〔最終更新日 2013年11月9日〕
――乳酸菌を培養する――
▼ 植物性乳酸菌(自家製乳酸菌)の培養に関する記事をまとめて読む。
▼ 浸漬培養に関する記事をまとめて読む。
▼ 乳酸菌を培養する(1)~(30)をまとめて読む。
▼ 関連:〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか
▼ 関連:〔応用編2〕乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
▼ 関連:〔展開編1〕玄米で作る豆乳ヨーグルト(TGGヨーグルト) ―― 玄米・白米・米ぬか・米粉…で作るヨーグルト
▼ 関連:〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルトと内生菌 ―― 野菜・果実・穀物・蜂蜜・梅干…等で作るヨーグルトのまとめ
▼ 豆乳ヨーグルト作りの記事をまとめて読む。
前記事「〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか」で取り上げた菌坊さんの玄米浸(ひた)し水(玄米乳酸菌水・玄米発酵液)については昨年(2012年)の9月初めにグレープおばさんの「孫に大受けのフニャフニャ人形」という記事のコメントにくに丸さんが書いておられるのを目にして、菌坊さんのブログの「乳酸菌水の作り方」という記事を読んで私も試してみたのでした。
2012年の9月に試しに作ってみた菌坊さん方式の玄米乳酸菌水
1合の玄米を軽く研(と)いで水を切り2リットルのペットボトルに入れ水を500ml加えて浸します。24時間後にさらに約1.5リットルの水を追加して蓋(ふた)を閉めそのまま常温で放置します。仕込んだのは2012年の9月5日でした。発酵はゆっくりと進み11月27日に pH3.5 に到達しました。顕微鏡で見ると完成した通常のとぎ汁乳酸菌液と同程度の乳酸菌とそれよりはかなり少ない酵母が増殖していました。十分使える乳酸菌液になってはいたのですが匂いがきついのと液の色が薄茶色であるということとで飲もうという気にはならず、また肌に塗ったり噴霧したりするのもためらわれてそれっきりそのままにしています。
〔注記〕とぎ汁培養液や米ぬか培養液を使って十分な乳酸菌を増殖させた液のことを私は発酵乳酸菌液(発酵乳酸菌水)と呼びますが記事の中ではこれを単に乳酸菌液と表記しています。
なお塩や糖の分量について以下の文中ではグラム表記の他に「小さじ1杯強×○」「大さじ1杯強×○」という表記を使っています。塩や糖の比重は水よりも小さいので「小さじ1杯強」「大さじ1杯強」でそれぞれ約5g・約15gになります。つまり「強」はやや山になる程度の量を表しています。
▲玄米培養液は糖とデンプンが鍵
▲黒糖を使った玄米培養液(玄米乳酸菌液のレシピ1)
▲玄米乳酸菌液(玄米発酵液)は発酵力が強い
▲〔追記〕白米浸漬培養
▲グレープおばさんの追実験
▲白糖を使った玄米培養液(玄米乳酸菌液のレシピ2)
▲玄米乳酸菌液の使用と栄養液の追加
▲使用して減った玄米乳酸菌液を補充する
▲補充液は拡大培養の栄養液と同じ
▲pH試験紙/乳酸菌液の利用・活用・効能等について
「〔探究編4〕米ぬかと糖だけを使った培養実験」という記事では、米ぬかとあら塩と糖だけで培養をすると乳酸菌液が完成するまでにかなりの時間がかかることを示したわけですが、実はそれだけでなく米ぬかとあら塩と糖だけで作った米ぬか培養液はきつい嫌な匂いがすることや培養液が薄茶色になってしまうこともその実験では分かりました。
