乳酸菌を培養する(6)――〔応用編5〕発泡乳酸菌液と乳酸菌風呂(PC版ページへ)

2011年07月12日15:03  科学>発酵

最終更新日 2011年9月1日〕

――乳酸菌を培養する――

 〔応用編5〕発泡乳酸菌液と乳酸菌風呂 ―― 乳酸菌風呂A, B
 〔応用編7〕乳酸菌風呂、その2    ―― 乳酸菌風呂C~F
 〔探究編3〕黒糖と白糖、乳酸菌風呂3 ―― 乳酸菌風呂G~O

 乳酸菌風呂関連の記事をまとめて読む。

 関連:〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた(とぎ汁培養液)

 関連:〔応用編1〕米ぬか培養液・拡大培養

 関連:乳酸菌風呂に対するネガキャン――ニセ科学批判とエア御用

 乳酸菌を培養する(1)~(30)をまとめて読む。

米とぎ汁を使って乳酸菌を培養し始めてから2か月あまり、その間多少の失敗はありましたがまずまず順調に培養を進め、毎日乳酸菌に囲まれた生活をしています。ややゆるめの豆乳ヨーグルトもおいしく食べています。風呂には拡大培養で作った乳酸菌液を2リットルづつ毎回入れて、残り湯は洗濯に使っています。

玄米や白米を入れたとぎ汁培養液ではデンプンの量が多いためでしょうか、二酸化炭素の泡を大量に発生し、そのうちに炭酸飲料状態になった乳酸菌液になります。飲むとピリピリとした炭酸の味がします。これを使った豆乳ヨーグルトは鬆(す)が入って食味がよくありません。しかし、濾過して米粒を取り除いた上で、ボトルの口をゆるめておけば炭酸の気が抜けてふつうの乳酸菌液になります。そして何の問題もなく使うことができるようになります。ところがつい先日できた発泡乳酸菌液はそれとは性質がまったく違いました。

この記事の目次 

 
発泡乳酸菌液

発泡乳酸菌液完璧に炭酸飲料化しているだけでなく、ふたをゆるめておいても通常の乳酸菌液になりません。いつまでも炭酸飲料状態が続きます。ボトルを振ってふたをあけると二酸化炭素の泡がはげしく発生してボトルの口から溢れるほどになります。この状態がずっと続くのです。濾過して上澄みだけになっているのに…。そして問題はそれだけにとどまりませんでした。

乳酸菌液のこの異変に気づいたのは先週の半ば頃。飲用のためにストック用のボトル(4リットル)から500mlのペットボトルに移した乳酸菌液を飲んだところ、舌先にピリピリときてふつうの乳酸菌液よりも酸味が強いのです。ペットボトルを振ると大量の泡が液中から湧き上がってきました。これはまずいと思ってボトルのふたをゆるめてしばらく放置。ストックボトルの方もふたをゆるめておきました。しかし乳酸菌液中で絶えず二酸化炭素が発生し続けているのでしょうか、半日経っても1日・2日経ってもピリピリのまま、この発泡状態がおさまることはありませんでした。

このストックボトルはもともとまとめ用の8リットルのびんから移し変えた乳酸菌液を入れておくためのものです。ストックボトルの中身が発泡乳酸菌液になっているということは…。もしかするとこの8リットルのびんに入った乳酸菌液も発泡乳酸菌液になっているのではないか? 懸念は当たりました。8リットルまるごと発泡乳酸菌液になっていました。そればかりでなく、もう一つの5リットルのびんの中身も発泡乳酸菌液化していました。

確かめてみると都合19リットルの乳酸菌液が発泡乳酸菌液になっていました。私は簡単な培養記録をノートにつけていますので、この発泡乳酸菌液の原液がいつごろ培養したものかを調べてみました。残っている通常の乳酸菌液が8リットルほどあります。これらの日付とまとめ用のびんに入れた他の培養液の日付から、先月24日前後に作り始めた培養液のどれかが発泡乳酸菌液だったと思われます。この発泡乳酸菌液の生命力はすさまじく、それを少しでも入れた通常の乳酸菌液は発泡乳酸菌液化してしまうようです。

〔2011年7月13日 追記〕 発泡乳酸菌液になった原因。6月27日からにがりを入れたものを作り始めたので最初はこれが原因かと思い、追加実験して見ましたが、にがりの有無に関係なく普通の乳酸菌液ができることが判明しました。

