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乳酸菌を培養する(23)――〔発展編3〕濃いとぎ汁と乳酸菌の増殖率 [PC版ページへ]
2013/12/27 12:11

――乳酸菌を培養する――

 〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた(とぎ汁培養液)

 〔発展編3〕濃いとぎ汁と乳酸菌の増殖率

 〔基礎編2〕七分づき米のとぎ汁培養液

 〔発展編4〕米麹の力(米と麹で作る濃密な乳酸菌液)

 〔発展編5〕黒糖と米麹の併用/米麹と産膜性酢酸菌

 とぎ汁培養に関する記事をまとめて読む。

 関連:〔探究編2〕玄米浸潤培養液

 関連:〔発展編1〕驚異の玄米浸漬培養液

 関連:〔探究編7〕白米浸漬培養液も乳酸菌が多い

 関連:〔応用編1〕米ぬか培養液・拡大培養

 関連:〔展開編2〕とぎ汁で作る豆乳ヨーグルト

 関連:〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか

 乳酸菌を培養する(1)〜(30)をまとめて読む。

〔発展編1〕驚異の玄米浸漬培養液」という記事を書いた後、玄米を浸漬した培養液ではなぜ乳酸菌密度が高くなるのか、つまり玄米培養液において初期の乳酸菌の増殖率が高いのはどうしてなのかということが気になっていました。玄米培養液の中には玄米が浸(つ)かっているため、とぎ汁培養に比べて栄養分が多いこと――特に玄米の中にある胚乳つまり白米部分の量が多いこと――がその理由ではないかと私は考えました。


白米部分(米の胚乳)の大半はデンプンですが表面に近い部分にはタンパク質もあります。それぞれデンプン粒とタンパク質粒の形で胚乳を構成しており、白米のとぎ汁にはこれらのデンプン粒とタンパク質粒が含まれています。したがって、私の推定が正しければ濃いとぎ汁を培養液として使った乳酸菌液はふつうのとぎ汁乳酸菌液よりも乳酸菌密度の高いものになるはずです。

そこで私は濃いとぎ汁を使ったとぎ汁培養の実験をしてみることにしました。

 この記事の目次

濃いとぎ汁を使った培養実験
ふつうのとぎ汁に白米を少し入れた培養液
pH試験紙/乳酸菌液の利用・活用・効能等について

 
濃いとぎ汁を使った培養実験

ふだん私は2日で1合の白米を食べています。ですからとぎ汁培養液は2日ごとに500mlずつ作っているわけです。「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた(とぎ汁培養液)」の「とぎ汁乳酸菌液の作り方」ではとぎ汁培養において「とぎ汁が濃い方が栄養分が豊富なため乳酸菌の増殖が速くなり、その分早く乳酸菌液が完成します」と書いたものの実際に濃いとぎ汁を使って培養したことはありませんでした。濃いとぎ汁を使えば増殖率が高まるのは確実ですができあがった乳酸菌液の乳酸菌密度が本当に高くなるかどうかは実験してみないと分かりません。

2合の白米で500mlの培養液を作る
白米2合を500mlの水でとぎ、ふだんよりも濃い培養液を作ります。とぎ方は「濃いとぎ汁を得るために」に書いてあるいつもの手順で行ないました。こうして得た2合分の濃いとぎ汁500mlにあら塩約5g(小さじ1杯強)を入れ、いつものようにホットマット上に寝かせて置き上にカバーを掛けます。

1日後:ボトルの上部にはいつもよりもたくさんの泡があります。蓋を開けると大きめな「プシュッ」という音がしてボトルの下の方からたくさんの小さな泡が上がってきました。この泡の量もいつもよりはだいぶ多めです。pH は4.5弱〜4.0強になっています。pH も通常の培養液より早く低下しているようです。

2日後:黒糖を入れる前に培養液を顕微鏡で見ると乳酸菌の数が通常よりもずっと多く、酵母も早々と増殖を始めています。pH は4.0弱〜3.5強に落ちています。また黒糖を入れた衝撃で発生する泡も多めです。

