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2013年10月03日(木)| 科学・教育>発酵 |  
乳酸菌を培養する(20)――〔探究編6〕炊いたご飯と乳酸菌

 乳酸菌を培養する(1)~(30)をまとめて読む。

〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか」をご覧になったグレープおばさんが家でときどき炊いている水の代わりに乳酸菌液を入れて炊いたご飯の中でも高温に耐えて乳酸菌は生き残るのではないかと、このご飯大さじ1杯半と糖15グラム・塩5グラムとぬるま湯約500mlとを500mlのペットボトルに入れて乳酸菌が増殖して乳酸菌液ができるかどうかの実験をなさいました(「炊いたご飯に~」)。8月末のことでした。

〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルト」のコメント欄に「炊いたご飯を種にして豆乳ヨーグルトができた」というご報告(2013年6月24日)をくに丸さんが寄せて下さったことと、それを聞いて8月半ば過ぎから私自身が行なっているある実験の経過とから、私は水でふつうに炊いたご飯の中にも乳酸菌は生き残っているという確信を持っていたので乳酸菌で炊いたご飯ならさらにたくさんの乳酸菌が生き残っているはずだと考えて、私も追実験をすることにしました。

なお、以下では乳酸菌液で炊いたご飯のことを乳酸菌液ご飯と呼び、水で炊いたふつうのご飯のことをふつうのご飯と呼ぶことにします。

 この記事の目次

 
乳酸菌ご飯を種にする(1)――培養液A

初日:1リットルの培養液を作ります。乳酸菌液ご飯大さじ4杯あら塩小さじ2杯強(約10g)・白糖大さじ2杯強(約30g)をボトルに入れ、水をボトルの首の下あたりまで加えます。pH を測るのを忘れてしまいましたが後から考えるとおそらく 5.0 くらいだったのではないかと思います。

その後の経過:2日後 pH4.5、3日後 PH4.5 とあまり変化がありません。4日後に pH3.5強に落ちたので顕微鏡で見てみました。思ったほど乳酸菌の数が多くありません。酵母も多少はいます。その後も pH はほとんど変化がなく、8日後に pH3.5 になりましたが乳酸菌も酵母もさほど増えていないようです。以後ずっと同じような感じです。pH は 3.5 のまま変わらず、乳酸菌・酵母の密度もあまり変化が見られません。

最初のうちは pH が下がったように思えたのですが、考えてみると乳酸菌ご飯は食べてみると薄い酢飯のような感じで酸っぱさがあります。つまり乳酸菌ご飯には当然のことながら水代わりに入れた乳酸菌液に含まれていた乳酸がそのまま入っているために酢飯のようになるわけです。当初の pH が低かったのは乳酸菌ご飯に含まれている乳酸のせいだったのです。ですから生き残った乳酸菌が培養液Aの中で乳酸を作ったために pH が 3.5 にまで落ちたのは確かですが大増殖の結果そうなったわけではないということです。白糖の甘みとあら塩の辛みもまだ残っています。白糖もあら塩も消費され尽くしてはいないのですね。このことからも通常のとぎ汁培養液の増殖過程とはまったく違っていることが分かります。この実験のように当初の pH が低い場合には pH の変化は乳酸菌増殖の指標(ものさし)にはならないのですね。その後1か月経った今も培養液Aの状態はほとんど同じで乳酸菌も酵母もさほど増えてはいません。pH は 3.5 を維持しています。

 
乳酸菌ご飯を種にする(2)――培養液B

培養液Aの乳酸菌密度が低いことに気がついてすぐに乳酸菌液ご飯の割合を多めにした培養液Bの実験に取りかかりました。

初日:500mlの培養液を作ります。乳酸菌液ご飯大さじ5杯あら塩小さじ1杯強(約5g)をボトルに入れ、水をボトルの首の下あたりまで加えます。pH を測ると 4.5強 でした。最初から pH がかなり低い培養液になりました。

その後の経過:2日後の pH は 4.5弱。ここで白糖大さじ1杯強(約15g)を追加しました。顕微鏡で見ると酵母はそれなりの数ですが乳酸菌はさほどいません。4日後に PH3.5 になり乳酸菌の数が大分増えました。酵母はあまり増えてはいません。その後は乳酸菌も酵母もその数にあまり変化が見られず、2週間経っても甘みと塩辛さが残っています。pH は 3.5 のままです。乳酸菌液ご飯の割合を増やしても駄目なようです。