〔追記〕 気温が高くなって酵母の活動が活発になったのがどうやら大発泡の原因のようです。夏場はかなり多くの培養液が発泡乳酸菌状態になりました。

〔2012年3月14日 追記〕 培養末期に pH が 3.5 に到達した後に起こる盛んな発泡は、その後の多くの経験から判断して酵母の大発酵に伴うものだという結論に到達しました。昨年、秋口に入ってからホットマット(温度設定「低」)の上に培養液の入ったペットボトルを寝かせていたのですが、11月半ば頃からさらに気温が下がってきたのでその上にフリースの膝掛けをかぶせてさらに座ぶとんを載せるようにしました。それ以来培養の速度が上がりましたが(ボトルの周囲の温度は 30℃ を超えていると思われます)、それだけでなくやはり pH が 3.5 に到達してからまもなく盛んに発泡するものが多く観察されました。これは気温の高かった夏期に大発泡が起きたのとその条件がよく似ています。上の追記の予想は正しかったようです。

培養初期~後期における二酸化炭素の泡は粒が小さいのですが、末期の泡粒は比較的大き目なのが特徴です。小さめの泡は乳酸菌の発酵によるものであることは pH の低下を伴っていることから明らかです。しかし末期の大きめ目の泡は pH の低下を伴っていない(pH は 3.5 のまま変わらず)のでこれは乳酸菌の発酵によって発生した二酸化炭素ではありません。末期に発泡が盛んに起こった乳酸菌液を顕微鏡で見ると、酵母が急激に増えていることが分かりますので、培養末期の盛んな発泡は酵母の大発酵に伴う二酸化炭素であると判断してよいと思います。

培養液の温度がそれほど高くない場合には培養末期の酵母の増殖は二酸化炭素の発生を伴いながら穏やかに進み、ほぼ一週間で乳酸菌液は完成します(その後もわずかながら二酸化炭素は発生し続けます)。その頃には糖分と塩分はほとんど消費されるために甘みや塩辛さが消えて、乳酸の酸っぱさがはっきりと分かるようになります。

 
乳酸菌風呂A

乳酸菌風呂a1乳酸菌液に関する限り二酸化炭素のピリピリが私は苦手です。ごくごくと多量に飲むにはちょっと飲みにくいですし、スプレーボトルに入れるとぽとぽとと中身がたれてきてしまいます。どうしようかと考えあぐねた末に思い切って乳酸菌風呂に使おうと決めました。とりあえず2リットルだけ残してあと17リットルをすべて風呂のお湯に投入。私はふだんから浴槽の湯は少なめなのでけっこう濃い目の乳酸菌風呂になりました。

いずれ10リットルの乳酸菌液をお風呂に入れて乳酸菌風呂三昧を楽しもうと思っていたので、それが多少早まっただけのことです。こんなことでもなければ15リットル以上の乳酸菌液を風呂に投入するなんて思いもよらなかったでしょうが…。結果よければすべてよし。いやこの乳酸菌風呂はいい。気持ちがいいので毎日入っています。石鹸で身体を洗わなくても上がり湯をかけなくても湯上がりはさっぱりしています。その上肌はしっとり、毎日快眠です。

〔注記〕乳酸菌風呂の色
上の写真を見て分かるように乳酸菌液を沢山入れた乳酸菌風呂の色は褐色になります。これはとぎ汁培養や米ぬか培養で乳酸菌や酵母の栄養源として使った黒糖の成分である糖蜜の色が抜けずに残っているためです。黒糖を使って培養すると、<乳酸菌を培養する(2)――〔応用編1〕>に載せた培養液や乳酸菌液の写真のような色になるので、投入する乳酸菌液の量が多いほど乳酸菌風呂の色も濃くなります。なお、飯山さんの HP に載っている乳酸菌風呂の写真を見るととても濃い色をしています。その理由:飯山さんの乳酸菌風呂に投入されているのはグルンバで作ったヨモギの乳酸菌液です。グルンバで使うヨモギの糖蜜漬けには安価な糖蜜が使われるためにできあがった乳酸菌液はかなり濃い褐色になります。

〔注記〕呼吸発電さん(@breathingpower KokyuHatuden)の togetter からこちらにお越しの方には「乳酸菌風呂に対するネガキャン――ニセ科学批判とエア御用」も合わせてお読み下さるようお願い致します。