3日後:黒糖投入後1日で pH3.5 に到達。通常のとぎ汁培養液よりも1日早く、玄米(浸漬)培養液と同じくらいのペースで発酵が進んでいます。

その後:6日後に pH3.5弱になり、20日足らずで pH3.0 になりました。乳酸菌の密度は玄米(浸漬)培養液とほぼ同等か、やや低いかなといったところです。酵母は通常の乳酸菌液よりもやや少なめかもしれません。ただし、酵母の大きなコロニーはプレパラートに散在するため、スポイトで落とした乳酸菌液によってばらつきがありますから1つのサンプルだけでは大コロニーの存在が確認できないことがあります。

同じ実験をもう一度行ないましたがほぼ同じような経過をたどって pH3.0 に到達しました。乳酸菌密度が高いのも同じです。酵母の数は通常の乳酸菌液と同程度でした。

私が予想した通り「濃いとぎ汁を使って培養すると乳酸菌の増殖率が高まり、できあがった乳酸菌液の乳酸菌密度も高くなる」ことが実験によって確かめられました。roujinさんが行なった濃いとぎ汁を使った実践で pH3.1 の乳酸菌が得られたことは知っていましたが、roujinさんがおっしゃる通り「乳酸菌の濃い物を得るには(とぎ汁は)濃い方が良い」ことを私も確認することができました。

なおこの実験は2013年11月29日から12月中旬にかけて行ないました。

 
ふつうのとぎ汁に白米を少し入れた培養液

濃いとぎ汁には通常のとぎ汁培養液よりもたくさんの白米成分が含まれています。乳酸菌の増殖が早まり乳酸菌密度が高くなった原因がこの白米成分にあるとしたら、通常のとぎ汁培養液に白米を少し入れることによって白米成分を多くすることもできます。そこで通常のとぎ汁培養液500mlに少量の白米を入れて培養実験をしてみました。

1合分のとぎ汁に白米を添加する
いつもと同じように白米1合を500mlの水でとぎます。得られたとぎ汁にあら塩約5g(小さじ1杯強)と白米小さじ1杯とを入れていつもと同じようにホットマット上に置きカバーを掛けます。

1日後:濃いとぎ汁ほどではありませんが泡の発生量は通常のとぎ汁培養液よりも多めです。pH は 4.5。通常のものよりは低下のペースがやや速いようです。

2日後:pH は 4.5弱です。顕微鏡で見ると乳酸菌密度は通常よりもやや多め、酵母はまだそれほど増殖していません。濃いとぎ汁培養液に比べるとやや遅めですが通常のとぎ汁培養液よりは発酵のペースは速いようです。

3日後:この実験は4回行ないましたが4日後にpH3.5に到達した1回を除いて残りの3回はすべて3日後に3.5になりました。

その後:最後の1回を除く3回の実験すべてにおいてほぼ1週間で pH3.5弱、2週間前後で 3.0強〜3.0 に到達しました。この実験は2013年12月10日から開始したものです(4回目の実験ボトルは12月16日に仕込んだものなので本日が11日目。発泡はまだ続いており pHは 3.5弱〜3.0強を示しています)。

実験結果を見ると、乳酸菌の密度は通常のものよりは多めですが玄米(浸漬)培養液に比べるとやや劣るような気がします。考えてみると玄米(浸漬)培養では2リットルの培養液に対して玄米1合(180ml)を入れます。培養液が500mlなら入れる玄米は45mlですから、この実験で入れた白米5mlはそれに比べるとかなり少なめです。乳酸菌の増殖率や密度が玄米(浸漬)培養液に比べて低いのは白米の量が少なかったせいかもしれません。大さじ1杯(15ml)程度入れればもう少し違った結果になったでしょう。いずれにせよ通常のとぎ汁培養液に白米を少し入れることによって乳酸菌の増殖率が高まり、乳酸菌密度の高い乳酸菌液が得られることは確認できました。