私がふだん行なっている米ぬか培養では米ぬかとあら塩・糖のほかにデンプン源として米粉(片栗粉または小麦粉でもよい)を入れます(「〔応用編1〕米ぬか培養液・拡大培養」)。これによって乳酸菌の増殖が促進されるのですが、それに加えて大事なのはデンプンを入れた米ぬか乳酸菌液には嫌な匂いが発生しないことです。黒糖では薄茶色の色の変化があるかどうかは判断できませんが白糖を入れたものでは褐変(かっぺん)は見られません。通常のとぎ汁乳酸菌液とほとんど同じようなものができます。つまり米ぬか培養ではデンプンを入れることによって乳酸菌の増殖が促進されるだけでなく、嫌な匂いがなく褐変もない乳酸菌液が得られるわけです。また、玄米を水に浸して得られる玄米リジュベラック(玄米浸潤液・・玄米発酵液)も2回目以降のものはだんだん匂いがきつくなってきます。ところがこの玄米リジュベラックにあら塩と糖を入れて作る玄米浸潤(しんじゅん)乳酸菌液には嫌な匂いもなく褐変も見られないのです。
米ぬか培養液及び玄米浸潤培養液の二つの実践結果を合わせて考えるとどうやら糖とデンプンの両方があることが大事なようです(あら塩も関係しているかもしれません)。菌坊さんの玄米乳酸菌水はあら塩も糖も入っていませんが玄米にはデンプンが豊富に含まれています。したがって、菌坊さんの玄米乳酸菌水の3つの難点(できあがるまでに時間がかかる・嫌な匂いがする・褐変する)は玄米浸し水にあら塩と糖を入れることによって解決できると私には思われました。
そこで、私が実践しているあら塩と糖を加える乳酸菌培養法と菌坊さん方式の玄米乳酸菌水とを組み合わせた実験をしてみました。その結果、通常のとぎ汁培養よりも乳酸菌密度の高い乳酸菌液が得られること、嫌な匂いは発生しないこと、褐変もしないこと、完成するまでの日数は4~6日程度でとぎ汁培養とほとんど変わらないことが分かりました。私の推論通りの実験結果が得られたわけです。
〔2013年10月31日〕この記事を最初に書いたときにこの培養法のことを「玄米浸漬(しんせき)培養」、この培養液のことを「玄米浸漬培養液」、この培養液から得られる乳酸菌液のことを「玄米浸漬乳酸菌液」とそれぞれ呼ぶことにしましたが、これらの呼び名は長すぎる上に「玄米浸潤(しんじゅん)培養」や「玄米浸潤培養液」「玄米浸潤乳酸菌液」と名前がよく似ていてまぎらわしいため、以後このブログでは後二者のみ簡単に「玄米培養液」「玄米乳酸菌液」とそれぞれ略して呼ぶことにします。培養法の「玄米浸漬培養」はそのまま続けて使います。――〔追記〕タイトルの「玄米浸漬培養液」はそのままにしておきます。
なお、以下の実験で用いたのは「八ヶ岳たんぼの仲間の無農薬米」という玄米(2012年山梨県北杜市産・2013年4月3日精米)です。また、玄米や大豆などの穀類や豆類の種皮や胚芽に含まれるフィチン酸は有害であるという説については「〔基礎編2〕七分づき米のとぎ汁培養液」という記事の「フィチン酸有害説について」の項をご覧下さい。
〔注〕*言葉の定義の問題ですが、軽く研いだ玄米と水とを容器に入れて24時間程度置いて得られる浸漬水のことを私はこれまで玄米浸潤液と呼んできました(最初の浸漬水を捨てて2回目以降の浸漬水を飲用するのがいわゆる玄米リジュベラックです。玄米リジュベラックを得る段階では浸漬した玄米は発芽玄米になっていますが、1回目の浸漬の段階では玄米は完全には発芽しておらずいわば半発芽状態になっています)。この玄米浸潤液と半発芽状態の玄米のとぎ汁とを使うのが私の玄米浸潤培養液です。半発芽状態になっている玄米は炊飯して食用に回します。
玄米浸漬培養ではこの半発芽状態の段階であら塩と水を追加して、玄米もそのまま培養液の成分として使うわけです。つまり玄米浸漬培養と玄米浸潤培養との違いは半発芽状態になった玄米を培養液の一部として使うかどうかの違いということになります。
〔注記〕黒糖を使った以下の実験よりも先に白糖を使った実験を行ないましたが、黒糖を使う方が一般的でありできた乳酸菌液もおいしいので黒糖の実験を先に載せます。なお、この実験は2013年9月中旬に行なったものです。
実験は2リットルの培養液で行ないました。使った材料は以下の通りです。
玄米:1合(180ml) あら塩:小さじ1杯強×4(約20g=培養液の1%)
黒糖:大さじ1杯強×4(約60g=培養液の3%) 水:2リットル