2011年7月13日〕乳酸菌風呂A5日目
2011年7月14日〕拡大培養から通常培養に切り替え
2011年7月19日〕乳酸菌風呂A10日目
2011年7月20日〕通常培養でも発泡
2011年7月25日〕乳酸菌風呂A15日目
2011年7月29日〕「白いカビ」の正体は「産膜酵母」
2011年7月29日〕乳酸菌風呂A20日目
2011年8月03日〕乳酸菌風呂A24日目

乳酸菌風呂a2〔2011年7月13日 追記〕5日目、入浴後の乳酸菌風呂です。先日(7月9日)の写真はフラッシュを使用して撮影したものですが、本日のものはフラッシュを使うのを忘れました。色合いが違うのはそのせいです。
それにしてもこの乳酸菌風呂、9日以来まったく湯垢もつかずぬるぬるもありません。普通に入浴していても多少は浮いてくる身体から出た垢(角質)もありません。浴槽の底にもざらざらするようなものもほとんどありません。不思議です。
さて本日は4日ぶりに頭を洗いました。といっても浴槽につかったまま手桶で頭から風呂の湯を数回かぶってごしごしとやっただけですが…。いつものように洗髪後の手入れは椿油を0.5ccほどつけて終わりです。それと、これはもう大分前からですが乳酸菌風呂の湯でリンスするようになって抜け毛が目に見えて減っています――(追記)「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた」の乳酸菌液の利用・活用・効能にあるように、現在は乳酸菌液をお湯で20~30倍程度に薄めたものをリンスとして使っています

〔2011年7月14日 追記〕 取っておいた2リットルの発泡乳酸菌液がちょっと元気がなくなってきました。かなり乱暴に攪拌してもボトルの口からあふれるほどの泡が発生しません。活を入れるために1リットルずつ2本に分けてそれぞれに栄養液を1リットルずつ加えて2倍拡大培養をすることにしました。飯山さんの「秘法」にしたがって新鮮な乳酸菌を追加するために、栄養液として水1リットルに黒糖大さじ1杯あら塩小さじ1杯だけでなく米ぬか大さじ1杯も忘れずに入れました。

〔2011年7月16日 追記〕 発泡乳酸菌液化していなかった8リットルのふつうの乳酸菌液。ちょっと考えなしに5リットルを拡大培養に使ってしまいました。で、気がついたら熟成して芳香を発する乳酸菌液が250ミリリットルしか残っていませんでした。気温が上がってから芳香を発するようになるまでの時間がかかるようになった感じがします。拡大培養してできた乳酸菌液にその傾向が強いようです。そんなわけで、拡大培養は一休みして2日に1回の1合分の米のとぎ汁培養(500ml)と米ぬか培養液(1日に2リットル×2本)を使った通常培養をしていこうと思います。芳香にはデンプンを分解してできる成分が関係しているような気もしますので…。

乳酸菌風呂a3〔2011年7月19日 追記〕本日で10日目。入浴後の浴槽の写真です。最初のころに比べると匂いがほとんどなくなってきましたが、かといって異臭や妙な浮遊物もありません。ただし、写真では分かりにくいでしょうがやや白っぽく濁っているので透明度は当初よりは落ちているように思います。なお3日目あたりから、入浴後の風呂水に水1.5~2リットルと一緒に黒糖とあら塩、米ぬかをそれぞれ大さじ3杯強小さじ3杯強大さじ3杯強ずつ入れています(乳酸菌風呂の湯を手桶に汲んで風呂場のガラス戸にかけたりするのにほぼ1.5~2リットル使います。水1.5~2リットルを加えるのはそれを補うのと同時に毎晩投入する米ぬかに付着している新しい乳酸菌のための水を用意するという意味があります)。湯が濁って来たのは、お茶パックに入れた米ぬかから出てきたデンプン等の細かい粒子成分の影響もあるかも知れません。湯垢すくいを使うと髪の毛や胚芽、薄茶色の米ぬか成分は取れますがデンプンのように細かいものは目をすり抜けてしまいます。
乳酸菌風呂a4実は一昨日は朝から団地の清掃やら、行事やらで午前中2時間、午後3時間ほど屋外で過ごしました。汗をかいて身体も汚れたので2回シャワーを浴びて身体の汚れを落としただけで、湯は結局沸かさずじまい。そのためふたをしめたままにしておいた浴槽を昨18日の昼間開けてみたところ、常温で長時間置いたためでしょうか白いカビ(白い膜状のもの)が表面に繁殖して写真のようになっていました。
昨晩はこのカビを軽くすくいとってから沸かした乳酸菌風呂に入りましたが、特に変わったところもなくふつうに入浴できました。そして今日は上の写真の通りです。

