この記事の目次
乳酸菌風呂に対するネガティブキャンペーンとニセ科学批判クラスタ
呼吸発電さんが作成した「乳酸菌風呂」という【togetter】(関連するツイートをまとめたもの)に私のブログの記事へのリンクがあって、最近そこからアクセスして来る方が増えています。その【togetter】に集められているツイートのほとんどは菊池誠大阪大学教授(@kikumaco)を頭領とするいわゆる「ニセ科学批判」の方たちです。
――「ニセ科学批判」クラスタと最近よく耳にする「エア御用」クラスタとはメンバーが重複しています。どちらも頭領は菊池誠氏。この記事の末尾に「エア御用な人々」へのリンクを載せておきます。それにしてもこの【togetter】で乳酸菌風呂の危険性をご心配なさっているエア御用な方々、福島原発の爆発で放出された放射能の影響に関しては極端に安全寄りの言動を繰り返している一方で乳酸菌風呂に関しては極度の危険厨であることが不思議です。
ご存じの方もいらっしゃると思いますが、乳酸菌やそれと共生する麹・酵母を利用した発酵食品は古来たくさんあります。糠漬けや白菜漬け・キムチなどの漬物、あるいは日本酒・どぶろく・マッコリ・ワインなどの醸造酒、味噌・醤油・みりんなどの調味料、ヨーグルトやチーズなどの酪農製品等々。これらの食品は消毒・殺菌用の薬剤などによる格別の殺菌をほどこさなくても腐敗することなく見事に発酵し、安全な食品となって私たちの日々の食卓に上っています。なぜなら乳酸菌やそれと共生する酵母・麹が発酵している環境では腐敗菌などの雑菌は繁殖することができず、さらに乳酸菌が生成する乳酸によって雑菌が死滅してしまうからです(生物が作り出す乳酸やクエン酸・リンゴ酸・酢酸などの有機酸は塩酸などの無機酸よりも腐敗菌などに対する殺菌力が高いことが知られています――中でも酢酸や乳酸の殺菌力の強さは格別)。
昔の人たちは衛生学などを知らなくても穀物や野菜、果実、乳などを発酵させることによって腐敗を防ぎ長期保存のできる食品を作り出す術を発見していたわけです。私の書いた<乳酸菌を培養する(1)――〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた>をお読み下されば、米のとぎ汁を使って作る米乳酸菌液も白米に生息している乳酸菌や酵母・麹のもつ発酵能力を利用した発酵物の一種(発酵乳酸菌液)であることが分かります(乳酸菌の発酵によって作られる乳酸――pH 3.5 程度――が侵入してくる腐敗菌や食中毒菌などの雑菌を抑制・排除します)。最近はいろいろな野菜や穀物・果物・野草などに住んでいる酵母菌を増殖させて「~酵母」と呼ばれる健康食品を作る方が増えていますが、これらの発酵においても共生している乳酸菌が雑菌の混入・繁殖を抑え、乳酸を産生することによって殺菌するという重要な働きをしています(醸造酒や醸造調味料・漬物を作る過程でも乳酸菌は同様の働きをしています)。実は米のとぎ汁乳酸菌液にはたくさんの酵母も生きているのでその意味では「米酵母液」と呼んでも構いません。そしてとぎ汁酵母は他のものに比べて身近で手軽に手に入ること、そのレシピも簡単だという特徴があります。
〔注〕* rejuvelac:a drink(liquid) made from fermented sprouted soft grains. 小麦やライ麦、米などの穀類を少量の水に浸けて発芽させ、一旦水を切ってから適量の水(体積比で2~3倍)に 2~3日浸すと、穀類の種に生息している乳酸菌や酵母などの有用発酵微生物の働きで発酵液ができます(乳酸菌が作った乳酸のために pH4.0 程度の酸性水になっている)。その中には、増殖した乳酸菌や酵母がいるだけでなくビタミンB群、ビタミンK、ビタミンE、たんぱく質、デキストリン、炭水化物、アミロースの他に酵素やミネラルなどが含まれています。