 
ふつうのご飯を種にする――培養液C

くに丸さんのコメント(「〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルト」)を読んで、炊いたご飯にも乳酸菌がいるらしいと知りました。そこで私は 8月の中旬にある実験を開始しました。それは炊いたご飯とあら塩・白糖とを水に入れて様子を見ることでした。その経過は以下の通りです。

初日:250mlの培養液を作ります。炊いたご飯大さじ1杯あら塩小さじ1/2杯強(約2.5g)をボトルに入れ、水をボトルの首の下あたりまで加えます。pH を測ると 6.5弱でした。ふつうのとぎ汁培養液よりはやや低めかなといった程度です。顕微鏡で見るとごくわずかながら乳酸菌がいます。たしかに炊飯に耐えて乳酸菌が生き残っているようです。酵母の姿は見られません。たとえ酵母が生き残っていたとしてもプレパラートに取った少量の培養液では確認できないほど酵母の密度は低いということです。

その後の経過:2日後に白糖大さじ1/2杯強(約7.5g)を入れましたがその後何日もの間 pH にほとんど変化が見られないのでしばらく放置状態になりました。

12日後、思い出して pH を測ると 3.5強になっていました。顕微鏡で見たところ、乳酸菌がわずかながら増えているようです。酵母は小型の楕円酵母がちらほら見え、円形のものもわずかながら観察できました。

それからしばらくは pH に変化はなく、pH が 3.5 になったのは培養を開始してからほぼ1か月後でした。乳酸菌はわずかに増えています。連鎖状態のものも散見されます。非常にゆっくりとですが増えていることは確かです。酵母の数はほとんど変わりがありません。そして1か月半過ぎた現在もそれなりの変化は見られますがとぎ汁培養液のような劇的な変化は難しいようです。

 
炊いたご飯ではなぜ乳酸菌が大増殖しないのか

とぎ汁培養液に含まれていて炊いた白米ご飯に含まれていないのは各種の酵素類です。研ぐときに出てきた分解されたアミノ酸や糖分も多少なりとも含まれてはいますが酵素が失活してしまっているため炊いたご飯にたくさん含まれているデンプンやタンパク質はアミノ酸や糖(デキストリン、麦芽糖、ブドウ糖など)に分解されないままです。ミネラル類は炊いたご飯でも変質せずに残っているでしょう。

とぎ汁の中に含まれるタンパク質やデンプンはわずかですが分解酵素があるためにそれらはアミノ酸や糖に分解され乳酸菌や酵母の細胞を作ったり活動するためのエネルギー源になったりすることができるわけです。炊いたご飯に含まれるアミノ酸や糖が少ないために培養液A~培養液Cの中で乳酸菌や酵母が大増殖できないのではないだろうか。しかし、酵母や乳酸菌は白糖を分解してブドウ糖にすることができますからブドウ糖の不足は大増殖できない原因ではありえません。アミノ酸や麦芽糖、デキストリンが足りないのが大増殖できない理由だろうと私は考えました。

酵素は触媒の働きをします。触媒はそれ自体は化学変化することがなくある特定の化学反応の速度を高める働きをします。ですからその活性が失われない限り酵素は何度でも繰り返し使われます。しかし酵素はタンパク質の一種であり化合物ですから他の物質と反応すれば化学的に違う物質になったり分子構造の一部に変化が生じたりします。酵素の種類や回りの環境によって機能を持続できる時間はそれぞれ異なりますがどんな酵素もいずれはその機能が働かなくなり活性を失ってしまいます。つまり酵素には有効期限のようなものがあるわけです。

