていました。20代半ばに三浦つとむの書に出会って以来言語過程説の立場からことばについて考え続けています。現在は39年間続けた自営(学習塾)の仕事を辞め個人的に依頼されたことだけをこなす日々です。

コメント等では略称の シカゴ を使うこともあります。

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意識と言語(こころとことば)

われわれは人間が『意識』をももっていることをみいだす。しかし『精神』は物質に『つかれて』いるという呪いをもともとおわされており、このばあいに物質は言語の形であらわれる。言語は意識とおなじようにふるい――言語は実践的な意識、他の人間にとっても存在し、したがってまた私自身にとってもはじめて存在する現実的な意識である。そして言語は意識とおなじように他の人間との交通の欲望、その必要からはじめて発生する。したがって意識ははじめからすでにひとつの社会的な産物であり、そして一般に人間が存在するかぎりそうであるほかはない。(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』古在由重訳・岩波文庫)


ことばは、人間が心で思っていることをほかの人間に伝えるために使われています。ですから人間の心のありかたについて理解するならばことばのこともわかってきますし、またことばのありかたを理解するときにその場合の人間の心のこまかい動きもわかってきます。
このように、人間の心についての研究とことばについての研究とは密接な関係を持っていて、二つの研究はたがいに助け合いながらすすんでいくことになります。一方なしに他方だけが発展できるわけではありません。
…こうして考えていくと、これまでは神秘的にさえ思われたことばのありかたもまったく合理的だということがおわかりになるでしょう。(三浦つとむ『こころとことば』季節社他)


参考 『認識と言語の理論 I』を読む 1(1)――認識論と言語学三浦つとむ『認識と言語の理論 I』

子どもたちに向けた言葉

ふしぎだと思うこと
  これが科学の芽です
よく観察してたしかめ
そして考えること
  これが科学の茎です
そうして最後になぞがとける
  これが科学の花です
        朝永振一郎

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