もともとは発芽穀物の発酵液をリジュベラック(仏語。英語読み:リジュビーラック)と呼ぶようですが、穀類以外の野菜や果実や豆類、野草等にも乳酸菌や酵母は住んでいるので広義ではそれらの発酵液もリジュベラックと呼ばれています。その意味では糖分を加えて作る「野菜酵素水」とか「野草酵母」と呼ばれるものもリジュベラックの一種ですし、とぎ汁乳酸菌液もリジュベラックの仲間であるといえます。どれも原理は同じです。穀類や野菜、豆類・野草などの種や葉や果実に住んでいる乳酸菌や酵母などの発酵微生物を発酵環境に置けば発酵微生物たちは自然に増殖を始めます。増殖するための栄養分は植物の種や葉や果実が持っているので、水分を適切に与えて発酵微生物が発酵しやすい環境を作ってやれば発酵液ができるわけです(糖分や塩分を加えることによってより濃密で安全な発酵液ができます。野菜を塩漬けにしたり果実をつぶしたりして、野菜や果実が持っている水分をそのまま利用する方法もあります――漬物や果実酒など)。これらの発酵液には植物の種や葉や果実に含まれていたビタミン類やアミノ酸やミネラルなどのほかに発酵微生物が作り出した有機酸や各種の酵素が含まれています。
多くの植物に乳酸菌や酵母などの発酵微生物が共生しています。発酵微生物は植物から栄養分をもらう代わりに植物が他の雑菌に犯されて腐敗しないように守っているのでしょう。共生とは単に乳酸菌や酵母の相互依存関係だけではなく植物をも含む相互依存関係なのだと私は考えています。なお、米乳酸菌などの植物性乳酸菌は、暖かくて栄養分の豊富な動物の体内や皮膚に共生している動物性乳酸菌と違って、屋外の厳しい自然の中で少ない栄養分を食べて生き延びているのでとてもたくましいようです。
〔追記〕 先日、市販の乾燥千切り大根(宮崎産・天日干し)を使った煮物を作るときに、この乾燥大根のもどし汁を見ながら「もしかしたらこの中にも乳酸菌や酵母が生きているのではないか」とふと思いました。そこで、このもどし汁に水を少し足してペットボトルに入れ、約1%のあら塩と約3%の白糖を加えてから暖かい環境に置いて様子を見ました。
予想した通り日毎に pH が低下していき 4日後に pH3.5 に到達し、5日目から激しい発泡が起こりました。米のとぎ汁培養とほとんど同じような経緯を示したわけです。pHの低下は乳酸菌の発酵の結果であり、激しい発泡は酵母の増殖(発酵)を示していると考えられます。顕微鏡で見ると非常に沢山の乳酸桿菌と、これも非常に多くの円形酵母の小コロニーが見られました。白糖やあら塩には乳酸菌も酵母もいませんから、これらの乳酸菌や酵母は乾燥千切り大根の表面あるいは内部で生きていたものと考えてよいだろうと思います(黒糖や粗糖の中には乳酸菌や酵母が住んでいます)。
〔参考〕 ブルガリアヨーグルトは木の枝に住む乳酸菌を利用して作る
◆ヨーグルト(ブルガリア)魔法の枝から乳酸菌(『読売オンライン』2008年6月23日 からの転載)
↓「ヨーグルトの木:ドリャン」、その親戚筋の「サンシュユ」という木の枝で実験した人。牛乳ヨーグルト→豆乳ヨーグルト→チーズ→チーズケーキ。
◆なるい記事 ゴー!(はぐれベジ ・ 貧乏派 2009年5月2日)
〔2013年2月12日 追記〕2011年の7月初旬以来ずっと私は米のとぎ汁や玄米浸潤液あるいは米ぬか水を使って作った発酵乳酸菌液を種にした豆乳ヨーグルト(乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト)や豆乳ヨーグルトの乳清を種にした豆乳ヨーグルト(乳清で作る豆乳ヨーグルト)を作って食べていましたが、最近になって白米や玄米、米ぬかそのものを種にしても豆乳ヨーグルトができることが分かりました(玄米で作る豆乳ヨーグルト)。さらに紅茶や緑茶やコーヒーなどの食品(植物の葉や種などを乾燥させたもの)やさまざまな野菜や果実、あるいは蜂蜜や黒糖などの植物性食品を種に使っても豆乳ヨーグルトができることが判明しました(植物系で作る豆乳ヨーグルトと内生菌)。乳酸菌が短期間に増殖することから分かるように米のとぎ汁は細菌類を培養する培地として適していると言われていますが、豆乳も乳酸菌などの発酵微生物を増殖させる培地としてとても優れていると思われます。