なお、白米を入れる代わりに白米成分として米粉を入れても同じような結果になると思われます。いずれ試してみます(米粉なら小さじ1杯くらいで大丈夫でしょう)。

 
pH試験紙/乳酸菌液の利用・活用・効能等について

〔注記〕pH試験紙については「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた」の「pH試験紙・培養液の色(10円硬貨の利用)」をご覧下さい。pH試験紙が手元にない場合の簡易判定に10円硬貨を利用する方法についても記してあります。

〔注記〕乳酸菌の培養に用いて使い終わった使ったペットボトルの汚れは水で洗うだけで十分ですがボトル内部の肩口の辺りに付着している浮遊物や産膜などはブラシで落とせます。なお、「〔基礎編〕米乳酸菌を培養してみた」の「培養液の濾過・沈殿培養液・ボトル等の洗浄」でご紹介している「フルフルボトル洗い」を使うと手間がかからず簡単にペットボトルの洗浄ができます。

〔注記〕 米のとぎ汁や米ぬか水等を利用した米乳酸菌の培養に関する基本的な事項や知っておくべき大切な情報は <乳酸菌を培養する(1)――〔基礎編〕> に載せてあります。まだお読みでない場合は一通り目を通しておかれることをお勧めします。また、その記事には 乳酸菌液の利用・活用・効能関連記事へのリンク集 も載せてあります。

なお、日々の実践を通して新たに分かったことや新しい知見、あるいは誤っていた記述など、<乳酸菌を培養する(1)>の内容は頻繁に更新・追加されていますのでときどき目を通して頂ければ幸いです。

――乳酸菌を培養する――

   (1)〔基礎編〕  米乳酸菌を培養してみた(とぎ汁培養液)
   (2)〔応用編1〕米ぬか培養液・拡大培養
   (3)〔応用編2〕乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
   (4)〔応用編3〕通販の米ぬかを使ってみる
   (5)〔応用編4〕飯山氏、拡大培養の「秘法」を明かす
   (6)〔応用編5〕発泡乳酸菌液と乳酸菌風呂
   (7)〔応用編6〕乳清で作る豆乳ヨーグルト
   (8)〔応用編7〕乳酸菌風呂、その2
   (9)〔探究編1〕古米の玄米と米乳酸菌、玄米浸潤液
 (10)〔探究編2〕玄米浸潤培養液
 (11)〔探究編3〕黒糖と白糖、乳酸菌風呂3
 (12)〔探究編4〕米ぬかと糖だけを使った培養実験
 (13)〔展開編1〕玄米で作る豆乳ヨーグルト
 (14)〔展開編2〕とぎ汁で作る豆乳ヨーグルト
 (15)〔展開編3〕日本茶で作る豆乳ヨーグルト
 (16)〔展開編4〕豆乳だけでヨーグルトができた
 (17)〔展開編5〕植物系で作る豆乳ヨーグルトと内生菌 ―― 野菜・果実・穀物・蜂蜜・梅干…等で作るヨーグルトのまとめ
 (18)〔探究編5〕米乳酸菌は120℃に耐えるか
 (19)〔発展編1〕驚異の玄米浸漬培養液
 (20)〔探究編6〕炊いたご飯と乳酸菌
 (21)〔展開編6〕超大雑把な蓬乳酸菌の培養
 (22)〔発展編2〕玄米豆乳乳酸菌液で作る豆乳ヨーグルト
 (23)〔発展編3〕濃いとぎ汁と乳酸菌の増殖率
 (24)〔探究編7〕白米浸漬培養液も乳酸菌が多い
 (25)〔基礎編2〕七分づき米のとぎ汁培養液
 (26)〔発展編4〕米麹の力(米と麹で作る濃密な乳酸菌液)
 (27)〔発展編5〕黒糖と米麹の併用/米麹と産膜性酢酸菌
 (28)〔展開編7〕手軽にできる蓬乳酸菌の培養
 (29)〔展開編8〕色がきれいな赤紫蘇乳酸菌液
 (30)〔展開編9〕ミカンの皮の乳酸菌液

 乳酸菌を培養する(1)〜(30)をまとめて読む。

(関連記事)

 乳酸菌風呂に対するネガキャン――ニセ科学批判とエア御用
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