初日:玄米1合を軽く水ですすぎ、すすぎ水を捨てた後胚芽が取れないようにやさしく研(と)ぎます*。表面の汚れを取るだけなので研ぐのは一回だけにしておきます。水を入れてすすぎ、このすすぎ水も捨てます。1合の玄米で2リットルの玄米培養液が得られるので軽く研ぎすすぎを済ませて水を切ったこの玄米と500mlの水とを2リットルのペットボトルに入れて蓋をし暖かいところに1日(24時間)ほど寝かせて置きます。今回はホットマットの上に置く代わりに冷蔵庫の上に寝かせてみました(このところ夜間~翌日午前の気温が大分低くなってきているので夜間も一定程度の暖かさを保っている冷蔵庫の上を利用することにしました)。
〔注〕*古米や古々米の玄米も使えます。そのあたりも考えて研ぎすすぎのことも書きましたが、新しい玄米あるいは古くても真空パックされていたりして保存状態のよいものは軽くすすぐだけでも大丈夫です。実際のところきれいな状態の玄米ならすすぎさえも不要ですが衛生的に気になる方は研ぎすすぎをする方がよいと思います。玄米や白米をそのまま口に入れても気にならない方は袋から出した玄米をそのままペットボトルに入れてもかまいません。なお乳酸菌や酵母は玄米の甘皮(果皮)の内側に住んでいるため研ぎすすぎをしてもちゃんと発酵します。古米や古々米をかなり丁寧に研ぎすすぎしたものでも新しい玄米と遜色のない乳酸菌液ができます。なお研ぎすすぎした玄米はペットボトルに入れるのがちょっと面倒ですが「【再掲】ペットボトルを利用した自作じょうご(粉末投入用)」でご紹介しているじょうごにスプーンですくって入れればさほど手間がかからずに済みます。ペットボトルに米などを入れるためのじょうごも市販されているようです。
1日後:24時間浸した水の中では十分な量の乳酸菌が増殖しています(玄米リジュベラックでは最初のこの水を捨ててしまいます。ちょっともったいない)。ここで水とあら塩を加えます。あら塩の量は20g(小さじ1杯強×4:培養液の1%)、追加する水は1.5リットルです(少し多めでもかまいません)。これで約2リットルの培養液ができます(pH6.5~6.0)。再び冷蔵庫の上に寝かせます。
2日後:玄米培養液は溶け出したデンプン等のために白く濁っています。ここで黒糖60g(大さじ1杯強×4:培養液の3%)を追加します。よく攪拌して黒糖を完全に溶かした後冷蔵庫の上に戻します。夜遅くなってから顕微鏡を覗いてみると乳酸菌は完成したとぎ汁培養液と同等の密度になっていました。酵母は予想していた通り種類が多いようです。桿形のものがかなりの割合を占めています。黒糖由来の乳酸菌と酵母が増殖しているためだと思われます(pH は5.0強)。
3日後:3日後の pH は 4.0弱でした。顕微鏡で見ると乳酸菌はさらに増え、酵母は通常の完成したとぎ汁乳酸菌液と同等に大増殖しています。
4日後:黒糖を入れてから2日後(玄米を浸漬してから4日後)に pH3.5 に到達しました。酵母も乳酸菌もさらに増えています。
5日後以降:5日後から発泡が激しくなってきました。ペットボトルを振って攪拌すると泡が噴出しそうになります。この状態はしばらく続きそうなので冷蔵庫の上から床の上に場所を変えて、さらにふたをゆるめにして発生する二酸化炭素を外に逃がすようにします。6日後、乳酸菌の数が驚異的に増えています。乳酸菌の密度はかなりのものです。これほどのものはヨモギ乳酸菌の元菌液でも見たことがありません。酵母もさらに増えています。まだ少し甘みがありますがもう使い始めても大丈夫でしょう。黒糖と玄米との組合せはとても強力なようです。
その後の経過から1週間~10日で玄米乳酸菌液は完成とみてよいと思います。完成した後も玄米乳酸菌液は発泡をし続けるため2週間目くらいまではボトルの蓋を少しゆるめにして発生した二酸化炭素を逃がすようにしておいた方がよいでしょう(主に酵母が増えているのでしょう。発泡量がかなり多く泡粒も大きいものが多いですが小さな泡もあります。)。蓋をきつく閉めたままだと蓋を開けたときに噴出してしまう恐れがあります。この玄米乳酸菌液は発酵力が強いです。
なお、黒糖を最初から入れずに浸漬してから2日後に追加する理由については 「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた(とぎ汁培養液)」の「塩・砂糖について」の項をご覧下さい。