植物の体内に住む内生菌
〔2013年5月22日 追記〕最近知ったことですが植物体の表面だけでなくその内部にも内生菌と呼ばれる真菌類や細菌類が住み着いていて植物の成長・老化や生命維持等に関与しているようです。実際さまざまな植物性の食物(生のものはもちろん乾燥したものや熱を加えたもの、蜂蜜や糖で漬けたものなど。果肉や種子そのものも)を種菌として豆乳ヨーグルトができることも分かってきました。上で紹介したドリャンだけでなくほとんどあらゆる植物の体内に乳酸菌は住み着いているようです。乳酸菌はかなり濃い塩分や糖分にも耐性が強く、また熱にも強いので家庭内にあるごく普通の食品にもわずかとはいえ乳酸菌が住んでいるために豆乳ヨーグルト作りの種として使えるわけです(「植物系で作る豆乳ヨーグルトと内生菌」)。
乳酸菌風呂はその米乳酸菌液(米酵母液)を風呂の水に入れたものです。入れる乳酸菌液の量はさまざまで、私も最初のうちは 50ml、500ml、1リットル…と徐々に増やしていきました。ただし、数リットル程度では風呂の湯は毎晩取り替える必要があります。ところがその量を増やして風呂水の量の10分の1以上にして毎日黒糖やあら塩、新しいとぎ汁などを少しずつ入れてやると風呂水が発酵環境になって、共生している乳酸菌や酵母、および乳酸菌が作り出す乳酸(pH 4.0程度になる)の殺菌作用のためにその中に雑菌などが侵入することができなくなります(レジオネラ菌は pH 5.0 以下の環境では生きられない)* 。また、麹・酵母・乳酸菌が作り出すタンパク質分解酵素や脂肪分解酵素、デンプン分解酵素、二糖類分解酵素などによって皮膚から剥がれ落ちた角質や脂質、とぎ汁に含まれるデンプンやタンパク質なども分解されてこれらの発酵微生物の栄養源になるので浴槽には湯垢や油汚れなどが付着することがありません。さらに乳酸の殺菌効果によって雑菌によるぬめりも発生することがなくずっと清潔に保たれます。
〔注〕* 米乳酸菌液(発酵乳酸菌液)の pH は 3.5 ですから、10倍に薄めた乳酸菌風呂は当初 pH4.5 くらいになっています。その後の塩分や糖分の追加で徐々に乳酸菌や酵母などが増殖するのでしばらくすると pH4.0 程度になります。浴槽は水面が広いため風呂水には酸素が溶け込み、通性好気性生物である酵母がかなり増えてイーストの匂いがするようになり、底の方では通性嫌気性生物の乳酸菌が発酵によって乳酸を作り出します。発酵乳酸菌液でもそうですが、酵母が優勢になると乳酸菌の増殖が頭打ちになるので風呂水の pH は 4.0 前後になって安定します。
呼吸発電さん(@breathingpower)が非難のやり玉に挙げ、ニセ科学批判クラスタの人たちが「マコモ風呂」「レジオネラ菌恐い」などとおっしゃる「お湯を捨てない『乳酸菌風呂』」というのはこのような乳酸菌風呂のことです。実践を通じて知見を得ながらその過程を公表している者に対して追実験することもなく非難の言葉だけを投げつける、このような態度は科学を口にする人たちにふさわしくないと私は考えています。
――反証のための追実験も行わずにただ非難の口撃だけを投げつける、彼らの信奉する「科学」は実践を伴わない単なる「エア科学」ではないのかとさえ私は思います
