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乳酸菌を培養する(16)――〔展開編4〕豆乳だけでヨーグルトができた

最終更新日 2013年6月28日〕

――乳酸菌を培養する――

 関連:〔応用編2〕乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
 関連:〔応用編6〕乳清で作る豆乳ヨーグルト
 関連:〔展開編1〕玄米で作る豆乳ヨーグルト(TGGヨーグルト) ―― 玄米・白米・米ぬか・米粉…で作るヨーグルト
 関連:〔展開編2〕とぎ汁で作る豆乳ヨーグルト
 関連:〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト
 関連:〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルトと内生菌 ―― 野菜・果実・穀物・蜂蜜・梅干…等で作るヨーグルトのまとめ
 関連:〔発展編2〕玄米豆乳乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト

 豆乳ヨーグルト作りの記事をまとめて読む。

 関連:豆乳ヨーグルト関連の記事をまとめて読む。

 乳酸菌を培養する(1)~(30)をまとめて読む。

〔注記〕この記事は「乳酸菌を培養する(15)――〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト」の「豆乳だけでヨーグルトが…」(2013年2月11日)の項目を別記事として独立させたものです。

〔2013.05.23 追記〕kitsunekopanさんの追実験

 この記事の目次

豆乳だけでヨーグルトが…
kitsunekopanさんの追実験

 
豆乳だけでヨーグルトが…

2013年2月11日〕実は1月15日にクリスさんから「〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト」のコメント欄につぎのようなコメントを戴いています。

クリスさんのコメント〔2013/01/15(火)01:11:40〕から 

ところで一つだけ疑問を感じたのですが、シカゴさんは長い間、乳酸菌を培養される実験を行っていらっしゃるので、もしかすると家の仲がヨーグルトを放置していても豆乳が発酵するような酒蔵みたいな環境になっているのは?ないか・・・と。

そうなると、実験の時に密閉の速度を速めないと空気中の乳酸菌が入り込み、実験に影響を与えるかもしれないと感じました。

誤差の範囲かな??その辺りはよく分かりませんが、ビギナーゆえの疑問でした。

思いがけない問いかけなのでちょっとびっくりしましたが、指摘されてみるとなるほどそういう可能性も考慮しなければならないなと思いました。開封して冷蔵庫に入れておいた豆乳がいつの間にか固まっていた…という話をどこかのブログ記事か何かで目にしたこともあります。私の場合は開封してから一番長く置いたものはたぶん8日くらいで、通常は開封後6日で使い切ります(2日ごとに250mlずつ使うので)。もう1年半以上そうやって豆乳ヨーグルトを作り続けていますが、私の場合は冷蔵庫内で固まったという経験はありません。とはいえ、あれこれ考えていても埒が開かないので実際に豆乳だけで固まるかどうか試してみることにしました。

沢山作ってもしかたがないのでまずは豆乳50mlをヨーグルティアの容器に入れ 40℃8時間 にセットして様子を見ます。この設定は私がふだん乳酸菌液や乳清を種にしてヨーグルトを作る場合と同じ(できてから間もない乳酸菌液の場合は6~7時間で固まります)なので、おそらくこれで固まることはないだろうと予想していました。結局8時間では固まらずその後1時間ずつ延長することを繰り返した結果、約12時間で固まったのを確認しました。冷蔵庫にしばらく入れてから食べてみたところ、酸味はほとんどなく味もあっさりしたものでした。しかし、できたのはまぎれもなくヨーグルトです(豆腐とは違う)。

つぎに行なったのは、豆乳200mlを完全密閉できるタッパ(容積230mlのもの)に入れ、蓋をして密閉してから保温マットの上に置きその上にカバーをして様子を見ることでした。保温マットの表面は32℃くらいでカバーをすると内部はだいたい34~5℃になります。この状態でときどき様子をみました(乳酸菌液を種にした場合にはホットマット上なら半日かからずに固まります)。しかし、ヨーグルティアのときとは違ってなかなか固まる気配が見えません。保温マットの上に置いたのが昼の12時半、結局固まったのを確認したのは翌日の昼12時半でした。つまり24時間でヨーグルトができたというわけです。しっかりときれいに固まっていました。これも冷蔵庫にしばらく入れてから食べてみました。酸味はなくあっさりしていますが、でもなんとなくおいしい。

このヨーグルトは冷蔵庫に保管して少しずつ食べていますが乳清は出るものの固さがほとんど変わらずしっかりした状態を保っています(できてからそろそろ25日になります)。味もほとんど変化がありません。酸っぱさもほとんど変化なしです。私がふだん作っているヨーグルトは3日もするとグズグズになって形を保っていません。明らかに違います。たぶん酵母がほとんどいないせいではないかと思われます(豆乳ヨーグルトがグズグズになるのは酵母が作り出す二酸化炭素やエステルなどの影響ではないかと推測)。乳酸菌の数も少ないのではないかと思います。