〔2014年3月25日 注記〕白米浸漬培養液
玄米の代わりに白米を使った白米浸漬培養の実験をしてみました。その結果、白米乳酸菌液は玄米乳酸菌液に劣らず乳酸菌密度が高いことが分かりました(「〔探究編7〕白米浸漬培養液も乳酸菌が多い」)。玄米の内部にあるデンプンやタンパク質等が乳酸菌の増殖に大きく関与しているのではないかと思われる実験結果です。
〔2014年5月10日 注記〕玄米米麹培養液
黒糖を使わずに乾燥米麹を使った培養液の実験をしました。その結果、玄米米麹培養でできる玄米米麹乳酸菌液は乳酸菌密度が高く豆乳ヨーグルトの種としても優れていることが分かりました。(「〔発展編4〕米麹の力(米と麹で作る濃密な乳酸菌液)」)。米麹にたくさん含まれているブドウ糖やデンプン分解酵素・タンパク質分解酵素が初期の乳酸菌増殖に寄与していると思われます。また、黒糖に生息している乳酸菌や酵母の存在の有無もできあがった乳酸菌液の性質の違いとして現れるようです。
〔メモ〕5日後のものを種にして豆乳ヨーグルトを作ってみました。乳酸菌の密度が高いので通常のとぎ汁乳酸菌液よりはやや少なめにしました(ふつうは乳酸菌液:豆乳=1:10~1:9)。玄米乳酸菌液 15ml・豆乳250ml。38℃・7時間できれいでなめらかなヨーグルトができました(ヨーグルティア使用)。底の方には多少の泡がありましたがやや酸っぱ目で、乳酸菌液で作ったふつうの豆乳ヨーグルトと変りないおいしさでした。1日後には乳清が出ていましたがそのまま混ぜて食べました。酸っぱさが増してややピリピリ感のあるものになっていました。
〔2013年10月24日〕黒糖を使った玄米培養液についてグレープおばさんが追実験して下さいました(「玄米で、乳酸菌を~」)。いつものように写真付きです。とても参考になりますので合わせてお読み下さい。なお、グレープおばさんはできあがった玄米乳酸菌液を種にした豆乳ヨーグルトも作って下さいました(「玄米浸漬培養液で豆乳ヨーグルトを~」)。豆乳は生大豆からご自分で手作りしたものです。グレープおばさんのブログには手作り豆乳についての詳しい記事が別にあるのですが、この記事にはこの手作り豆乳を作る過程を含めて写真付きで詳しく書かれています。手作り豆乳にご興味のある方は是非ご覧になって下さい。
〔注記〕以下の実験は黒糖を使った実験よりも先に行なったものです。黒糖の代わりに白糖を使う以外、培養液を作る手順は黒糖の場合とまったく同じです。この実験は2013年9月上旬に行ないました。
黒糖の場合と同じく実験は2リットルの培養液で行ないました。使った材料は以下の通りです。
玄米:1合(180ml) あら塩:小さじ1杯強×4(約20g=培養液の1%)
白糖:大さじ1杯強×4(約60g=培養液の3%) 水:2リットル
初日:玄米1合を軽く水ですすぎ、すすぎ水を捨てた後胚芽が取れないようにやさしく研(と)ぎます。表面の汚れを取るだけなので研ぐのは一回だけにしておきます。水を入れてすすぎ、このすすぎ水も捨てます。軽く研ぎすすぎを済ませて水を切ったこの玄米と500mlの水とを2リットルのペットボトルに入れて蓋をし暖かいところに1日(24時間)ほど置きます(1合の玄米で2リットルの玄米培養液が得られます)。
1日後:24時間浸した水の中では十分な量の乳酸菌が増殖しています。ここで水1.5リットルとあら塩20g(小さじ1杯強×4:培養液の1%)とを加えます。これで約2リットルの培養液ができました(pH6.5~6.0)。白糖はここで加えてもいいのですが黒糖の場合と同じようにまだ加えないでおきます。培養液のボトルは暖かい場所に約1日置きます。
2日後:玄米培養液は溶け出したデンプン等のために白く濁っています(pH4.5~4.0)。ここで培養液に白糖60g(大さじ1杯強×4:培養液の3%)を加えます。ボトルを振ってよく混ぜた後、暖かい場所に置いて経過を見ます。