〔追記〕 上の「乳酸菌風呂」という【togetter】で、レジオネラ菌とか緑膿菌とかバイオフィルム(細菌叢)などをキーワードにして感染症の危険性を「講釈」している Y Tambe氏(@y_tambe:癌関連遺伝子研究者兼微生物学者)。最初の煽りは過激でしたが最後の方はなんだかいい訳じみています。微生物学者だからといって醸造や発酵についての知識があるとは限りません。調べてみると、乳酸や酢酸・クエン酸などの有機酸やアルコール、乳酸菌・酵母などの発酵微生物の増殖、あるいは殺菌作用をもつホップなどの植物等々を組み合わせてバリアを築き、有害な雑菌を抑制・排除することは醸造や発酵の分野では常識に属することのようです。雑菌バリアといえば、人間の皮膚や腸内でも乳酸菌などの常在菌がバリアをつくって雑菌による感染症から身体を守ってくれています。
Y Tambe氏が指摘しているように、普通の風呂で追い炊きしたときに風呂桶につくぬめりは確かにバイオフィルムでしょうし、普通の風呂のボイラーへつながるパイプの内壁にもぬめりはついています。それでも日本の家庭の風呂でレジオネラ菌や緑膿菌による感染症が発生した事例などはほとんどありません。ましてや乳酸菌風呂ではそれらのぬめりは皆無です。むしろ普通の風呂よりも乳酸菌風呂の方が清潔なんですね。
乳酸菌風呂の表面に浮く産膜酵母の白い皮膜を見て「バイオフィルムだ」と、その危険性を煽る呼吸発電さんもどうかと思います。微生物がつくるバイオフィルムもさまざまです。時には乳酸菌もバイオフィルムを作ることがあります。人の腸内では善玉菌が細菌叢を作っています。
鹿児島県で行なわれている伝統的な黒酢作りでは、醸造中の甕(かめ)の底に沈殿した玄米の表層近くでは乳酸菌と酵母が共生してバイオフィルムを作り酵母がアルコール(エタノール)を効率的に作っています。また醸造液の液面には白い酢酸菌膜(ちりめん膜)が張りその下では乳酸菌と酢酸菌とがバイオフィルムを形成して乳酸菌が作る乳酸の除菌効果の元で酢酸菌がアルコールから酢酸を生成しています。
このようにすべてのバイオフィルムが危険であるわけではないのです。危険なのは人間の健康に害を及ぼす雑菌や病原菌などの作るバイオフィルムです。産膜酵母のバイオフィルムが危険だとおっしゃるなら利用者数が圧倒的に多い糠味噌や白菜漬け、ワインの産膜酵母の危険性を訴える方が先決でしょう。
とはいえ、さまざまな発酵物の発酵過程で生じる産膜酵母は苦みがあり薬っぽい匂いがして不快なものではありますが人間がそれを口に入れても無害であることが分かっています(ワインの一種であるシェリーは醸造中に発生する産膜酵母(フロール flor)が作り出す物質によって独特の風味を醸し出しています)。そのあたりのことは微生物学者のY Tambe氏もお気づきになったのでしょう。その後のお二人のツイッター上でのやり取りをみるとY Tambe氏が明らかに逃げ腰になっているのが興味深いです。
〔注記〕乳酸菌風呂の色について
呼吸発電さんは、飯山さんの乳酸菌風呂の風呂水が褐色をしているという点だけを見て「飯山一郎氏が書いた乳酸菌風呂の記事。マコモの添加がないだけで、マコモ風呂とほとんど同じに見えます」と決めつけています(2012年02月13日のツイート)。しかし乳酸菌風呂が褐色をしているのにはその理由があります(マコモ風呂の色についてもまた違った理由があるはず)。呼吸発電さんやニセ科学批判クラスタの人たちはそういうことについてきちんと確認することもせずに、風呂水の色の共通性という上っ面だけを見て的外れな非難をしているわけです。私の乳酸菌風呂の写真を見るとお分かりになるように乳酸菌液を沢山入れた乳酸菌風呂の色は褐色になります。これはとぎ汁培養や米ぬか培養で乳酸菌や酵母の栄養源として使った黒糖の成分である糖蜜の色が抜けずに残っているためです。黒糖を使って培養すると発酵が終っても反応せずに残る糖蜜の色素のために、<乳酸菌を培養する(2)――〔応用編1〕>に載せた培養液や乳酸菌液の写真のような色になるので、投入する乳酸菌液の量が多いほど乳酸菌風呂の色も濃くなります。なお、飯山さんの HP に載っている乳酸菌風呂の風呂水はとても濃い色をしています。その理由:飯山さんの乳酸菌風呂に投入されているのはグルンバで作ったヨモギの乳酸菌液です。グルンバで使うヨモギの糖蜜漬けには安価な糖蜜が使われるので非常に沢山の糖蜜が含まれています。そのため、できあがった乳酸菌液の中に残る糖蜜の色素の量も多いのでかなり濃い褐色になります。