アミノ酸を加える
それを確かめるために一番いいのはタンパク質分解酵素やデンプン分解酵素を加えることですがあいにく私の手元にはそんなものはありません。酵素を含む食品ならいろいろありますがその中には乳酸菌や酵母も生きているので実験には使えませんからアミノ酸を含んでいて乳酸菌や酵母が中にいないものを探しました。市販の醤油や味噌は乳酸菌や酵母が生きていると呼吸のために二酸化炭素が発生して袋や容器が破損する恐れがあるためにアルコールで殺菌してあります。そこでアミノ酸源として醤油を使うことにしました。培養液Bのボトルに醤油小さじ1杯を加えてしばらく様子を見ました。1日後:明らかに乳酸菌が増えています。3日後に pH が 3.5弱になり乳酸菌の数はさらに増えています。長く連鎖したものがたくさんいます。乳酸菌ほどではありませんが酵母も増えています。その後も乳酸菌の数は目に見えて増え、醤油を加えて2週間後には完成したとぎ汁培養液とほぼ同じくらいの乳酸菌密度になりました。ただし酵母の方はさほど増殖はしていません。アミノ酸だけでは酵母は増殖できないようです。この結果から乳酸菌の増殖にはアミノ酸が関係している可能性が高いようです。成分無調整豆乳にはアミノ酸がかなり含まれていますし、玄米を水に浸けて半発芽状態にしたり発芽状態にしたりした浸漬水の中にもアミノ酸がかなりの割合で含まれているようですので、豆乳ヨーグルトや玄米浸漬培養液に見られる密度の高い乳酸菌のことも合わせて考えるとあながち間違ってはいないのではないかと思われます。

唾液を利用する
デンプンが分解されてできる麦芽糖を含む食品で乳酸菌や酵母が含まれていないものを探しましたが見つかりませんでした。そこで苦肉の策として唾液に含まれるデンプン分解酵素プチアリンαアミラーゼの一種。デンプンを麦芽糖やデキストリンに分解する)を利用することにしました。培養液Aの中に入っているご飯大さじ1杯を取り出してよく噛んでからシャーレに取りました。それに培養液Aを加えて放置しました。こちらの方は予想外のことが起こりました。3日後にシャーレ内の液体を取り出して顕微鏡で見ると、酵母が大増殖しています。大きなコロニーがたくさん、中小のものも合わせるとものすごい数です。円形・楕円形・桿形様々な形の酵母がいます。大きさもさまざまです。長い桿形で枝分かれしたものもあります(産膜酵母と思われる)。酵母ほどではありませんが乳酸菌も明らかに増えています。その後も酵母の数は少しずつ増え続けましたが乳酸菌の数は頭打ちになったようでさほど変化がありませんでした。pH はずっと 3.5 のまま変わりません。

乳酸菌の大増殖には植物体に含まれるアミノ酸やミネラル類などが必要かもしれない
考えてみれば生物が細胞分裂を行なったり仲間を増やしたりするためには炭素源・エネルギー源である糖分だけでなく細胞の各部分や成分を形成するタンパク質を作り出すためのアミノ酸、あるいは各種のミネラル類、ビタミン類などが必要です。これらをあら塩と白糖だけで、あるいはあら塩と黒糖だけで補うことは不可能です。乳酸菌の培養にはとぎ汁や玄米浸漬液(浸潤液)、蓬の漬物など植物体あるいは植物体から直接得たものを最初に使います。どこからか乳酸菌や酵母だけを持ってきて培養する場合には培地として栄養分の豊富なものを使う必要があります。拡大培養において栄養液にあら塩と黒糖だけでなく少量のとぎ汁や蓬乳酸菌の元菌液を加える必要があるのはそのためでしょう。そういう意味では菌坊さんの玄米乳酸菌水というのはある意味ではその王道を行くものかもしれません。豆乳が植物性のヨーグルト作りに適しているのもそういう理由があるのでしょう。水や豆乳にしばらく浸漬した玄米を種にして作った豆乳ヨーグルトはとても乳酸菌密度が高いです。浸漬することによって玄米に含まれるアミノ酸やミネラル、ビタミンなどを使って乳酸菌が大増殖するのでそれを使って作る豆乳ヨーグルトはとても濃厚なものになるわけです。

実験を通じて一つ分かったこと
たしかに炊いたご飯と水、あら塩・糖で作った培養液では乳酸菌や酵母が大増殖することはありませんでした。しかしながらひとつ重要なことを私は学びました。たとえ大増殖はせずともデンプンやタンパク質があれば乳酸菌や酵母は地道にゆっくりと増殖をしていきます。その過程でかなり初期から培養液は pH が 4.5 近くまで落ちてその後は少しずつ pH が低下していきやがて 3.5 に到達します。pH が 4.5 あればその中で雑菌や腐敗菌は増殖することができず、乳酸菌などによって駆逐されてしまうので培養液は腐敗することがありません。上記の培養液のいずれもがいまだにほんわかとした匂いを発しています。これはアルファ化したデンプンの匂いです。上記の培養液の中ではデンプンは糊になっていますが1か月半以上もの間ホットマットの上で腐敗せずにいるのです。乳酸菌の力はすごいです。