――下の〔2011年7月25日 追記〕に書いたようにこのカビ状の膜はカビではなく産膜酵母(さんまくこうぼ)が作り出したものでした。産膜酵母は梅干し作りや果実酒作りあるいは糠漬けやワインの製造過程などで見られるごくありふれた野生酵母の仲間だそうです。産膜酵母が作り出す白い膜は酢酸エチルという物質でシンナー臭がしたり苦みがありますが口に入れても無害だということです。

通常培養〔2011年7月20日 追記〕7月14日の〔追記〕に書いた通りここ当分の間は拡大培養をやめて通常培養のみに切り替えました。やはり気温が高いせいでしょうか。二酸化炭素の発生量が非常に多いように見えます。写真の500mlのペットボトルはとぎ汁培養で、2リットルのものは米ぬか培養です。一番右のとぎ汁培養液は黒糖投入後2日目あたりから盛んに気泡を発しています。まるで発泡乳酸菌液のように、ボトルを振ると口から泡が吹き出す勢いです。しかし、口に含んでみると炭酸のピリピリ感はさほどではないので、ふたをゆるめておけば炭酸は抜けるかも知れません。おもしろいことに全く同じようにつくった二つの培養液の一方は二酸化炭素の発生が普通より多いのにもかかわらず、もう一方は普通とほとんど変わらない発泡量だったりという現象が起こっています。ぬかや黒糖、あら塩、米粉の量はあくまで目分量ですので、ボトルごとに微妙に差があるのは確かですが、気温が低かったときはこれほどの差はなかったように思います。

〔2011年7月25日 追記〕 乳酸菌風呂a57月24日夜。乳酸菌風呂15日目、入浴後の浴槽の様子。7月19日の写真と同じように実際は前日に投入した米ぬか(お茶パック入り)から出た細かい粒子のために濁っています。異臭はありません。乳酸菌液の香りはまだ残っています。追い炊きする前の水温はだいたい32℃。10日目以降は翌日水面の中央あたりに膜状の白いカビが浮きますので(18日昼の写真にくらべるとずっと少ない)、この白い膜を湯垢すくいでざっと取り除いてから追い炊きをします(湯温40℃)。いつもはそのまま入浴しますが、昨晩はカビの残りがまだ表面に浮いていたので、これを取り除いてから入浴しました。しかし湯触りはこれまでと変化はありませんし、湯垢・ぬめり・底への沈殿物もありません。毎晩入浴後に投入している米ぬか・あら塩・黒糖+水が乳酸菌風呂に活力を与えているような気がします。湯の色がだんだん濃くなってきているのは黒糖に含まれている糖蜜のせいでしょう。なお、入浴中に湯垢すくいで髪の毛や米ぬかの成分をすくい取っています。

〔2011年7月29日 追記〕 7月18日の昼間、乳酸菌風呂の水面に突如現れた「白いカビ」(「白い膜」状のもの)の正体は 産膜酵母(さんまくこうぼ) というものだそうです。飯山さんの掲示板でみきさんという方が教えて下さいました。みきさん、ありがとうございます。産膜酵母はぬか漬けではおなじみ(『ためしてガッテン』2008年06月18日)のもののようで、産膜酵母が現れるのはその下の無酸素環境のもとで乳酸菌が増殖している証拠らしい。この産膜酵母、シンナーのような匂いを発するそうで、このところの薬臭さの犯人はこれだったみたいです。かき混ぜて産膜酵母を下の無酸素環境下に送り込むとこの匂いも消えるということです。沸かし直してかき混ぜた後、薬臭さが薄くなった理由もこれで判明。昼間、気がついたときに風呂水をかき混ぜるように心がけます。なお産膜酵母は酵母やカビ、キノコの仲間(菌類)ですが、ふつうの酵母の仲間よりもむしろカビに似た性質をもっています。とはいえ、産膜酵母は糠漬けや白菜漬けなどの漬け物やワイン製造過程でごく普通に見られるもので口に入れても無害です(苦いですが)。

ところで先のみきさんですが、掲示板で私のところの浴槽の大きさをおたずねでした。そういえば浴槽のサイズや乳酸菌風呂の水の量について何も触れずにおりましたのであらためて、掲示板でお答えした部分を以下にそのまま貼り付けておきます。