私の記事はそれを読んで追実験することによっていくらでも反証することができるように記述されています。客観的な実験を通じてなされる正当な批判にはきちんと答える用意はありますのでニセ科学批判の方たちには是非ともきちんとした批判や助言をお願いしたいと思います。
他人のツイートをパクって拡散するロボットの発言を悪用する呼吸発電さん
〔2012年2月26日 追記〕少し長目の任意の他人のツイートを丸ごとパクるロボット・アカウントをたくさん作り、あたかも沢山の人が同一ツイートをつぶやいているかのように偽装している人がいます。オリジナルのツイートを発した人の多くはコピーされたことに気づいていないようです。非常に悪質な行為だと思います。それらのロボットの共通性は(1)女性の顔をアイコンとしていること、(2)他のロボットとの区別できる短めのツイートを時折入れることです(それらの短めのツイートの多くは特定の食品に関するもの)。
@okrchicagobのツイート 2012年02月05日(日)
私が 2月5日のツイートで取り上げたのはほんの一例ですが実際には他にもかなり多数のコピーツイートが拡散されています。たとえば、その中の一人の女性(ボット)のツイート(ツイログ)を表示させて、少し長目のものを適当にいくつか拾ってリアルタイム検索してみると…、 「のんびり座って缶ジュース飲んだら回復」・「彼女からどれだけ影響を受けたことだろう」・「そして今日、3月スタートで怒涛の」・「ティムはラス・ハドソンさんと」…、と長目のものはそのほとんど全部が他人のツイートを丸パクリしたコピーツイートです(時折短文ツイートが混じります。このロボットの場合は「梅干し」)。
ところがそういったたくさんのコピーツイートの中にたまたま「乳酸菌風呂」に関連するものがあることに気がついた呼吸発電さんは、米のとぎ汁乳酸菌を培養したり乳酸菌風呂に入ったりする人たちを「流行の最先端を走る人たち」と揶揄しながら2月22日に次のようなツイートをします。
@breathingpowerさんのツイート 2012年02月22日(水)
私はそれらがコピーロボットによるものであって決して「米のとぎ汁乳酸菌や乳酸菌風呂を擁護するツイート」ではないことを知っていますので、同じ日に呼吸発電さんに対して次のような返信ツイート(メンション)を送りました。
@okrchicagobのツイート 2012年02月22日(水)
しかし呼吸発電さんは私のツイートに返信することなく、素知らぬ顔で翌々2月24日に「乳酸菌風呂入ってきた」という【togetter】まとめを作り、菊池誠氏をはじめとする人たちにそれを知らせるツイートを発します。呼吸発電さんは、悪質なロボットの行為を自らの「反乳酸菌風呂キャンペーン」に利用することにしたようです。
それにつられてあのドイツ文学翻訳家の池田香代子さんは次のような返信ツイートを呼吸発電さんに返します。乳酸菌培養に関してネガティブな発言やツイートをしている江川紹子さんに影響されてでしょうか、とぎ汁乳酸菌を作っている人たちに対して「無知な人たちが飯山一郎さんを信じて間違った危険なことをしている」と思い込んでいる池田さんらしいツイートです(事実に当たって確かめることをネグって誰かを簡単に「信者」認定し、上から目線で何かを批判した気になるのは知識人と呼ばれる人たちの悪い癖です。マルクスの「すべてを疑え」は単に疑いにとどまることなく「真実を自ら追究せよ」を含意していることを忘れてはなりません)。