「この記事の目次」に戻る 

〔注記〕pH試験紙については「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた」の「pH試験紙・培養液の色(10円硬貨の利用)」をご覧下さい。pH試験紙が手元にない場合の簡易判定に10円硬貨を利用する方法についても記してあります。

〔注記〕乳酸菌の培養に用いて使い終わった使ったペットボトルの汚れは水で洗うだけで十分ですがボトル内部の肩口の辺りに付着している浮遊物や産膜などはブラシで落とせます。なお、「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた」の「培養液の濾過・沈殿培養液・ボトル等の洗浄」でご紹介している「フルフルボトル洗い」を使うと手間がかからず簡単にペットボトルの洗浄ができます。

〔注記〕 米のとぎ汁や米ぬか水等を利用した米乳酸菌の培養に関する基本的な事項や知っておくべき大切な情報は <乳酸菌を培養する(1)――〔基礎編〕> に載せてあります。まだお読みでない場合は一通り目を通しておかれることをお勧めします。また、その記事には 乳酸菌液の利用・活用・効能関連記事へのリンク集 も載せてあります。

なお、日々の実践を通して新たに分かったことや新しい知見、あるいは誤っていた記述など、<乳酸菌を培養する(1)>の内容は頻繁に更新・追加されていますのでときどき目を通して頂ければ幸いです。

――乳酸菌を培養する――

   (1)〔基礎編〕  米乳酸菌を培養してみた(とぎ汁培養液)
   (2)〔応用編1〕米ぬか培養液・拡大培養
   (3)〔応用編2〕乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
   (4)〔応用編3〕通販の米ぬかを使った米ぬか培養液
   (5)〔応用編4〕飯山氏、拡大培養の「秘法」を明かす
   (6)〔応用編5〕発泡乳酸菌液と乳酸菌風呂
   (7)〔応用編6〕乳清で作る豆乳ヨーグルト
   (8)〔応用編7〕乳酸菌風呂、その2
   (9)〔探究編1〕古米の玄米と米乳酸菌、玄米浸潤液
 (10)〔探究編2〕玄米浸潤培養液
 (11)〔探究編3〕黒糖と白糖、乳酸菌風呂3
 (12)〔探究編4〕米ぬかと糖だけを使った培養実験
 (13)〔展開編1〕玄米で作る豆乳ヨーグルト
 (14)〔展開編2〕とぎ汁で作る豆乳ヨーグルト
 (15)〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト
 (16)〔展開編4〕豆乳だけでヨーグルトができた
 (17)〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルト ―― 野菜・果実・穀物・蜂蜜・梅干…等で作るヨーグルトのまとめ
 (18)〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか
 (19)〔発展編1〕驚異の玄米浸漬培養液
 (20)〔探究編6〕炊いたご飯と乳酸菌
 (21)〔展開編6〕超大雑把な蓬乳酸菌の培養
 (22)〔発展編2〕玄米豆乳乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
 (23)〔発展編3〕濃いとぎ汁と乳酸菌の増殖率
 (24)〔探究編7〕白米浸漬培養液も乳酸菌が多い
 (25)〔基礎編2〕七分づき米のとぎ汁培養液
 (26)〔発展編4〕米麹の力(米と麹だけで作れる濃密な乳酸菌液)
 (27)〔発展編5〕黒糖と米麹の併用/米麹と産膜性酢酸菌
 (28)〔展開編7〕手軽にできる蓬乳酸菌の培養
 (29)〔展開編8〕色がきれいな赤紫蘇乳酸菌液
 (30)〔展開編9〕ミカンの皮の乳酸菌液

 乳酸菌を培養する(1)~(29)をまとめて読む。

(関連記事)

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炊いたご飯に~(グレープおばさん)