というわけで、温度さえ高ければ豆乳だけでもヨーグルトができることが分かりました。たぶんクリスさんの予想通り、室内を浮遊している乳酸菌が飛び込んだのでしょう。塩水にさらしてきれいに洗ってから水ですすいだミカンの皮を室内で陰干ししたものを種にした場合でも通常の乳酸菌液とまったく同じようにヨーグルトができた(〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト)ことから推測して、私の住む部屋には元気のいい乳酸菌がたくさん浮遊しているのではないかと思われます。

なお、私はふくれんの豆乳を1ケース(1000ml×6本)ずつ購入して常温保存しており、これを約1か月半で使い切ります(賞味期限は3か月強)。以前最後の1本を賞味期限ぎりぎりまでとっておいて使ったことがありますが、封を切らない限り豆乳が固まるようなことはないと思います。購入した豆乳の中に乳酸菌がいるという可能性はほとんどないと思われます。

さらに慎重を期すために2回目の実験でできた固形物(ヨーグルト)を種にして乳酸菌液を作る実験をしてみました。以前何回か行なった実験では〔豆乳ヨーグルト小さじ2杯・あら塩小さじ1杯強・白糖大さじ1杯強・水約500ml〕の培養液で通常のとぎ汁培養とほぼ同じ経過を辿って pH3.5 の乳酸菌液ができました。今回も同じようにして培養実験をしてみましたが結局 pH3.5 に到達することなく 9日後以降現在に至るまでずっと pH4.0弱にとどまっています。顕微鏡で覗いてみると通常の乳酸菌液にくらべて明らかに乳酸菌の数が少ないです。酵母はいろいろな種類のものが見られましたが、通常の乳酸菌液にくらべて長い桿状の酵母がとても多いこと、球状の酵母がほとんどいないことが分かりました。

以上の結果から、さまざまな食品を種にしてできるヨーグルトと豆乳だけでできるヨーグルトとは明らかに違うと判断できます。つまり、「〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト」に載せたさまざまな食品にはやはり乳酸菌が住み着いていると判断して間違いはないと思われます。
――日本茶以外の食品については「〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルト」に転記・移動した上で植物性乳酸菌を使った豆乳ヨーグルト全般について再構成する形でまとめました。

2013年2月13日 追記〕私はふだん家にいるときはだいたい居間で過ごしています。居間の炬燵に入ってパソコンを使ったりテレビを見たり音楽を聞いたり、本を読んだり…。居間は南向きで日中は陽が差し込んで暖かい上に居間と狭い台所の間にある仕切りを取り払ってあるので台所の冷蔵庫が発する熱で冬でも晴れた日は炬燵以外の暖房を使わなくてもけっこう暖かく過ごせます(夏は逆に暑いためエアコンなしでは過ごせません)。

乳酸菌の培養液は居間の窓際に置いたホットマットの上に寝かせてあります。乾燥させるミカンの皮を入れたネットは台所に吊しています。台所では頻繁に乳酸菌液をスプレーしますし、居間でもときどきスプレーしますので空気中に浮遊している乳酸菌や酵母は通常よりも多いかも知れません。水仕事の後や手洗いの後はしょっちゅう乳酸菌液をスプレーして手に塗っていますし(台所・居間・寝室・洗面所・トイレには乳酸菌液の入ったスプレーを常備)、風呂は乳酸菌風呂ですから家中が乳酸菌だらけかもしれません。

 
kitsunekopanさんの追実験

2013年5月23日 追記〕宮城県で卸専門のパン屋さん『パン工房 麦』を開いていらっしゃる kitsunekopanさん がご自身のブログ『きつねこぱん』で豆乳だけで作るヨーグルトの追実験をして下さいました(「米のとぎ汁乳酸菌なしで豆乳ヨーグルト!!」)。豆乳だけ(実際にはてんさい糖を2g入れているので厳密には豆乳だけではありませんが)のヨーグルトがほぼ1日でできたそうです。写真を見るととてもきれいに固まっています。kitsunekopanさんも上の記事で書いておられますが、豆乳だけのヨーグルトは乳酸菌液や乳清を入れたものに比べると水分が少ないために固めできれいになります。