@ikeda_kayokoさんのツイート 2012年02月24日(金)
どうやら池田香代子さんはコピーロボットの悪質なコピーツイートが「乳酸菌風呂普及に熱心な方々」の宣伝ツイートだという呼吸発電さんの虚偽発言を真に受けているようです。ほかにも、同じようにそのまま信じこんで呼吸発電さんの【togetter】まとめを拡散している方がたくさんいるらしいのは残念なことです。漫画家?のいしかわじゅんさんもその一人です。
いしかわじゅんさん(@ishikawajun)のツイート 2012年02月24日(金)
池田香代子さんは乳酸菌風呂に対する先入観がおありのようなので(「ゲロり趣味」とかひどい言いようです)、「宣伝ツイート」なるものは実はコピーロボットのしたことであり、「乳酸菌風呂の宣伝」という呼吸発電さんの発言は濡れ衣であるという旨の返信ツイートを送りましたがご返事は頂けませんでした。呼吸発電さんの虚偽発言を真に受けて釣られた方たちの発言は上記【togetter】「乳酸菌風呂入ってきた」で沢山観察できます。なお、各ツイートの引用部分の下部にある時刻をクリックするとオリジナルのツイートが見られます。
ニセ科学批判クラスタはなぜエア御用と呼ばれるようになったのか
〔2012年2月28日 追記〕 昨年の3月、福島第一原発が事故を起こしたとき、政府を構成する政治家・官僚や原発村の御用学者たちは真実の情報を隠して「安全寄り」の虚報を垂れ流し続け、その結果多くの国民が避けられたはずの放射線被曝を受けてしまいました。しかも、政府・東電は事故の真実を隠蔽することに力を注いだために適切な事故処理にも大きな遅れが出て、さらに被害の拡大をもたらしました。そんなとき、御用でもない学者や評論家の中にも間違った情報を流し続けた一群の人々がいました。その多くが「ニセ科学批判」クラスタの学者や「と学会」関連の人たちであったことは記憶しておく必要があります。
彼らは事実が徐々に明らかになっても、自らの誤った判断や言動に対する反省もせず今も「安全寄り」に偏った御用発言を繰り返す一方で、放射性物質の危険性に注意を呼びかけたり、自らその危険性に対処しようとしている人々に非難の矛先を向け、「放射脳」とか「ワーワー教」「危険厨」などといったレッテルを貼って数を頼んだ攻撃を仕掛けています。
原発事故の真相が明らかになるにつれて、ネット上では御用学者に対する厳しい批判にとどまらず、「御用でもないのに御用の片棒を担ぐ学者やその取り巻き」の集団を誰いうとなく「エア御用」と呼び、彼らを批判する声があちこちから上がるようになったのです。
群馬大学の早川由紀夫教授(火山学)は早くから彼らの欺瞞性に気付き、昨年の3月の段階で彼らのツイートを【togetter】「東日本地震と原発震災における特徴的なツイート(2011年3月)」にまとめています。これを見ると菊池誠大阪大学教授のみならず原発に対する江川紹子氏の御用性が早くも露わになっています。なお岡田斗司夫氏のように「僕たちは『大人』。大人の役割は子どもたちに『空手形』を発行することだと思う」と間違った空手形を大量に乱発した方もいます。早川さんは昨年四月に多くの方々の努力によって測定された土壌の放射線数値をまとめた「放射能汚染地図」(通称「早川マップ」)を作った方です(最新は『五訂版』――〔2012.03.01 追記〕本日『六訂版』が発表されました)。
原発事故を境に日本の多くの理系学者がまったく役に立たないどころか国民に害をなす人たちばかりであることが明らかになりました。そんな中にも、真実を見抜いて正しい情報を発信し続けて下さった方々も少なからずいらっしゃったことは私たちにとっては幸いなことでありました。