浴槽にはサイズや容量が書いてありませんでしたので実際に計ってみました。私が住んでいるのは30年ほど前に建てられた市営の団地で、風呂がまはプロパンガス式。給湯・シャワー着きで追い炊き可。浴槽は普通の住宅用のものよりも小さめだと思います。

浴槽の内径は縦・横・深さがそれぞれおよそ 61・68・60(単位はセンチ)で追い炊き時の推奨深さは 43センチ。私は 33センチくらいまでお湯を張ります。

ということで、計算してみると

浴槽の容積は約250リットル、私が張っている湯量は約136リットルということになります。今回投入した乳酸菌液が 17リットルですから
17÷136=1/8=0.125
私が投入した乳酸菌液は湯量全体の8分の1(12.5%)ですね。

乳酸菌風呂a6〔2011年7月29日 追記2〕7月29日夜、乳酸菌風呂20日目。入浴後の様子。前の晩に入れた米ぬかから出たデンプンがかなり多かったためか湯の色が白っぽく見えます。昼間二回ほどかき混ぜたせいもあって産膜酵母をすくい取る必要もなく、薬っぽい匂いもなしの状態から追い炊きしました。相変わらず湯垢・ぬめり・底の沈殿物はありません。なお、18日昼間を含めていくつか取っておいた乳酸菌風呂の湯水のサンプルの pH を調べた結果、すべてのサンプルが 4.0 を示しました。

ところで、浴槽内にぶら下がっている右側の鎖の先についているものは何だろう? 勘の鋭いあなた、その通り温度計です。最近のマイコン着きボイラーと違ってこのボイラーはすべて手動です。湯温を設定しておまかせというわけにはいきません。ですから私のように何かに夢中になると他のことがおろそかになる人間にとってこの温度計とタイマーは必須です。経験的にこの湯量なら湯温を1℃上げるのに約1分かかると分かっているので、追い炊きする前にまず水温を測り、40℃との差を調べて追い炊きスイッチを入れ、さらにタイマーをセット。タイマーがピッピ、ピッピ鳴りだしたら風呂場に飛んでいって追い炊きスイッチを切ります(タイマーのセットを忘れて沸騰させてしまったことが一度だけあります)。とはいえ種火(口火)の点火も電気ではなく圧電素子なので停電の時もお風呂には入れます。が、この団地、停電の時は合併浄化槽の運転が止まってしまうので結局風呂もトイレも調理も御法度。もっとも水を流さなければいいのでお風呂に浸かることはできます。こういうときに乳酸菌風呂はシンプルでいいですね。

で、最近気がついたのですが種火を点けたまま放置するとこの種火の火力で浴槽内の湯が温められるのですね。しかも乳酸菌風呂の場合お湯が冷めにくいので種火を点けたまま放っておくと湯温が39℃前後に保たれます。というわけでこの原始的なボイラー、変な保温機能があるということを発見しました。

乳酸菌風呂a7〔2011年8月3日 追記〕昨晩で24日目を迎えた乳酸菌風呂、湯垢・ぬめり・底の沈殿物はありません(入浴中に湯垢すくいで前の晩に入れた米ぬかパックから出て浮遊している米ぬか成分を取り除いているので沈殿物はほとんどありません)。湯上がりのしっとりさわやか感もこれまでと同じでした。写真は今日の午前中に撮ったもの。いつも通り産膜酵母が表面を覆っています。

 
乳酸菌風呂B

乳酸菌風呂b12011年8月3日〕実際のところ、これほど長く乳酸菌風呂が持つとは予想していなかったので、次の乳酸菌風呂に入れるための乳酸菌液は余裕を持って大分前から準備してありました。そんなこともあって、産膜酵母の発生に便乗して乳酸菌風呂を入れ替えることにしました。

湯を抜くと香ばしい匂いが浴室に広がり、よくぞこれまでもってくれたとちょっと感謝(まだ大丈夫だったんでしょうが…)。浴槽の底には昨晩投入した米ぬかの成分が残りました。浴槽はぴかぴかでまったく汚れていませんでしたが、一応念のため石鹸を使って丁寧に掃除をしました。今回投入した乳酸菌液は14リットル。湯量全体の約10分の1です。乳酸菌液の酸度(酸性度)も10分の1になり、pH を計ってみると理論通り 3.5 から 1 だけ大きい 4.5 になっていました。写真は乳酸菌液を投入した直後(かき混ぜて水面が落ち着いたところで撮影)のものです。今晩からこの新しい乳酸菌風呂に入ります。