てんさい糖には黒糖と同じように乳酸菌や酵母が生息していると思われるのでその乳酸菌も発酵に多少は関与していると思いますが私が黒糖を種にして作った豆乳ヨーグルトに比べるとその量は微々たるものですからほぼ豆乳だけでできたと考えてよいと思います。
――上記記事のコメント欄で kitsunekopanさんは「パン工場の暖かい上のほう(温度は32度くらい)に置いて」いらっしゃるとのこと。私がホットマット上で行った実験とほぼ同じくらいの温度です。どちらもほぼ1日でできたという点でも一致しています。

2013年6月18日 追記〕kitsunekopanさんからてんさい糖なしの豆乳だけのヨーグルトが約一日でできたというコメントを頂きました。kitsunekopanさん、重ねての追実験ありがとうございます。――〔追記〕「豆乳だけヨーグルト、びわのワイン煮で~♪ 」という記事の中でも簡単に触れられていますね。

〔注記〕 豆乳ヨーグルトについて
豆乳ヨーグルトを作るには豆乳(種菌)とが必要です。ヨーグルト作りには成分調製豆乳よりもミネラル分の多い無調整豆乳の方が適しています。私は飯山さんお薦めの「ふくれん 成分無調製豆乳」を使っています。なお、紀文の成分無調整豆乳を使うとヨーグルトの表面が薄いピンク色になりますがこれはネット上ではよく知られていることで食べても害はないそうです。

(1) 「〔応用編2〕乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト」にはとぎ汁培養や米ぬか培養などで作った発酵乳酸菌液ヨーグルトそのものを種に使う豆乳ヨーグルトについて、また「〔応用編6〕乳清で作る豆乳ヨーグルト」には豆乳ヨーグルトから濾し取った乳清を種として使う豆乳ヨーグルトについてそれぞれまとめてあります。

(2) 「〔展開編1〕玄米で作る豆乳ヨーグルト」には玄米白米、あるいは米ぬか米粉を種として豆乳ヨーグルトを作る方法が、「〔展開編2〕とぎ汁で作る豆乳ヨーグルト」にはとぎ汁を種にする方法がそれぞれ書いてあります。

(3) また、日本茶(茶葉)にも乳酸菌が住み着いているのでこれを種にして豆乳ヨーグルトを作ることもできます。深蒸し茶や煎茶を種に使って豆乳ヨーグルトを作る方法については「〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト」にまとめました。

(4) 「〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルト」には植物系のものを種として作る豆乳ヨーグルト全般について整理してまとめてあります。

〔注記〕 米のとぎ汁や米ぬか水等を利用した米乳酸菌の培養に関する基本的な事項や知っておくべき大切な情報は <乳酸菌を培養する(1)――〔基礎編〕> に載せてあります。まだお読みでない場合は一通り目を通しておかれることをお勧めします。また、その記事には 乳酸菌液の利用・活用・効能関連記事へのリンク集 も載せてあります。

なお、日々の実践を通して新たに分かったことや新しい知見、あるいは誤っていた記述など、<乳酸菌を培養する(1)>の内容は頻繁に更新・追加されていますのでときどき目を通して頂ければ幸いです。

――乳酸菌を培養する――

   (1)〔基礎編〕  米乳酸菌を培養してみた(とぎ汁培養液)
   (2)〔応用編1〕米ぬか培養液・拡大培養
   (3)〔応用編2〕乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
   (4)〔応用編3〕通販の米ぬかを使った米ぬか培養液
   (5)〔応用編4〕飯山氏、拡大培養の「秘法」を明かす
   (6)〔応用編5〕発泡乳酸菌液と乳酸菌風呂
   (7)〔応用編6〕乳清で作る豆乳ヨーグルト
   (8)〔応用編7〕乳酸菌風呂、その2
   (9)〔探究編1〕古米の玄米と米乳酸菌、玄米浸潤液
 (10)〔探究編2〕玄米浸潤培養液
 (11)〔探究編3〕黒糖と白糖、乳酸菌風呂3
 (12)〔探究編4〕米ぬかと糖だけを使った培養実験
 (13)〔展開編1〕玄米で作る豆乳ヨーグルト
 (14)〔展開編2〕とぎ汁で作る豆乳ヨーグルト
 (15)〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト
 (16)〔展開編4〕豆乳だけでヨーグルトができた
 (17)〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルトと内生菌 ―― 野菜・果実・穀物・蜂蜜・梅干…等で作るヨーグルトのまとめ
 (18)〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか
 (19)〔発展編1〕驚異の玄米浸漬培養液
 (20)〔探究編6〕炊いたご飯と乳酸菌
 (21)〔展開編6〕超大雑把な蓬乳酸菌の培養
 (22)〔発展編2〕玄米豆乳乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
 (23)〔発展編3〕濃いとぎ汁と乳酸菌の増殖率
 (24)〔探究編7〕白米浸漬培養液も乳酸菌が多い
 (25)〔基礎編2〕七分づき米のとぎ汁培養液
 (26)〔発展編4〕米麹の力(米と麹だけで作れる濃密な乳酸菌液)
 (27)〔発展編5〕黒糖と米麹の併用/米麹と産膜性酢酸菌
 (28)〔展開編7〕手軽にできる蓬乳酸菌の培養
 (29)〔展開編8〕色がきれいな赤紫蘇乳酸菌液
 (30)〔展開編9〕ミカンの皮の乳酸菌液