科学・教育 | Trackback (0) | Comment (5) | URL | 携帯 | スマフォ |  | 記事番号:313
コメント
 
[751] 米のとぎ汁乳酸菌
2013/10/07(月)12:16:43 | URL | YUKO[編集
シカゴさん
こんにちは。
トピックとは関係ない内容になってしまいますが、乳酸菌水を使用しながら、その乳酸菌水に変化がありシカゴさんに質問してみよと思いました。
玄米とぎ汁乳酸菌水を作り一ヶ月以上たちます。匂いや味にはさほど変化は感じられないのですが、豆乳グルトを作ってみたところ、全くピリピリ感はありません。常温放置で一晩置き、様子を見てみると透き通った液が上に、豆乳が下に沈んでいます。豆乳は固まってはいなくてドロドロした状態でした。
これは乳酸菌のパワーがない?乳酸菌といえるものではない?
考えてもわからずです。
ペーハー試験紙でペーハー数値を計ってみれば一目瞭然なのでしょうか。今のところ試験紙は持っておらず、この乳酸菌水が果たして乳酸菌が存在しているものなのかどうなのか。。何かアドバイスがありましたら、よろしくお願い致します。
 
[752] Re: 米のとぎ汁乳酸菌
2013/10/07(月)14:43:57 | URL | シカゴ・ブルース[編集
YUKOさん、こんにちは。

> ペーハー試験紙でペーハー数値を計ってみれば一目瞭然なのでしょうか。今のところ試験紙は持っておらず、この乳酸菌水が果たして乳酸菌が存在しているものなのかどうなのか。。

pH試験紙が手元にない場合の簡易判定に10円硬貨を利用する方法については「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた」の「pH試験紙・培養液の色(10円硬貨の利用)」の末尾に追記があります。
http://okrchicagob.blog4.fc2.com/blog-entry-268.html#268A4

必要な部分をここに引用します。
-------------------------------
手元に pH試験紙がない場合は、赤黒くなった10円硬貨を利用するという方法もあります。小皿に培養液を少し取ってそこに古くなった10円硬貨をしばらく浸(つ)けてから指の腹でこすってみます。縁(ふち)や絵柄・文字の凸(とつ)になっている部分がきれいになるようなら10円硬貨を一旦水洗いしてからもう一度培養液に浸(ひた)して凹(へこ)んだ部分を中心に指の腹で丁寧に全体をこすります。しばらくこすっているうちに硬貨の凹んだ平らの部分の酸化皮膜が溶けて銅合金の地色が現れるようなら乳酸ができています。細かな凹み以外の部分が全体的にきれいになるようなら培養液の pH は 4.0弱~3.5 になっていると判断できます。
-------------------------------

財布の中にある10円玉(古いもの)を使います。乳酸菌液ができていればかなりきれいになると思います。新しい10円玉は赤銅色に輝いています。10円玉は銅と亜鉛との合金(青銅=ブロンズ)ですが亜鉛の含有量が少ないので金属銅とほぼ同じような色をしています。乳酸菌液できれいになっても金属としての輝きはありません。色が赤銅色に戻るだけです(レンズ磨き用の布などで念いりに磨けばぴかぴかになりますが pHがどの程度なのかを調べるだけですので磨く必要はありませんね)。

さて、乳酸菌液を種にした豆乳ヨーグルトですが作ってから日が経った乳酸菌液を使うと固まるまでに時間がかかるだけでなくヨーグルト自体もゆるゆるになります。酸味もあまりありません。できて間もない乳酸菌液を使うと酸っぱ目でやや固めのものになりますがアワアワでシュワピリになることも多いです。なお古くなった乳酸菌液は豆乳ヨーグルト作りには適していませんがその他の用途にはまったく問題なく使えますのでご心配には及びません。

というわけで、まずは玄米とぎ汁乳酸菌水ができあがっているかどうかを10円玉で確かめてみて下さい。

玄米をお持ちなら、玄米をそのまま使う玄米ヨーグルトの方が確実です。とぎ汁を種にしたものよりも乳酸菌も多いようです。その際に数時間ひたひたの水に浸してから豆乳を入れると確実に酸っぱ目でおいしいものができます。水ではなくひたひたの豆乳に浸してから豆乳を入れたものはさらに濃厚な豆乳ヨーグルトになります。