なおこれ以降、この新しい乳酸菌風呂を「乳酸菌風呂B」と呼び、前の乳酸菌風呂を「乳酸菌風呂A」と呼ぶことにします。」

2011年8月04日〕乳酸菌風呂B、1、2日目
2011年8月05日〕乳酸菌風呂B、3日目
2011年8月08日〕乳酸菌風呂B6日目
2011年8月11日〕乳酸菌風呂B9日目
2011年8月17日〕プチプチシートで産膜酵母を撃退?!
2011年8月20日〕保温シートが到着
2011年8月22日〕乳酸菌風呂B20日目
2011年9月01日〕昨晩で乳酸菌風呂B29日目、今日は新しい乳酸菌液に入れ替えます

〔2011年8月4日 追記〕 昨晩の乳酸菌風呂B、1日目。気のせいでしょうか、なんとなく薄い。湯触りと匂いが何となくもの足りません。乳酸菌風呂Aも最初のうちはこんなものだったかなあ、などと思いながら風呂から上がり、米ぬか大さじ3杯強(二重のお茶パック入り)・黒糖大さじ3杯強・あら塩小さじ3杯強とにがりを少々投入しておきました。

今晩、風呂を沸かす前にちょっと思い立って3リットルの乳酸菌液を追加しました。都合17リットルとなり、前回の乳酸菌風呂Aとまったく同じ濃さになりました。ただし pH は 4.5 と変わらず、0.5刻みの pH試験紙では誤差の範囲内におさまっています。入浴の感想は…。うん、やっぱり濃さが違う、香りも…。新鮮なうちにと思って口に含んでみましたが、なんとなくすっぱいような気がする程度。本当にすっぱいかどうか、鈍感な私の舌では判断がつきません。入浴後、米ぬか大さじ3杯強・黒糖大さじ3杯強・あら塩小さじ3杯強とにがりを少々投入

〔2011年8月5日 追記〕 今晩の乳酸菌風呂B、3日目。沸かしたお湯をかき混ぜると、甘酸っぱい匂いが…。そうそう、この匂いです。やはり17リットルが効いたのでしょう。それと入浴後の黒糖・あら塩・米ぬか・にがりの効果も。入浴時に口に含んでみると…。おお、すっぱい。入浴後、pHを測ると 4.0強、昨晩よりも酸度(酸性度:水素イオン濃度)が上がっています。乳酸菌が増殖したんですね。

今夜は米ぬかの代わりに1合分のとぎ汁500mlに水500mlを加えたものと、黒糖大さじ3杯強・あら塩小さじ3杯強・にがり少々を入浴後に投入しました。

乳酸菌風呂b2〔2011年8月8日 追記〕8月8日夜、乳酸菌風呂B6日目、入浴後に撮影。昨晩投入した米ぬかから出たデンプンのために白く濁っています。湯垢・ぬめり・沈殿物はありません。甘酸っぱい匂いがしています。pHは 4.0。入浴後に水1リットル・米ぬか大さじ2杯・黒糖大さじ2杯強・あら塩小さじ2杯強・にがり少々を投入しました。

〔2011年8月11日 追記〕 今晩の入浴中、底の方にざらざらするものがたくさん沈んでいました。ああ、米のかけらだなとすぐに分かりました。先日とぎ汁を投入したときのものでしょう。私はザルを使って根こそぎ濾し取るので培養液にはデンプンの他に米のかけらがずいぶん入っています。風呂に入れるときには米のかけらは濾し取っておくべきだったのにうっかり忘れてしまいました。底の方に湯垢すくいを入れてみると白い米のかけらが取れました。かなり念入りにすくったのですが全部は取り切れませんでした。

なお、今回の乳酸菌風呂B、産膜酵母ができるのが早いようです。前回は9日目あたりだったのに今回は5日目あたりから産膜酵母が出始めています。

乳酸菌風呂b3〔2011年8月17日 追記〕写真は乳酸菌風呂Bの水面をいわゆるプチプチ(エアキャップ――梱包用緩衝材)で覆ったところです。実は一週間ほど前飯山さんのところの掲示板でmomousaisaruさんという方が、10日ほど家を留守にする間乳酸菌風呂を放置しておいても大丈夫だろうかというご心配をなさっていました。それに対し私はみきさんともども、乳酸菌はけっこう長い間生きているので10日程度なら大丈夫でしょうとお答えしました。ただし産膜酵母が発生しその上にカビなどが繁殖する可能性があるので、風呂用の保温シートで覆ってやることによりそれを防ぐことができるのではないかというお話をしました。その件はまあそれで解決だろうと思いましたが、私自身としては自分の乳酸菌風呂の産膜酵母が気にかかっていました。というのは、飯山さんの掲示板を見ても『生々流転』でのじゅりさんのコメントをうかがっても、乳酸菌風呂に産膜酵母が発生しているのはどうやら私だけのようだったからです。