3日後:白糖を加えてから1日後(玄米を浸漬してから3日後)に pH3.5 に到達しました。培養液を顕微鏡で見ると完成したとぎ汁乳酸菌液に匹敵するほどの乳酸菌が見られました。驚くべき増殖力です。酵母もかなり増えています。つまり浸漬してから3日で乳酸菌液ができたということです。これはすごい。
4日後以降:pH3.5 に到達したあとは常温の状態で大丈夫です。玄米培養液はその後盛んに発泡し続け6日後には pH3.5弱、9日後には pH3.0強になりました(泡の発生量が多いのでふたをゆるめて発生する二酸化炭素を逃がすようにしておきます)。飲んでみるとかなりの酸っぱさです。顕微鏡で見ると乳酸菌も酵母もさらに増えており、栄養源と思われるものの近くには乳酸菌の小さなコロニーが点在しています。酵母の小コロニーもところどころに見られました。乳酸菌のコロニーはとぎ汁乳酸菌液や米ぬか乳酸菌液あるいは玄米浸潤乳酸菌液ではほとんど見られませんからこの玄米乳酸菌液はちょっと格が違いますね(数回水を取り替えた玄米リジュベラックでは見たことがあります。でも水の取り替え回数が増えるとリジュベラックは匂いがきつくなります)。この記事のサブタイトルに「驚異の玄米浸漬培養液」とつけた所以(ゆえん)です。
というわけで白糖の場合も 1週間~10日で玄米乳酸菌液は完成です。完成後の乳酸菌液は発泡をし続けるため2週間目くらいまではボトルの蓋を少しゆるめにして発生した二酸化炭素を逃がすようにします。
完成した玄米乳酸菌液を使う場合、上澄み部分を必要なだけ取り出すというのもよいですが、500mlとか1リットルとか一定の量を別のボトルに移し変えて使用し、玄米乳酸菌液には減った分の乳酸菌液と同量の水を加えておくのが簡単だと思います。底に沈んでいる玄米にはまだたくさんの栄養分やそれなりの量の酵素が含まれているので補う水にあら塩や糖を入れなくても数回は大丈夫だと思われます。ただし補う分が水だけなので乳酸菌の密度が元に戻るにはそれなりの時間がかかると思われます。まだそれについての実験は行なっていませんが、早くても一週間あるいは10日ほどはかかるかもしれません。
早めに増殖させたいなら補う水にあら塩と糖を一緒に追加するのも一つの方法だと思います。ただしいきなり糖を入れると乳酸菌よりも先に酵母が増殖してしまう可能性があるので水とあら塩を補ってから2日くらい置いて先に乳酸菌を増殖させた後に糖を補うのがよいのではないかと私は思っています。補うあら塩と糖の量は拡大培養の栄養液と同じように水に対してそれぞれ1%, 3% でよいと思いますがもう少し少なめでもよいかもしれません。いずれにしてもそのあたりのことはやってみないと分かりません。
〔2013年11月9日〕その後いろいろと試してみた結果、使用した分だけ補充して乳酸菌を増殖させることは一種の拡大培養であるという結論に至りました。拡大培養の栄養液にはとぎ汁を使うのがよいということは分かってます。減った分の乳酸菌を速やかに増殖させるにはとぎ汁に含まれる成分があった方が確実であるということです。とぎ汁そのものを栄養液(補充液)に使うのが理想ですが、とぎ汁と水とを半々に混ぜたものを栄養液としても大丈夫だろうと思います。あら塩は栄養液の 1%(栄養液1リットル当たり10g)を最初から加えます。黒糖は栄養液を補充してから2日後に栄養液の 3%(栄養液1リットル当たり30g) を加えます。暖かい環境なら5日程度で十分に乳酸菌が増えます。完成まではやはり1週間~10日見るのがよいと思います。
〔2013年11月10日〕米乳酸菌の拡大培養では栄養液にとぎ汁を用いるのがふつうですが、とぎ汁の代わりに「米ぬか+デンプン+水」を使うこともできます(乳酸菌液と栄養液で乳酸菌を拡大培養する)。ただし玄米乳酸菌液には玄米が入っているためデンプンを入れる必要はありません。ですから栄養液は「米ぬか+水」でよいことになります。この場合、水1リットルあたり米ぬか約4.5グラム(大さじすりきり1杯)程度の割合にします(米ぬかは多めでもかまいません)。あら塩(1%)は最初に、黒糖(3%)は2日後に入れます。とぎ汁を栄養液に使ったときと同じくらいの日数で乳酸菌液ができ上がります。