「〔探究編7〕玄米で作る豆乳ヨーグルト」
http://okrchicagob.blog4.fc2.com/blog-entry-293.html


> 常温放置で一晩置き、様子を見てみると透き通った液が上に、豆乳が下に沈んでいます。豆乳は固まってはいなくてドロドロした状態でした。

常温放置の場合、暖かい環境なら半日(12時間)、今の時期なら1日(24時間)くらいかかります。上部にある透き通った液は乳清です。時間が経つと乳清と固形部分がさらに分離して乳清が増えます。豆乳には水分が90%くらい含まれています。固まった部分にも水分が含まれますが、コーヒーフィルターで濾し取ると多い場合には半分を越えるくらいの乳清が出てきます(とぎ汁にも水分があるため)。

「〔探究編1〕乳清で作る豆乳ヨーグルト」
http://okrchicagob.blog4.fc2.com/blog-entry-274.html
 
[753] 
2013/10/07(月)15:36:52 | URL | YUKO[編集
シカゴさん、ご丁寧な説明、ありがとうございます。

ペーハー値を10円硬貨で調べる・・・驚きました!なるほど~、そういう調べ方があるのですね。
こういう実験って、面白いですね。果たして実験結果はどうか。早速試してみます!どうか乳酸菌液でありますように。

ご紹介いただいた記事を良く読んでみたいと思います。ますます、乳酸菌に興味がわいてきました。いろんな方法で生活に取り入れて行きたいと思っています。

いろいろな情報ありがとうございました!
 
[847] ごはん酵母って?
2014/03/02(日)02:30:44 | URL | ぽん[編集
私は天然酵母でパンを焼くのが趣味ですが、冷ごはんと水で酵母をおこしパンを酵母だけ、イースト等添加せずにパンを膨らませ焼いた事が何度もあります。イーストより時間がたっぷりかかりますが膨らみました。そこでこのサイトを見てごはん酵母を豆乳に入れてみたら、寝る前に入れて、(3/2現在)昼頃には豆乳ヨーグルトが出来ています。なぜでしょうか?偶然では無く毎回です。
 
[848] Re: ごはん酵母って?
2014/03/03(月)15:14:49 | URL | シカゴ・ブルース[編集
ぽんさん、こんにちは。

> 私は天然酵母でパンを焼くのが趣味ですが、冷ごはんと水で酵母をおこしパンを酵母だけ、イースト等添加せずにパンを膨らませ焼いた事が何度もあります。イーストより時間がたっぷりかかりますが膨らみました。そこでこのサイトを見てごはん酵母を豆乳に入れてみたら、寝る前に入れて、(3/2現在)昼頃には豆乳ヨーグルトが出来ています。なぜでしょうか?偶然では無く毎回です。

2011年5月初めにとぎ汁乳酸菌液を作り始めてから私はいろいろな実践をしてきました。その経験から米だけでなくごく普通の草花や木々には乳酸菌や酵母が住み着いていること、さらに市販されている野菜や果物、あるいは熱処理をした茶葉やコーヒー粉の中にも乳酸菌や酵母が生き残っていることを知りました。

さらに
「〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか」
http://okrchicagob.blog4.fc2.com/blog-entry-309.html
の実験によって米乳酸菌や米酵母が120℃の加圧煮沸にも耐えて生き延びることを確かめました。そしてこの「〔探究編6〕炊いたご飯と乳酸菌」に載せた実験によって炊いたご飯の中にも乳酸菌や酵母が生き残っていることを確かめたのでした。植物体の中に住む乳酸菌や酵母はとてもたくましくて、寒さや高温に耐えて生きているんですね。

ですからぽんさんのコメントを拝見して、私とは違った実践によって炊いたご飯の中に乳酸菌や酵母が生き残っていることを実証している方がいらっしゃることを知って意を強くしました。

ネット上にあるいろいろな記事を読むと、野生の植物や穀類などから採取した酵母菌を培養してそれを元にパンを作っている方がたくさんいらっしゃるようです。私の経験ではそれらの酵母液には必ず乳酸菌や麹菌もいっしょに生きています。そして乳酸菌が作り出す乳酸が雑菌や腐敗菌の増殖を抑えているのですね。