ぬか床の表面や乳酸菌風呂の水面に張ることから産膜酵母菌は好気性の菌類であろうとは思っていましたが調べてみると他の酵母とは異なり産膜酵母はカビ類と同様に偏性好気性の生物で酸素の存在する環境でしか生育できないらしいのです。ということは空気を遮断すれば産膜酵母の勢力は衰えるはず…。ならば保温シートで覆うことによって産膜酵母からさよならできるかも…、と昨日になって思いつきました。で、ネット通販で保温シートを購入しようと決心した直後に、いや保温が目的ではないのだから浴槽の水面に浮かべられるシート状のものならなんでもよいのではないかという考えが浮かびました。家にある何かでそういうもの…。そうだ梱包材のプチプチの大きいのが取ってあったはず。さっそく湯面のサイズに合わせて切りました。ただし縦は湯面のサイズに合わせて61センチ強にしましたが、横のサイズは68センチよりも長目にしました。長い分は折りたためばいいと考えたからです。そんなわけで昨日の昼間、産膜酵母の張った乳酸菌風呂をかき混ぜてプチプチのシートを浮かべました。夜沸かす前にシートを取ってみると産膜酵母は姿を消していました。そして入浴後黒糖とあら塩・ぬかを投入し、あらためてプチプチシートを浮かべました。上の写真は今日の昼間のものです。

乳酸菌風呂b4右はそのシートを外したところ。産膜酵母はやはり見えません(左上の白いものは米ぬかの入ったお茶パックです。上の写真では右の方に浮かんでいます)。沸かすときと入浴時以外はこのシートを浮かべておけばいずれ完全に産膜酵母とはお別れできるかもしれません。なお、このプチプチシートはちょっとヤワですし、せっかく湯面を覆うなら保温シートにした方が何かと都合がいいので、あとで保温シートを何枚かまとめて注文しようと思っています。

なお、3日前と2日前に続けて1.5リットルずつの乳酸菌液を入れました。これで乳酸菌風呂Bに投入した乳酸菌液は合計20リットルになりました。途中水も入れているので正確には何パーセントか分かりませんが、黒糖や米ぬかも投入しているのでそれほど薄まってはいないと思います。今日の昼に測った pH は4.0 と 3.5 の中間くらいでした。

乳酸菌風呂b5〔2011年8月20日 追記〕注文していたお風呂用保温シートが本日昼過ぎに届きました。70センチ×90センチ、厚さ約4ミリ、表面が PETアルミ蒸着フィルムで裏面が発泡ポリエチレン製。はさみで 62×69(湯面のサイズよりやや大きめ)に切って、あとは湯面に浮かべながら微調整。四隅だけが丸くなっているのではなく各辺もゆるめの曲線状になっているので少しずつ切りながら湯面に合わせます。けっこう時間がかかりましたがなんとかあまり隙間が空かないようにできました。

乳酸菌風呂b6ところが…。アルミの側を上にしてカットしたのですが、実は表面のアルミ側を下にしてお湯に触れるように浮かべるのだそうで、裏返しにしたところなんと折り目のせいで左右(横方向)に隙間ができてしまいました(右上の写真)。まあ、こんなこともあろうかと5枚買ったので次からはちゃんとできるでしょう(今回のを型紙代わりにすれば時間も短縮できる)。そんなわけでお払い箱にしようと思っていたプチプチシートを上からかぶせて隙間をカバーすることにしました(右の写真)。次に使う分は前もって袋から出し、折り目が平らになるように広げておくのがよいかも知れません。

〔2011年8月21日朝 追記〕 保温シート、あまり具合がよくありません。表面と裏面との材質の違いから反り返ってしまいました。折り目によるガタガタと相まって空気を遮断する役目を果たせません。隙間だらけなので保温効果もほとんどなし。使う意味がないので外して、プチプチシートのみに戻しました。なおプチプチシートも濡れると重くなり、端の方から湯が上に侵入してきます。2枚作って交互に使うのがいいと思います。

