現実・非現実におけるある対象をある人間(認識主体)が認識し、意識の内部で客体化したその認識内容や思考内容(観念ないし個別概念)を認識主体が言語として表現する場合には、それらの個別概念は言語規範に媒介されて二重化しており、またそのとき意識内には思考内容の概念(個別概念)と言語規範の概念(語概念)との二種類の概念が――客体として――存在している。これはソシュールの「言語」(2)(2006.07.10)で紹介した三浦つとむの見解であるが、この二種類の概念を川島正平さんが「運用概念」「規範概念」と名づけて呼んでいることは知らなかった。川島さんの『言語過程説の研究』は読んだはずなのに恥ずかしい限りである。
深草周さんの『モノロゴス』というブログの発表「三浦つとむの主体的言語論」(2006年7月11日)を読んで私はそのことを初めて知ったのであった。
私の無知についてはともかく、深草さんの上記の稿では、私が紹介した三浦の見解が具体例をもって簡潔に述べられている。三浦の観念的自己分裂についてもコンパクトにわかりやすくまとめられている。一読をお薦めする。
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>この二種類の概念を川島正平さんが「運用概念」「規範概念」と名づけて呼んでいることは知らなかった。川島さんの『言語過程説の研究』は読んだはずなのに……
いえ、『研究』には確かこの区別は書かれてゐなかったと思ひます。私は以下のページを参照してこの区別を使ったので、きちんとした説明はこのページで確認して下さい。
<概念の二重化>説 2
http://www.interq.or.jp/pluto/yassy/ninijuuka.html
ただ、やはりこれも難しいところがあって、発表の後に聴いて下さった方から「『運用概念』がよく分からなかった」との声がありました。実際の「運用概念」の中身を観てみると、個別概念の場合もあれば普遍概念の場合もあり、対象から直接形成される概念もあれば、対象に繰り返し問ひかけて行く過程で形成されるものもあるといった具合で甚だ複雑です。発表では「要するに『規範概念』ではない方です」などと逃げを打ちましたが、短い時間で説明し、理解してもらふのは難しいことと感じました(私の力不足も当然ありますが)。
> いえ、『研究』には確かこの区別は書かれてゐなかったと思ひます。私は以下のページを参照してこの区別を使ったので、きちんとした説明はこのページで確認して下さい。
>
> <概念の二重化>説 2
> http://www.interq.or.jp/pluto/yassy/ninijuuka.html
わざわざお知らせいただきありがとうございます。
上記ページは私も何回か読んでいます。ただもう何年か前のことで、「運用概念」「規範概念」のことは忘れてしまっていたのでしょうね。寄る年波には勝てない。新しく身につけたことは自分で余程咀嚼してある程度固定した知識にしてしまわないとすぐに忘れてしまいます。
そんなことはともかく、「運用概念」「規範概念」という規定は分かりやすいし便利ですね。ご指摘のように「運用概念」にもさまざまなものがあるということはよく分かります。上記ページ以下の小川さんと川島さんの議論はとても興味深いです。私が日ごろ「運用概念」について考えていることが理論的に分析されていて、なるほどなあと思わせられます。言語表現の際や思考している際(これは実在するしないにかかわらず架空の聞き手や読者を想定して観念的な他者に話しかける形で言語表現のシミュレーションをしているようなもので表現する一歩手前まで進んでいるような気がします)にはごくまれな例を除いて観念的自己分裂が起こっていると思います。そこでは当然思考内容は客体化され概念化されているわけですが、その概念をどうやって形成したかによって「運用概念」の性格も違ってきますね。これを考えるのも面白そうです。
誠に申し訳ないのですが、そういうわけでお答えもヒントも差し上げられません。
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