そんなわけで冷ごはんと水で起こした酵母の中にも乳酸菌が生きていますから、これを種にして豆乳ヨーグルトができるのは不思議でもなんでもありません。そのヨーグルトの中にはわずかながら酵母も含まれています。豆乳に含まれる栄養分は乳酸菌の増殖にとても適しているためごくわずかな乳酸菌であっても時間さえあれば必ずヨーグルトができます。部屋の気温がある程度あれば18~24時間で固まると思います。夏場なら半日くらいでできます。

というわけでぽんさんが日常的に行なっている冷ごはんと水で起こした酵母菌を使ったパン作りの実践はとても面白いと思います。炊いたご飯でなく白米や玄米そのものを使えばもっと濃い酵母液ができますのでさらに短い時間でパンがふくらむのではないでしょうか。
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言語関連の用語について

 表現された言語(本来の意味の言語)を単に言葉あるいは言語、ことば…のように表記しています。ソシュール的な意味の言語(言語規範ないし思考言語)はカッコつきで「言語」あるいは「言語langue」・「ラング」・「ことば」等と表記しています。(背景色つきで「言語」のように表記している場合もあります)

 一般的な意味の概念を単に概念と表記し、ソシュール的な意味の概念(語の意義としての概念、いわゆるシニフィエ・語概念)はカッコつきで「概念」と表記します。(2006年9月9日以降)

 また、ある時期からは存在形態の違いに応じて現実形態表象形態概念形態のように用語の背景色を変えて区別しています(この文章では〈知覚形態〉も〈表象形態〉に含めています)。

 ソシュールの規定した用語を再規定し、次のような日本語に置き換えて表記します。詳細は「ソシュール用語の再規定(1)」を参照。

【規範レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語韻     (ある語音から抽出された音韻)

・シニフィエ   → 語概念(語義) (ある語によって表わされるべき概念)

・シーニュ・記号 → 語規範(語観念)(ある語についての規範認識)

・記号の体系   → 語彙規範   (語すべてについての規範認識)

・言語      → 言語規範   (言語表現に関するすべての規範認識)

語概念・語韻は 語概念⇔語韻語韻⇔語概念)という連合した形で語規範として認識されています。語規範はこのように2つの概念的認識が連合した規範認識です。ソシュールは「言語langue」を「諸記号」相互の規定関係と考えてこれを「記号の体系」あるいは「連合関係」と呼びますが、「記号の体系・連合関係」の実体は語彙規範であり、言語規範を構成している一つの規範認識です。規範認識は概念化された認識つまり〈概念形態〉の認識なのです。

なお、構造言語学・構造主義では「連合関係」は「範列関係(範例関係)」(「パラディグム」)といいかえられその意義も拡張されています。

 語・内語・言語・内言(内言語・思考言語) について、語規範および言語規範に媒介される連合を、三浦つとむの主張する関係意味論の立場からつぎのように規定・定義しています。詳細は『「内語」「内言・思考言語」の再規定』を参照。(2006年10月23日以降)

  : 語規範に媒介された 語音個別概念 という連合を背後にもった表現。

内語 : 語規範に媒介された 語音像⇔個別概念 という連合を背後にもった認識。

言語 : 言語規範に媒介された 言語音(語音の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった表現。

内言 : 言語規範に媒介された 言語音像(語音像の連鎖)⇔個別概念の相互連関 という連合を背後にもった認識・思考過程。

内語内言は〈表象形態〉の認識です。

なお、上のように規定した 内言(内言語・内的言語・思考言語)、 内語とソシュール派のいうそれらとを区別するために、ソシュール派のそれらは「内言」(「内言語」・「内的言語」・「思考言語」)、「内語」のようにカッコつきで表記します。

また、ソシュールは「内言」つまり表現を前提としない思考過程における内言および内言が行われる領域をも「言語langue」と呼んでいるので、これも必要に応じてカッコつきで「内言」・「内言語」・「内的言語」・「思考言語」のように表記します(これらはすべて内言と規定されます)。さらに、ソシュールは「内語の連鎖」(「分節」された「内言」)を「言連鎖」あるいは「連辞」と呼んでいますが、まぎらわしいので「連辞」に統一します(「連辞」も内言です)。この観点から見た「言語langue」は「連辞関係」と呼ばれます。ソシュールは「内語」あるいは「言語単位」の意味はこの「連辞関係」によって生まれると考え、その意味を「価値」と呼びます。構造言語学では「言(話し言葉)」や「書(書き言葉)」における語の連鎖をも「連辞」と呼び、「連辞関係」を「シンタグム」と呼んでいます。詳細は「ソシュールの「言語」(1)~(4)」「ソシュール用語の再規定(1)~(4)」「ソシュール「言語学」とは何か(1)~(8)」を参照。