乳酸菌風呂b7〔2011年8月22日 追記〕乳酸菌風呂B、20日目入浴後の様子。今晩の乳酸菌風呂は酸っぱい匂いがしていました。湯垢・ぬめり・沈殿物もなくいつもと変わりなく入浴を楽しみました。ただし、追い炊きする前にプチプチシートを外した湯面にはわずかながら産膜酵母が見られました。

なお、最近は乳酸菌風呂の湯を使わないようにしていますが身体に着いたり、蒸発したりするので少しずつ湯は減っていきます。湯の目減りを補うため入浴後に200~300mlの水を加えています。それでも加える水は以前より少なくて済みますので入浴後に投入する米ぬかを3分の1、黒糖とあら塩とを3分の2に減らしました。

〔2011年9月1日 追記〕 昨晩で29日目を迎えた乳酸菌風呂B。湯垢もぬるぬるもなく、甘酸っぱい匂いがしていました。まだまだいけそうですが次の乳酸菌液の準備ができたので乳酸菌風呂Cを開始することにします。

〔2011年9月1日 注記〕 乳酸菌風呂に関するこれ以降の記録は <乳酸菌を培養する(8)――〔応用編7〕乳酸菌風呂、その2> で続けます。

〔注記〕 米のとぎ汁や米ぬか水等を利用した米乳酸菌の培養に関する基本的な事項や知っておくべき大切な情報は <乳酸菌を培養する(1)――〔基礎編〕> に載せてあります。まだお読みでない場合は一通り目を通しておかれることをお勧めします。また、その記事には 乳酸菌液の利用・活用・効能関連記事へのリンク集 も載せてあります。

なお、日々の実践を通して新たに分かったことや新しい知見、あるいは誤っていた記述など、<乳酸菌を培養する(1)>の内容は頻繁に更新・追加されていますのでときどき目を通して頂ければ幸いです。

――乳酸菌を培養する――

   (1)〔基礎編〕  米乳酸菌を培養してみた(とぎ汁培養液)
   (2)〔応用編1〕米ぬか培養液・拡大培養
   (3)〔応用編2〕乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
   (4)〔応用編3〕通販の米ぬかを使った米ぬか培養液
   (5)〔応用編4〕飯山氏、拡大培養の「秘法」を明かす
   (6)〔応用編5〕発泡乳酸菌液と乳酸菌風呂
   (7)〔応用編6〕乳清で作る豆乳ヨーグルト
   (8)〔応用編7〕乳酸菌風呂、その2
   (9)〔探究編1〕古米の玄米と米乳酸菌、玄米浸潤液
 (10)〔探究編2〕玄米浸潤培養液
 (11)〔探究編3〕黒糖と白糖、乳酸菌風呂3
 (12)〔探究編4〕米ぬかと糖だけを使った培養実験
 (13)〔展開編1〕玄米で作る豆乳ヨーグルト
 (14)〔展開編2〕とぎ汁で作る豆乳ヨーグルト
 (15)〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト
 (16)〔展開編4〕豆乳だけでヨーグルトができた
 (17)〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルトと内生菌 ―― 野菜・果実・穀物・蜂蜜・梅干…等で作るヨーグルトのまとめ
 (18)〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか
 (19)〔発展編1〕驚異の玄米浸漬培養液
 (20)〔探究編6〕炊いたご飯と乳酸菌
 (21)〔展開編6〕超大雑把な蓬乳酸菌の培養
 (22)〔発展編2〕玄米豆乳乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
 (23)〔発展編3〕濃いとぎ汁と乳酸菌の増殖率
 (24)〔探究編7〕白米浸漬培養液も乳酸菌が多い
 (25)〔基礎編2〕七分づき米のとぎ汁培養液
 (26)〔発展編4〕米麹の力(米と麹で作る濃密な乳酸菌液)
 (27)〔発展編5〕黒糖と米麹の併用/米麹と産膜性酢酸菌
 (28)〔展開編7〕手軽にできる蓬乳酸菌の培養
 (29)〔展開編8〕色がきれいな赤紫蘇乳酸菌液
 (30)〔展開編9〕ミカンの皮の乳酸菌液

 乳酸菌を培養する(1)~(30)をまとめて読む。

(関連記事)

(関連サイト)

幼稚園児の教室に大学院生が!(じゅりさん 11年7月13日) ――ちょっと面はゆい記事ですが…

史上最大規模の大噴火!(じゅりさん 11年7月19日)

トラックバックURL

http://okrchicagob.blog4.fc2.com/tb.php/273-2c6467f4

前の記事 次の記事



アクセスランキング ブログパーツ