 乳酸菌を培養する(1)~(30)をまとめて読む。

(関連記事)

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コメント
 
[682] 豆乳だけヨーグルト
2013/06/10(月)19:14:25 | URL | kitsunekopan[編集
シカゴ・ブルースさんこんばんは!
遅くなってしまいましたが、その後、てんさい糖もなしで、豆乳だけのヨーグルトも約丸一日でちゃんとできました!
やはり室内に菌がいるからなのでしょうね。。。

 
[685] Re: 豆乳だけヨーグルト
2013/06/11(火)13:33:46 | URL | シカゴ・ブルース[編集
kitsunekopanさん、こんにちは。

> その後、てんさい糖もなしで、豆乳だけのヨーグルトも約丸一日でちゃんとできました!

豆乳だけのヨーグルトの追実験もなさって下さったんですね。ありがとうございます。

> やはり室内に菌がいるからなのでしょうね。。。

未開封の豆乳の中には空気(酸素)がありませんが、開封後は空気が入るため飛び込んだ乳酸菌の中には酸素呼吸で増えるものもいるでしょうから、乳酸菌の絶対量が増えて嫌気呼吸で乳酸を作る乳酸菌も相対的に増えるのでしょうね。それでヨーグルトができるのだろうと思います。
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言語関連の用語について

 表現された言語(本来の意味の言語)を単に言葉あるいは言語、ことば…のように表記しています。ソシュール的な意味の言語(言語規範ないし思考言語)はカッコつきで「言語」あるいは「言語langue」・「ラング」・「ことば」等と表記しています。(背景色つきで「言語」のように表記している場合もあります)

 一般的な意味の概念を単に概念と表記し、ソシュール的な意味の概念(語の意義としての概念、いわゆるシニフィエ・語概念)はカッコつきで「概念」と表記します。(2006年9月9日以降)

 また、ある時期からは存在形態の違いに応じて現実形態表象形態概念形態のように用語の背景色を変えて区別しています(この文章では〈知覚形態〉も〈表象形態〉に含めています)。

 ソシュールの規定した用語を再規定し、次のような日本語に置き換えて表記します。詳細は「ソシュール用語の再規定(1)」を参照。

【規範レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語韻     (ある語音から抽出された音韻)

・シニフィエ   → 語概念(語義) (ある語によって表わされるべき概念)

・シーニュ・記号 → 語規範(語観念)(ある語についての規範認識)

・記号の体系   → 語彙規範   (語すべてについての規範認識)

・言語      → 言語規範   (言語表現に関するすべての規範認識)

語概念・語韻は 語概念⇔語韻語韻⇔語概念)という連合した形で語規範として認識されています。語規範はこのように2つの概念的認識が連合した規範認識です。ソシュールは「言語langue」を「諸記号」相互の規定関係と考えてこれを「記号の体系」あるいは「連合関係」と呼びますが、「記号の体系・連合関係」の実体は語彙規範であり、言語規範を構成している一つの規範認識です。規範認識は概念化された認識つまり〈概念形態〉の認識なのです。

なお、構造言語学・構造主義では「連合関係」は「範列関係(範例関係)」(「パラディグム」)といいかえられその意義も拡張されています。

 語・内語・言語・内言(内言語・思考言語) について、語規範および言語規範に媒介される連合を、三浦つとむの主張する関係意味論の立場からつぎのように規定・定義しています。詳細は『「内語」「内言・思考言語」の再規定』を参照。(2006年10月23日以降)

  : 語規範に媒介された 語音個別概念 という連合を背後にもった表現。

内語 : 語規範に媒介された 語音像⇔個別概念 という連合を背後にもった認識。

言語 : 言語規範に媒介された 言語音(語音の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった表現。

内言 : 言語規範に媒介された 言語音像(語音像の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった認識・思考過程。

内語内言は〈表象形態〉の認識です。

なお、上のように規定した 内言(内言語・内的言語・思考言語)、 内語とソシュール派のいうそれらとを区別するために、ソシュール派のそれらは「内言」(「内言語」・「内的言語」・「思考言語」)、「内語」のようにカッコつきで表記します。