〔注記〕pH試験紙については「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた」の「pH試験紙・培養液の色(10円硬貨の利用)」をご覧下さい。pH試験紙が手元にない場合の簡易判定に10円硬貨を利用する方法についても記してあります。
〔注記〕乳酸菌の培養に用いて使い終わった使ったペットボトルの汚れは水で洗うだけで十分ですがボトル内部の肩口の辺りに付着している浮遊物や産膜などはブラシで落とせます。なお、「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた」の「培養液の濾過・沈殿培養液・ボトル等の洗浄」でご紹介している「フルフルボトル洗い」を使うと手間がかからず簡単にペットボトルの洗浄ができます。
〔注記〕 米のとぎ汁や米ぬか水等を利用した米乳酸菌の培養に関する基本的な事項や知っておくべき大切な情報は <乳酸菌を培養する(1)――〔基礎編〕> に載せてあります。まだお読みでない場合は一通り目を通しておかれることをお勧めします。また、その記事には 乳酸菌液の利用・活用・効能 や 関連記事へのリンク集 も載せてあります。
なお、日々の実践を通して新たに分かったことや新しい知見、あるいは誤っていた記述など、<乳酸菌を培養する(1)>の内容は頻繁に更新・追加されていますのでときどき目を通して頂ければ幸いです。
――乳酸菌を培養する――
▼ (1)〔基礎編〕 米乳酸菌を培養してみた(とぎ汁培養液)
▼ (2)〔応用編1〕米ぬか培養液・拡大培養
▼ (3)〔応用編2〕乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
▼ (4)〔応用編3〕通販の米ぬかを使った米ぬか培養液
▼ (5)〔応用編4〕飯山氏、拡大培養の「秘法」を明かす
▼ (6)〔応用編5〕発泡乳酸菌液と乳酸菌風呂
▼ (7)〔応用編6〕乳清で作る豆乳ヨーグルト
▼ (8)〔応用編7〕乳酸菌風呂、その2
▼ (9)〔探究編1〕古米の玄米と米乳酸菌、玄米浸潤液
▼ (10)〔探究編2〕玄米浸潤培養液
▼ (11)〔探究編3〕黒糖と白糖、乳酸菌風呂3
▼ (12)〔探究編4〕米ぬかと糖だけを使った培養実験
▼ (13)〔展開編1〕玄米で作る豆乳ヨーグルト
▼ (14)〔展開編2〕とぎ汁で作る豆乳ヨーグルト
▼ (15)〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト
▼ (16)〔展開編4〕豆乳だけでヨーグルトができた
▼ (17)〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルトと内生菌 ―― 野菜・果実・穀物・蜂蜜・梅干…等で作るヨーグルトのまとめ
▼ (18)〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか
▼ (19)〔発展編1〕驚異の玄米浸漬培養液
▼ (20)〔探究編6〕炊いたご飯と乳酸菌
▼ (21)〔展開編6〕超大雑把な蓬乳酸菌の培養
▼ (22)〔発展編2〕玄米豆乳乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
▼ (23)〔発展編3〕濃いとぎ汁と乳酸菌の増殖率
▼ (24)〔探究編7〕白米浸漬培養液も乳酸菌が多い
▼ (25)〔基礎編2〕七分づき米のとぎ汁培養液
▼ (26)〔発展編4〕米麹の力(米と麹で作る濃密な乳酸菌液)
▼ (27)〔発展編5〕黒糖と米麹の併用/米麹と産膜性酢酸菌
▼ (28)〔展開編7〕手軽にできる蓬乳酸菌の培養
▼ (29)〔展開編8〕色がきれいな赤紫蘇乳酸菌液
▼ (30)〔展開編9〕ミカンの皮の乳酸菌液
▼ 乳酸菌を培養する(1)~(30)をまとめて読む。
(関連記事)
(関連サイト)
◆孫に大受けのフニャフニャ人形 (エコは楽しい)
◆玄米で、乳酸菌を~ (エコは楽しい)
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