 さらに、ソシュールは内言における 語音像⇔個別概念 という形態の連合も「シーニュ・記号」と呼んでいるので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【内言レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音像(個別概念と語規範に媒介されて形成される語音の表象)

・シニフィエ   → 個別概念(知覚や再現表象から形成され、語規範の媒介によって語音像と連合した個別概念)

・シーニュ・記号 → 内語

・言語      → 内言

ソシュールがともに「シーニュ・記号」と呼んでいる2種類の連合 語韻⇔語概念語規範)と 語音像⇔個別概念内語)とは形態が異なっていますのできちんと区別して扱う必要があります。

 また、実際に表現された言語レベルにおいても、語音個別概念 という形態の連合が「シーニュ・記号」と呼ばれることもありますので、このレベルでの「シニフィアン」・「シニフィエ」についてもきちんと再規定する必要があります。

【言語(形象)レベルにおける再規定】

・シニフィアン  → 語音個別概念語規範に媒介されて実際に表現された語の音声。文字言語では文字の形象

・シニフィエ   → 表現された語の意味。個別概念を介して間接的にと結びついている(この個別概念語規範の媒介によってと連合している)

・シーニュ・記号 → (表現されたもの)

・言語      → 言語(表現されたもの)

 語音言語音語音像言語音像語韻についての詳細は「言語音・言語音像・音韻についての覚書」を、内言内語については「ソシュール用語の再規定(4)――思考・内言」を参照して下さい。また、書き言葉や点字・手話についても言語規範が存在し、それらについても各レベルにおける考察が必要ですが、ここでは触れることができません。

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プロフィール

シカゴ・ブルース

シカゴ・ブルース (ID:okrchicagob)

1948年生れ(68歳♂)。国語と理科が好き。ことばについては子供のころからずっと関心を抱いていました。20代半ばに三浦つとむの書に出会って以来言語過程説の立場からことばについて考え続けています。現在は39年間続けた自営(学習塾)の仕事を辞め個人的に依頼されたことだけをこなす日々です。

コメント等では略称の シカゴ を使うこともあります。

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意識と言語(こころとことば)

われわれは人間が『意識』をももっていることをみいだす。しかし『精神』は物質に『つかれて』いるという呪いをもともとおわされており、このばあいに物質は言語の形であらわれる。言語は意識とおなじようにふるい――言語は実践的な意識、他の人間にとっても存在し、したがってまた私自身にとってもはじめて存在する現実的な意識である。そして言語は意識とおなじように他の人間との交通の欲望、その必要からはじめて発生する。したがって意識ははじめからすでにひとつの社会的な産物であり、そして一般に人間が存在するかぎりそうであるほかはない。(マルクス・エンゲルス『ドイツ・イデオロギー』古在由重訳・岩波文庫)


ことばは、人間が心で思っていることをほかの人間に伝えるために使われています。ですから人間の心のありかたについて理解するならばことばのこともわかってきますし、またことばのありかたを理解するときにその場合の人間の心のこまかい動きもわかってきます。
このように、人間の心についての研究とことばについての研究とは密接な関係を持っていて、二つの研究はたがいに助け合いながらすすんでいくことになります。一方なしに他方だけが発展できるわけではありません。
…こうして考えていくと、これまでは神秘的にさえ思われたことばのありかたもまったく合理的だということがおわかりになるでしょう。(三浦つとむ『こころとことば』季節社他)


参考 『認識と言語の理論 I』を読む 1(1)――認識論と言語学三浦つとむ『認識と言語の理論 I』

子どもたちに向けた言葉

ふしぎだと思うこと
  これが科学の芽です
よく観察してたしかめ
そして考えること
  これが科学の茎です
そうして最後になぞがとける
  これが科学の花です
        朝永振一郎

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