また、ソシュールは「内言」つまり表現を前提としない思考過程における内言および内言が行われる領域をも「言語langue」と呼んでいるので、これも必要に応じてカッコつきで「内言」・「内言語」・「内的言語」・「思考言語」のように表記します(これらはすべて内言と規定されます)。さらに、ソシュールは「内語の連鎖」(「分節」された「内言」)を「言連鎖」あるいは「連辞」と呼んでいますが、まぎらわしいので「連辞」に統一します(「連辞」も内言です)。この観点から見た「言語langue」は「連辞関係」と呼ばれます。ソシュールは「内語」あるいは「言語単位」の意味はこの「連辞関係」によって生まれると考え、その意味を「価値」と呼びます。構造言語学では「言(話し言葉)」や「書(書き言葉)」における語の連鎖をも「連辞」と呼び、「連辞関係」を「シンタグム」と呼んでいます。詳細は「ソシュールの「言語」(1)~(4)」「ソシュール用語の再規定(1)~(4)」「ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8)」を参照。

 さらに、ソシュールは内言における 語音像⇔個別概念 という形態の連合も「シーニュ・記号」と呼んでいるので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【内言レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音像(個別概念と語規範に媒介されて形成される語音の表象)

・シニフィエ   → 個別概念(知覚や再現表象から形成され、語規範の媒介によって語音像と連合した個別概念)

・シーニュ・記号 → 内語

・言語      → 内言

ソシュールがともに「シーニュ・記号」と呼んでいる2種類の連合 語韻⇔語概念語規範)と 語音像⇔個別概念内語)とは形態が異なっていますのできちんと区別して扱う必要があります。

 また、実際に表現された言語レベルにおいても、語音個別概念 という形態の連合が「シーニュ・記号」と呼ばれることもありますので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【言語(形象)レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音個別概念語規範に媒介されて実際に表現された語の音声。文字言語では文字の形象

・シニフィエ   → 表現された語の意味。個別概念を介して間接的にと結びついている(この個別概念語規範の媒介によってと連合している)

・シーニュ・記号 → (表現されたもの)

・言語      → 言語(表現されたもの)

 語音言語音語音像言語音像語韻についての詳細は「言語音・言語音像・音韻についての覚書」を、内言内語については「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」を参照して下さい。また、書き言葉や点字・手話についても言語規範が存在し、それらについても各レベルにおける考察が必要ですが、ここでは触れることができません。

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プロフィール

シカゴ・ブルース

シカゴ・ブルース (ID:okrchicagob)

1948年生れ(68歳♂)。国語と理科が好き。ことばについては子供のころからずっと関心を抱いていました。20代半ばに三浦つとむの書に出会って以来言語過程説の立場からことばについて考え続けています。現在は39年間続けた自営(学習塾)の仕事を辞め個人的に依頼されたことだけをこなす日々です。

コメント等では略称の シカゴ を使うこともあります。

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意識と言語(こころとことば)

われわれは人間が『意識』をももっていることをみいだす。しかし『精神』は物質に『つかれて』いるという呪いをもともとおわされており、このばあいに物質は言語の形であらわれる。言語は意識とおなじようにふるい――言語は実践的な意識、他の人間にとっても存在し、したがってまた私自身にとってもはじめて存在する現実的な意識である。そして言語は意識とおなじように他の人間との交通の欲望、その必要からはじめて発生する。したがって意識ははじめからすでにひとつの社会的な産物であり、そして一般に人間が存在するかぎりそうであるほかはない。(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』古在由重訳・岩波文庫)


ことばは、人間が心で思っていることをほかの人間に伝えるために使われています。ですから人間の心のありかたについて理解するならばことばのこともわかってきますし、またことばのありかたを理解するときにその場合の人間の心のこまかい動きもわかってきます。
このように、人間の心についての研究とことばについての研究とは密接な関係を持っていて、二つの研究はたがいに助け合いながらすすんでいくことになります。一方なしに他方だけが発展できるわけではありません。
…こうして考えていくと、これまでは神秘的にさえ思われたことばのありかたもまったく合理的だということがおわかりになるでしょう。(三浦つとむ『こころとことば』季節社他)


参考 『認識と言語の理論 I』を読む 1(1)――認識論と言語学三浦つとむ『認識と言語の理論 I』

子どもたちに向けた言葉

ふしぎだと思うこと
  これが科学の芽です
よく観察してたしかめ
そして考えること
  これが科学の茎です
そうして最後になぞがとける
  これが科学の花です
        朝永振一郎

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