原発の状態がどうなっているのかはっきりしたことがまだ分かっていない段階で「メルトダウンしません」(例:菊池誠「メルトダウンじゃないだす 」)などと無責任な言動をしている人たちに対して、国立天文台の牧野淳一郎教授(@jun_makino)――当時、現在は東京工業大学――は「何故この事態の時にこんなことを書いたり、それをリツィートしたりする輩がいるんだ? もちろん分裂反応は止まってるけど、核分裂生成物の崩壊熱は今の瞬間にもでてます」のようにきっちりと批判し(2011年3月12日の日記)、的確な判断や情報を日記やツイッターで発信しています。また、安全派の洗脳の手から秋山浩保柏市長を救い出して「民・公・学で挑む、オール柏の除染計画」へとつなげた東京大学物性研究室の押川正毅教授(@MasakiOshikawa)も忘れることはできません――〔2012.03.07 追記〕押川教授や島薗進教授などが世話人になっている「東京大学原発災害支援フォーラム(TGF)」。
「エア御用な人々」から
科学者の中に、不十分な知識に基づいて事象を判断し、安全を不適切に強調する人がいる。また、科学の外側にあるリスクをきちんと見積もれないままに、「科学的知識」だけに基づいて安全を不適切に強調する人がいる。「不十分な知識」に基づいて、科学の外側のリスクも無視して、安全を不適切に強調する人がいる。
専門外のことに口を出し、「放射能の健康被害を気にするのは愚者」「気にしなくて良いレベル」を繰り返す人々である。放射能との因果関係が不明な事柄に関し「放射能は無関係」と繰り返す。
今、避難対象地域以外の住民であっても、外部被ばくや内部被ばくがわれわれの健康にとって致命的となる可能性(リスク)が大きく存在しているのに、エア御用の方々は、それを他のあらゆるリスクと比較して小さく見せようとし、無視させようと努力している。
避難をしたい人が、避難したくなくなるように強要している。
われわれの健康にとって致命的な問題に対し、このように軽々しく、かつ抑圧的に関わることを看過できない。
彼らの多くが、事故初期に「結果的には被害程度を相当低く見積もった見解」を繰り返した人々である。そして、間違っていたとわかると、「あの時は仕方がなかった」という言い訳を繰り返し、反省せず、自分がなぜ間違えたのか考えようともしない。
過去の誤りを反省・熟考しないということは、今後もまた間違える可能性が高い。従って、彼らの言うことを聞いていたら、取り返しがつかなくなる可能性があるのだ。
もちろん彼らに同調している人々に対してまで、説得しようとは思わない。彼らの考えにふと疑問を抱き、違う行動を取りたいと思った人に対し、ここの情報は提供されている。
これらの情報を読んで、どう行動するかは読者しだいである。
「ニセ科学批判運動の真の目的」(『早川由紀夫の火山ブログ』)
菊池誠をリーダーとするニセ科学批判クラスタと放射能安全を強調するクラスタは、かなりの部分が重なる。ニセ科学批判クラスタがこれまで攻撃対象としてきたのは、血液型性格診断、水からの伝言、マイナスイオン、ホメオパシーなどである。既存科学の体系と対立する主張を批判する科学的な社会運動だと一見みえた。
しかしほんとうにそうだったのだろうか。科学の体系と反することを許さないも、科学の輝かしい業績を踏みつけにすることを許さないも、彼らの運動にとってつけた理由だったようにいまは思われる。彼らの真の理由そして目的は、現社会体制の維持継続を不安にさせる要因を早期につぶすことだったのだろう。
そう考えると、菊池誠をリーダーとするニセ科学批判クラスタが今回科学をかなぐり捨てて、やみくもに放射能安全を強調する側に立ったことがよく理解できる。原発こそが、ほんらい彼らがもっとも力を入れて批判すべきニセ科学だったはずだ。運転で生じる毒を始末するすべをもっていない技術なのだから。
ニセ科学批判の人たちは権威あるいは当局と親和性が高い。その本質はもともと「御用」にあったとみられる。
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